「まさかの〇〇オチだったけど、ほんまに〇〇で良かったです……」の話
大学生の頃、吹奏楽部に入っていた。
私はホルンという金管楽器の担当だった。
ホルンのメンバーは
4回生 N先輩
3回生 J君 Yちゃん 私
2回生 K君 Fちゃん
(N先輩、J君、Yちゃんはマイホルンを持っていた。
私と2回生の二人は初めてのホルンで、吹奏楽部の楽器を借りていた)
私が3回生の時、秋の定期演奏会で4回生の先輩達が引退した。
(あ、もしかしたら、N先輩、私に楽器を貸してくれるかな?)
とこっそり思っていた。
大学を卒業したら、なかなか楽器を使う機会もないので、割と後輩に楽器を貸してくれる先輩も多かったのだ。
しかし、一向にその気配はなく
(先輩、社会人になってからもどこかの同好会みたいなのに入って、演奏してんのかもな……)
と考えた。
そして、ある日。
後輩のFちゃんのホルンがピカピカになっているのを目の当たりにする!
えっ?先輩の?何で?
私でなく、Fちゃんに……
何故なの……
N先輩は天然でカワイイ上、芯のしっかりした女性だった。
当時、そんなに愛想よくもなく、少しトゲトゲした所のある私も、他の後輩と何ら別け隔てなく、可愛がってくれていた……
と、思っていたのに……
(何だかショックだ……まあ、先輩の楽器を誰に貸そうが、私がどうこう言える事じゃないけどさあ……)
数ヶ月後。
コンビニで
「あれ?久しぶり!」
と声をかけられた。
「あ、先輩!」
そこにはいつも通り、ニコニコしたN先輩がいた。
「元気?」
「元気ですよー」
「部活どんな?」
「先輩達おらんと、やっぱ寂しいです……あと、あの……先輩のホルン、Fちゃんに貸してるじゃないですか……あれは何故……」
「え?いらんって言ってたよな?」
「へ?言ってないですよー」
「え?あれ、『いる?』って聞いて『いらない』って言われたんやけど……夢の話だったかな?」
「嘘でしょ、先輩……何故、私飛び越えてFちゃんへ?って……真剣に考えたし」
「わー、ごめんな。Fちゃんから返してもらう?」
「イヤもう……いいっすよー。正直、先輩私の事嫌いだったん?とか思ってたんで、天然ならしょうがないですもん」
「ごめんよー(笑)」
夢の中の私め……
とは思わず、
(先輩が……N先輩がいい人のままで、本当に良かった……)
と心底ほっとした。
吹奏楽部あるあるだろうか?
私の大学だけ?
ホルンは天然の人が多い気がするのは……