
北ノ国紀行
私の名前はソントプ。
地上の楽園とも名高い北の方の国に遊びに行ってきたよ。

船団で行っても良かったけど、今回は陸路で行ったよ。
隣国側にも熱き精神を持つ同胞たちが街を築いていたよ。
急流のソウギョを狙う強大な虎のごとき心を感じて思わず万歳したよ。

入国後は早速、国を守る同志たちのパレードを見たよ。
美しくも強き彼女たちが身も心も捧げる偉大なる国を思い自然と涙が出てきたよ。
私の咆哮は熊となり深き森林を超えていったよ。

ふと知り合った同志と母なる大霊山の麓でボクシングをしたよ。
死力を尽くした試合後はお互いを称えて抱き合ったよ。
お互いを英雄と呼び、彼は内から私は外からこの偉大なる国を支えようと誓いあったよ。

夜は、恐れ多くも親愛なるお父様をお癒やしする歌劇団のショーの末席にお呼ばれしたよ。
それだけに留まらず、ステージに上がる名誉を得て歌と踊りをご覧に入れることが叶ったよ。
龍が住む海溝よりも深いお父様の深いお心に触れ涙が止まることはなかったよ。
その時流した涙はいずれ川になり愛と豊かさを末代まで伝えていくよ。

全世界で大ヒットした『赤きチンダルレは革命の戦士達へ!』をソロで歌う機会も得たよ。
一つの歌詞の間違いも音ズレも許されないので全身全霊をかけて歌ったよ。
見守ってくださるお父様のお写真を通して国を想う私の熱きチンダルレのごとき精神が赤い彗星となりお父様の下へシャアっと飛んでいったよ。

今回の旅では得難い経験ができたよ。
思わず万歳をしながら咆哮をして同志たちと同じ時同じ場所で過ごすことができた喜びに震えたよ。
いいなと思ったら応援しよう!
