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パンプキンスープ
日勤の帰りはたいてい夕方6時半
小さなパンをひとつパクつきながら買い物の
荷物を片付け、
ざっざっざっと
キャベツとベーコンを炒める。
豆腐とわかめのお味噌汁に焼き魚。
作り置きのかぼちゃの含め煮。
私の母はフルタイム勤務のナースだった。
母の毎日は忙しい。
母が看護師として仕事に復帰した日、
妹は保育園デビューを果たした。
その日の夕方に1人テレビに向かい
「トムとジェリー」を観た。一緒に笑う人がいない。
私も鍵っ子としてデビューを果たした。
高校生くらいの頃、母の勤める総合病院を風邪で受診した。
診察後に、母の配属の病棟に行ってみた。こっそり覗いた母の笑顔には看護師としての慈しみみたいなものと責任が滲んでいた。
気恥ずかしくなって、気が付かれないように帰った。
母の毎日は忙しい。
から揚げ、カレーライス、煮物、炒め物、魚、たまにはハンバーグ。そんなラインナップが主流のウチの夕飯のメニュー。
ある日、母がパンプキンスープを作ってくれた。
黒船襲来!これまでかぼちゃと言えば含め煮しか食べたことがない。思いがけない洋風なメニューの登場に驚いた。
私はパンプキンスープが気に入った。
自分でも作ってみたら、玉ねぎを刻んで炒めて。かぼちゃを切って蒸して潰して漉す。コンソメスープにあわせて煮る。最後にクリームと塩胡椒で味を整える。
つまり結構手間がかかる。
母が作ってくれたパンプキンスープの記憶。
それは母のもとに生まれて来ることを選んだ私への記念品みたいなもの。
私の毎日は忙しい。
私は何か記念品を贈ってあげれるだろうか。
word by Tukushi🍀
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