万作ジギー

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    日常の素敵なサムシングを描きます。

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旅立ちの日、僕は運転しながら「ぞうさん」をペットボトルにねじ込んだ

6年前のあの日、僕は故郷から旅立とうとしていた。そして、ひとりの人間としての尊厳を失った。成長?そんなものはない。それまでよりも、もうひと回り小さくなっただけだ。 では、何が起きたのか。車を運転しながらペットボトルにぞうさんをねじ込んだ。本当にタイトル通りのことが起きたのだ。ちなみに、あまりに都合の良い展開が続くがほぼ実話だ。あとは続きを読んで確認してもらいたい。 ■無職が一念発起して上京暑かった。7月だったと思う。その日、僕はいくらか大きめのバンを運転しながら東京を目指

    • 「ずっタピだよ…」守れなかったあのときの約束。もう一度タピオカに会いに行ってみた

      この2年間、私はすっかりタピオカドリンクのことを忘れていたような気がする。世界が厄災に飲み込まれ、人間の暮らしは大きく変わり、また街並みも変わった。いつのまにやらタピオカ店も姿を消していた。 それでも店がゼロになったわけじゃない。目立つ場所にはなくなったかもしれないが、少しばかりの移動さえ惜しまなければ営業しているタピオカ屋はまだまだ見つけることができる。 私はタピオカが好きだった。今だって行こうと思えば行ける。でも、どうした。行っていないではないか。所詮それが私とタピオ

      • バンジージャンプを経験して以来、なにか大事なものが壊れちゃった気がする

        2019年5月某日、僕は群馬県でバンジージャンプに挑戦した。高さは約60mだったと思う。テレビでは、足がすくんでなかなかジャンプできない人を見たことがあったが、僕自身は恐怖を感じることはなかった。 凪、の状態だ。 怖くもなく、喜びもない。「ああこれから飛ぶんだ」という気持ちしか湧いてこなかった。 でも、頭の中では何度も同じ映像が流れていた。理想のジャンプ姿、ジーザススタイルのこと。 ジャンプ台の終点に、つま先をお行儀良く揃え、まっすぐと前を見つめる。そして、ゆっくりと

        • ライスは大きいほど幸せになれるのか?

          飲食店のメニューにある「ライス大盛り」はその店が優良店であるか否かを判断するための大きな指標である、と常々思っている。私が29年を費やし証明した数式を披露してみせよう。 R=S Rは「ライス」、Sは「サティスファクション」。ライスの値が大きければ大きいほど、客のサティスファクション、つまり満足度も高くなる。そこには店側の客に対する心遣いすら表れている。 しかしだ、世の中にはライスの大盛りを謳っていながら、何食わぬ顔で並サイズのようなライスを提供してくる店が後を絶たない。

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          13本

        記事

          まめ鉄砲をもつ男

          映画館とはどのような場所なのだろうか。 大画面スクリーンと迫力の音響システムが準備された空間で最新映画が映し出される。大きな画面に映し出された巨大なモンスター。すぐそこでヘリコプターが飛んでいるかのような臨場感のある音。 ある日、2軒隣のヨシダさんが、ピスタチオの硬い皮を食べすぎて、体に突然変異が起こり、悲しきピスタチオモンスターになってしまうという映画を上映しているとする。 彼はピスタチオが大好きだった。 ヨシダさんは、なんと1秒間に1発のピスタチオを打ち出すことが

          まめ鉄砲をもつ男

          iKa

          イカへのときめき。 ふと、イカを買ってきた。 イカの目は、死してなお生きている。 死んだイカの目に見つめられ、生きている。 パスタだっておいしい。でもイカの方がもっとおいしい。 僕たちはイカの何を知っているんだろう。 品川には何があるんだろう。イカはあるのか。 言葉にできない衝動や感情が、全てイカに詰まって、それが突如爆発して。 いかめしができて。 そばめしもできて。 チャーハンができて。 みんなまるくなって。 もうがまんしなくていい。 好きなだけイ

          パンの耳にラヴソングを

          神父さま。 私の話を聞いてください。 私は食パンの耳が大好きです。いえ、愛しています。 しかし耳以外の場所、あの白い部分が大嫌いなのです。 ミチコが大嫌いなのですよ…! 食パンの白い部分の名前は「パン」? ミチコは「パン」と呼ばれているのですか? やっぱりあいつは天下の大嘘つきです。あいつはね、パンなんていうよそよそしい総称じゃないんですよ。ミチコというんです。そうやって彼女は真実を殺し歩いて生きてきたのですよ。きっと私以外は誰も知らない。私はミチコと呼ばせてもらい

