携帯型育成ゲームについて語りませう【つめげっち】
子供の頃に使っていた学習机の鍵付き引き出しから、一時期ハマって遊んでいた携帯型育成ゲームを発見した。
ここでいう携帯型育成ゲームとは、小型の電子デバイスの中でペット(キャラクター)を世話して育てるゲームのことである。
これを言うと年がバレてしまうかもしれないが、当時は子供たちを中心に皆、携帯型育成ゲームに夢中になっていた。
自身をキャラクターだと思い込んで決まった動きしかしない「カクカク子供」や、キャラクターと同じように決まった時間に寝起きして食事をする「規則正しい生活」が社会問題化して流行語にもなった頃である。
私の同級生にも、カクカク子供がいてPTAから携帯型育成ゲームの禁止を求める声が出ていたと後年になって親から聞いた。
当のカクカク子供は、それからロボダンスのアーティストを経て今は官僚になったそうなので、一概に悪いものだったとは思えない。
とはいえ、大人たちはいい顔をしないので、携帯型育成ゲームは隠れてひっそりと遊ぶものという認識が子供たちの共通のものとなっていった。
一口に携帯型育成ゲームといってもいろんな玩具メーカーから多種多様な商品が出ており、当時私が遊んでいた「つめげっち」はクラスで一人か二人しか遊んでいなかった。
バトルは二つないとできないので、私はバトルをしたことがない。後年、私が格闘技をやるようになったのはこの苦い思い出が理由の一つかもしれない。
お世話メニューの一つの「爪切り」は頻繁にする必要があるのだが、やり過ぎてもいけない。子供にはなかなかに調整が難しい要素であった。
また、夜に切ると逆効果だという隠し要素もあり、これを見つけるまでは思うように育てることができなかった。
キャラの成長を自分なりにまとめた紙も一緒にしまってあった。
成長期から先は一戦でもバトルしないと成長しない。周りにやっている友人がいなかったので、私のつめげっちはいつも成長期止まりであった。
これを理由にして交友関係を広げることができていたらつめげっちの運命も、私の学校生活も変わったかもしれない。少しだけ心がチクチクする記憶である。
何を隠そう、私のペンネームも当時好きだったこの携帯型育成ゲームから拝借したものだ。
つめげっちを遊んでいた、クラスで一人二人くらいだった人、存分に語りませう。