無人島生活福袋
無人島に漂着して幾許年。
一人で生き抜いてきた自分に神様がご褒美をくれる時がある。
それを俺は福袋と呼ぶ。
中身は大体が衣服だ。これは一般的な福袋と同じだろう。
初めは喜んだが、着替えなど数着あれば足りる。別に見せたい人などいないのだから。
スマホが入っていることもある。
しかし、福袋は波に乗って届けられるので、ほとんど水没していて使えない。たまに防水のものがあっても、ここは電波が通じない無人島である。充電が切れるまでの慰みものにしかならない。
財布が入っていることもある。
言わずもがな、金なんてここでは何の役にも立たない。一円足りとも使う場所がない。
では、何が当たりか。ライターか。火は自力で起こせるようになった。タバコか。非喫煙者だ。
結局は本当の福袋と同じで、当たりなどないのだろう。中身が何であっても。
ある時から俺は福袋を食うようになった。神が福袋をくれるのは最初からこの為だったのかもしれない。
今届いた福袋。水を含んでゴボゴボうるさいので自作のモリで突く。少し待つと静かになった。
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爪に火を灯すような生活をしております。いよいよ毛に火を灯さなくてはいけないかもしれません。いえ、先祖代々フサの家系ではあるのですが……。え? 私めにサポートいただけるんで? 「瓜に爪あり爪に爪なし」とはこのことですね!