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Honey orange Earl Gray
こんな寒さで「寒い寒い」なんて言ったら
もっと寒い地方の人には怒られてしまうかな。
それでも、2月の午後はとても寒い。
凍えたココロがパリンパリンと割れて壊れてしまいそうだから、あのカフェに行こう。
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「お待たせしました」
金色の縁取りの白いカップに琥珀色が静かに揺れる
ベルガモットとオレンジと蜂蜜の香りが、時間を彩る。
「おいしい〜」
「甘ければ何飲んでも美味しいっていうんじゃないの、女子は」
「いやいや、この絶妙に素直なようで素直じゃないバランスとほろあまさがクセになるんだよー。この繊細さはわからないかな、男子には」
「素直なようで素直じゃない。誰かみたいにクセが強い?」
「はぁ。クセが強いんじゃなくて、クセになる、ね」
「クセが強いのも悪くないよ」
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カチャン。
「お待たせしました。」
金色の縁取りの白いカップ。
ベルガモットとオレンジと蜂蜜の香りがすでにほろあまい。
琥珀色に窓からの陽の光が射している。
冷めないうちに飲んでしまおう。
ひとくちずつ口に入れる。
頬杖ついてるフリ。
たぶん、これが最後。
カップには琥珀色の輪が残っていた。
確かに注がれていた証。
Honey orange Earl Grayには
夕陽と想い出が溶け込んでいた。
ほろあまい。
よかった!
ココロが少し溶けたみたい。
カフェの扉をあけて外に出た。
春を知らせる風はまだ吹かない。
大陽は今日の出番を終えようとしていた。
琥珀色が街を包みこむ。
2月の夕暮れは
案外寒くないかもしれないな。
word by Tsukushi🍀
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