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希望に負けた

これまで絶望に打ちひしがれたことが幾度もある。

受験での不合格
素敵な女性に出会った彼がわたしの元から去った
職場での不条理
濡れ衣
健康不安
不和

もう思い出せない絶望の山。その度に、自室で一人叫び狂うほどだった。こんな人生なんてなくていい。なんで生まれてきたんだろ。今となれば親に謝らなけばならない呪いの言葉が頭の中に充満したものだ。

そのときでも、命を落とすニュースを見るたびに心が痛んだ。亡くなるなんて。これから先に楽しいことが待っていただろうに。

自分も同じだ。
どんなに苦しく、先の見えない絶望に包まれ、消えてしまいたい気持ちでいて、明日また恐怖を感じることが待っていると分かっていたとしても、これからの未来には美味しいものを食べることがあるだろうし、似合う髪型にしてもらえるかもしれないし、とても気にいる服に出会うかもしれない。新しく出会った友人とその気に入りの服で出かけた旅行は人生の大きな思い出のひとつになるかもしれない。もしかしたら旅に出かけた先が永住の地になるかもしれない。
これから先にはまだ経験したことのない幸福が待っているかもしれないのだ。それを手放してでも絶望に飲まれ退廃的に生きるか。人のことが羨ましいだけの人生を生きるか。

否。絶望の底にいた私は、希望に負けて上を向いた。



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