「話下手の怪談」「チハルの冒険」【訳ありボツ話2本】
他サイトに投稿していたものの、訳あってnoteには転載しなかった話を載せます。
ボツにした話を公開して読んでいただくのは、はなはだ恐縮ではあるのですが、これも一興と思い読んでいただけると幸いです。
なぜ、私がボツにしたのか考えながらお読みいただけると幸いです。
話下手の怪談(1,237字)
昔、中学生の女の子とお母さんが二人暮らししている家庭があったんだって。その中学生の女の子が3年前に体験した話なんだけどね、その子が……
ちょっと待って。中学生が3年前に体験した話なら、当時は小学生でしょ? 小学生の女の子が体験した話で良くない? そもそも「昔」の話なんだよね? 中学生の時に軸を置く必要ある?
わかった、言い直すから。昔、小学生の女の子とお母さんが二人暮らししている家庭があったんだって。その小学生の子が体験した話なんだけどね。その子のお父さんが朝、出勤する時にね……
ちょっと待って。お母さんと二人暮らしなんだよね? お父さんはどこから出てきたの? もしかしてそれが怖いポイント?
いや、3年前はお父さんいたんだよ。
だったら、導入がおかしいでしょ。3年前の視点はなくしたんじゃないの? 言い直して。
全然、話進まないじゃん。いいよ、わかったよ。
昔、小学生の女の子とお母さん、お父さんが三人暮らししている家庭があったんだって。その小学生の子が体験した話なんだけどね。その子のお父さんが朝、出勤する時にね、玄関先の鉢植えにでっかいカタツムリがいるのを見つけたんだって。お父さんは別に気にすることなく会社に向かったらしいの。会社に着いてから自分の席に……
ちょっと待って。女の子が体験した話じゃないの? ずっとお父さん視点なんだけど……それともこれから女の子出てくる?
う~ん、どうかな?
……お父さん視点で言い直して。
もう~小さいことにこだわるんだから。
昔、小学生の女の子とお母さん、お父さんが三人暮らししている家庭があったんだって。そのお父さんが体験した話なんだけどね。その子のお父さんが朝、出勤して会社に着いてから自分の席に行ったらね……
ちょっと待って。さっきのカタツムリはどうしたの? なんで省略されてるの?
別に重要じゃないし……。
だったら話に入れないでよ。なんかあるのかと思ったじゃん。言い直さなくていいから、続けて。
その子のお父さんが朝、出勤して会社に着いてから自分の席に行ったらね。いつも通り着席したんだって。それで昼休みになってね……
ちょっと待って。もしかしてその朝のシーンも重要じゃない?
う~ん、まあそうかな。
まさかだけど昼休みのシーンも重要じゃないってことないよね?
お昼に行きつけのラーメン屋で塩ラーメンと野菜炒めを頼むんだけど……。
いらないね! 怖いシーンの直前まで飛ばしてよ。
んもう、せっかちなんだから。わかったよ。
後ろでね、誰かの声が聞こえたんだって。それで振り返ると……「お前だー!!!」
……直前っていうかもうオチだよね。そもそもよくあるオチでつまらないし……
じゃあ、もうちょっと前から言い直そうか?
もう、オチ聞いちゃったからいいよ。聞く気失せたわ~。でもお父さんがいなくなるってことは死んだってこと?
お前の……後ろだー!!!
ははは、もういいよ~。
*****
『またあの子ったら一人二役で会話してる。かわいそうに。大好きだったお父さんが亡くなってからおかしくなっちゃって……』
2020年9月
これは私が小話を創作し始めて2本目に書いたもの。
ちなみに1本目はこちら。
この話含め、初期の創作動機は、読んだ人の頭をおかしくさせてやろうというものだったんですね。
そのため、カタルシスは感じない作りになっています。まあ、今あるのかと言われても何とも言えませんが……
正直、ボツにした理由は思い出せません。はぁ? 自分で考えてみろっていったくせに?
はい、スミマセン。しかし、おそらくは、noteに転載していくに辺り、これを最初に出したら今後読んでもらえなくなるんじゃないだろうかと判断したのかもしれません。
後々出す予定で忘れていたのかも……。
しかし、次は明確に覚えています。タイトルは「チハルの冒険」ですが、正式名称?は「【スマホ厳禁】チハルの冒険【マカペ推奨】」なんですよね。
は?と思いましたよね。まずは読んでみてくださいまし。
【スマホ厳禁】チハルの冒険【マカペ推奨】(1312字)
~はじまり~
チハルはまぶしい光で目を覚ました。
チハルはぼんやりとした頭で昨日の夜カーテン閉めるの忘れたなと考えながら伸びをする。
チハルはゆっくりと起き上がると、ベッド横のミニ冷蔵庫からボトルの水を取り出した。
ボトルのキャップを開け、一口水を飲むチハル。ようやく目が覚めた気がして洗面所に向かう。
洗面所で勢いよく顔を洗うチハル。
急いで服を着替えて出かける準備をするチハル。スルスルとお気に入りのパジャマを脱ぎ…
スーツに着替えたチハルは昨日の夜の残り物の味噌汁とお惣菜で簡単な朝食を済ませる。ご飯派のチハルにとって朝にパンを食べるなんて考えられない。どんな時でもチハルはご飯を食べる。
食事を済ませ、勢いよく外に飛び出すチハル。
焼けるような日差しに顔をしかめるが、すぐに笑顔になるチハル。これから始まる冒険に胸を躍らして走り出す。
死者が多数出たためこのお話は打ち切りとさせていただきます。
2020年9月
おわかりいただけただろうか?
読む人の頭をおかしくしてやろうイズムがより色濃く出ていると言えるでしょう。
PCやスマホではなく「マカペ」という架空の端末で読んでもらえたらこうなるよという設定でした。
ちなみに他サイトでは驚くほどアクセスが悪かった。【スマホ厳禁】とあるので警戒されたのだろうか……。
話はよくわからなくても、ボツにした理由はわかっていただけたのではないだろうか。
しかし、今となっては逆にありじゃねという気もしないでもなくもないので、公開した次第!