          パンの耳にラヴソングを

          レタスとキャベツは見分けられなくてもいいんだよ

          レタスとキャベツが見分けられなくて泣いているみなさん、涙をふいてください。もうそのようなことで悩まないでください。 どちらでもいいのです。 レタスでもキャベツでも。 結果的にあなたが手に取ったもの、それがレタスだった。あるいはキャベツだった。それだけのことなのです。 ただそうは言っても、レタスとキャベツの安易な見分け方にすがろうとするものが後を絶ちません。巷には危ない情報もあふれています。 「軽い方がレタスで重い方がキャベツ」 「セロハンで包装されているのがレタスで

          レタスとキャベツは見分けられなくてもいいんだよ

          カナちゃんの彩りサラダ

          むごたらしい。 なんてむごたらしいんだ。 これキャベツじゃねぇか。 それはもう、とてもとても美しい春キャベツ。 今日は調理実習でレタスを使ったサラダを作ることになっていた。 カナちゃんは、キャベツを持ってきた。 非の打ち所のない立派なキャベツだった。少し小ぶりだが、艶やなかな緑色で、食べてもいないのにそのみずみずしさは十分に伝わってきた。きっと選りすぐりのキャベツなんだ。キャベツっていうのは、こういうもののことなんだろうなと感慨深くさえなった。 でもカナちゃん、今日

          カナちゃんの彩りサラダ

          25歳無職がリトルマーメイドをレンタルするということ⑤

          -前回までのファンタジィ- 無職の橋本は突然『リトルマーメイド』をレンタルしたくなった。なんとか『リトルマーメイド』をレンタルすることに成功したが、秘密組織マーメイドラグーンにコハダの握りに改造されてしまうという恐怖が橋本を狂気に駆り立てていた。しかし調査をしてみるとマーメイドラグーンは思ったより良いところだと判明した。 -過去のファンタジィ- 25歳無職がリトルマーメイドをレンタルするということ① 25歳無職がリトルマーメイドをレンタルするということ② 25歳無職がリトルマ

          25歳無職がリトルマーメイドをレンタルするということ⑤

          25歳無職がリトルマーメイドをレンタルするということ④

          -前回までのファンタジィ- 無職の橋本は突然『リトルマーメイド』をレンタルしたくなった。 なんとか橋本は『リトルマーメイド』をレンタルすることに成功したが、秘密組織マーメイドラグーンにコハダの握りに改造されてしまうという恐怖でたんぽぽに話しかけてしまった。 -過去のファンタジィ- 25歳無職がリトルマーメイドをレンタルするということ① 25歳無職がリトルマーメイドをレンタルするということ② 25歳無職がリトルマーメイドをレンタルするということ③ 橋本がバカになり、たんぽぽに

          25歳無職がリトルマーメイドをレンタルするということ④

          25歳無職がリトルマーメイドをレンタルするということ③

          -前回までのファンタジィ- 無職の橋本は突然『リトルマーメイド』をレンタルしたくなった。 ひまわりの乳輪のおじさんの登場や秘密組織マーメイドラグーンの存在におびえながらも橋本は『リトルマーメイド』をレンタルすることに成功した。 しかしマーメイドラグーンにコハダの握りに改造されてしまう恐怖は以前消えないままであった。 -過去のファンタジィ- 25歳無職がリトルマーメイドをレンタルするということ① 25歳無職がリトルマーメイドをレンタルするということ② 頭の中で流れ続けている

          25歳無職がリトルマーメイドをレンタルするということ③

          25歳無職がリトルマーメイドをレンタルするということ②

          -前回までのファンタジィ- 無職の橋本は突然『リトルマーメイド』をレンタルしたくなった。TSUTAYAのセルフレジでまごつく橋本。 ひまわりの乳輪のおじさんの登場。 果たして橋本は『リトルマーメイド』をレンタルすることができるのか。 ➡︎前回のファンタジィ 橋本は『リトルマーメイド』と『羊たちの沈黙』をセルフレジのバーコードリーダーに読み込ませることに成功した。 ただのんびりはしていられない。 橋本はすでに店員にマークされている。 もしかしたら25歳無職が『リトルマーメ

          25歳無職がリトルマーメイドをレンタルするということ②

          25歳無職がリトルマーメイドをレンタルするということ①

          橋本は元気な無職。 今日もファンタジィが始まる。 橋本は『リトルマーメイド』のことを思い出した。 そうなったら最後、あのミュージックが鳴り止まない。 『Under the Sea』が聞こえるんだ。 耳から離れない。 陸地に憧れを持つ人魚の少女アリエル。 それをたしなめる執事セバスチャン。 陽気な音楽が奏でられる。 セバスチャンが歌い上げる。 お魚たちは狂ったように踊る。 あのミュージックだ。 いつまでも橋本の頭の中で流れる。 一体どうなっているんだ。 鳴り止まない

          25歳無職がリトルマーメイドをレンタルするということ①