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だろう温泉
「本日お邪魔しているのはこちら。名前が不思議な温泉、その名も『だろう温泉』です。温泉宿『三年屋』さんのご主人にお話を伺っていきましょう。ご主人、早速ですが『だろう温泉』の名前の由来を教えていただけますか?」
「はい、ここは元々『たろう温泉』と呼ばれておりました。太郎という男が源泉を見つけたからです」
「太郎さんが見つけたから『たろう温泉』ですか〜。なるほど、それがどうして『だろう温泉』に?」
「はい、三年寝て起きて大きな功績を残したという『三年寝太郎』が起きがけの湯を浴びた所がここだと言われております」
「あの昔話のですか? 実際の人物だったんですね〜」
「太郎が発見して寝太郎がお湯を浴びた、太郎と太郎が重なって『だろう温泉』と呼ばれるようになったというわけです」
「なるほど〜。『三年屋』さんの屋号も三年寝太郎から付けられたんですね」
「はい、その通りです。でも、『だろう温泉』の由来はまだあるんです」
「お聞かせください」
「寝太郎が三年ぶりにお湯に浸かったら、それまで透明だった湯が白く濁ったんです」
「三年振りだとたくさん垢が出そうですもんね〜」
「『たろう温泉』の湯が濁ったので名前も濁って『だろう温泉』になったとも言われております。実際に今に至るまでここの湯はずっと白濁しております」
「寝太郎の垢だとなんかご利益もありそうですね〜」
「はい、寝太郎の浸かったありがたい湯ですから完全に入れ替えることなく継ぎ足し継ぎ足しで今までやってきております」
「秘伝の湯というわけですね〜。掃除とか大変そうですけど」
「創業以来掃除はしていません」
「えっ、大丈夫なんですか?」
「寝太郎の垢の力で雑菌を抑えてくれるからいいんです。逆にお湯の質が良くなっていくから肌荒れにも効果があると言われていてデトックス効果も抜群なんです」
「なるほど〜。寝太郎垢がヤバい菌を抑えてくれるから検査でも問題ないってことですね」
「検査なんて必要ありません。神秘の湯『だろう温泉』ですから」
「なるほど〜。『大丈夫だろう』『問題ないだろう』ってことですね。ありがとうございました。『だろう温泉』の『三年屋』さんにお話を伺いました」
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