マイナンバー 一度リセットしませんか

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総務省の発表資料から

安倍内閣のCOVID-19対策の評判がよろしくない。

それは緊急経済対策の"目玉"である特別定額給付金の給付について、オンライン申請が渋滞を起こしているからで、原因はマイナンバーと預貯金口座がヒモ付いていないことだーーと言う向きがある。特に自民党支持者に多いのはやむを得ない。

いやいや、マイナンバーのせいじゃないでしょう。本当の原因は「1世帯に2枚の布製マスク」(いわゆるアベノマスク)や「37.5度・4日間は自宅待機」というCPR検査基準を「国民の誤解」と断定したことじゃないのかよ、とチャチャを入れたくなる。しかしそれだと議論が噛み合わない。本当にマイナンバーが原因なのだろうか。

特別定額給付金のオンライン申請システムを調べると、マイナンバーは全く役に立っていないことが分かってきた。マイナンバーが普及していても、さらに預貯金口座とヒモ付いていたとしても、今回のオンライン申請システムでは、紙の申請書より支給が早くなることはない。

どういうことかというと、まずオンライン申請システムは申請者の本人確認をするためにマイナポータルを使っている。マイナポータルから見ると、申請システムはポータルにリンクしているアプリケーションの1つに過ぎない。この段階で、マイナンバー制度やマイナンバーに罪がないことが分かるだろう。

オンライン申請システムは独自の本人確認機能を持っていない。そこでマイナポータルにログインするためにマイナンバーカードとログインパスワード(利用者証明用電子証明書暗証番号)、本人確認パスワード(署名用電子証明書暗証番号)を使わせているわけだ。申請したデータにマイナンバーが付与されていないので、市区町村はダイレクトに振込み処理を行うことができない。

実際をいうと、オンライン申請システムは市区町村の事務処理プロセスとリンクしていないので、仮に申請者のマイナンバーが付与されていたとしても、職員が目視で住民基本台帳と照合しなければならない仕組みになっている。「マイナンバーを使えば早く支給されます」という政府のPRはウソばっかりだ。

翻って考えるのは、いまのマイナンバーって、本当に要るだろうか、ということだ。なるほど政府や行政機関にとっては、国民(住民)の1人ひとりを管理するために便利なツールなのだろう。しかしわれわれ一般庶民からすると、行政手続きが便利になったわけではない。むしろ面倒くさくなった感すらある。

カードを持つか持たないかは別として、すでに国民(住民)全員に番号が付いている。政府が「その気」になりさえすれば、資産状況だろうと病歴、犯罪歴だろうとマイナンバーにヒモづけするのは難しくない。今回のCOVID-19でプライバシー保護と社会公共の安心・安全のトレードオフに関する議論、マイナンバーに預貯金口座のヒモづけを義務付ける案などが出てくるに違いない。

検察庁法改正案はいったん取り下げと決まったが、国民を「管理された自由」の下に置き、「由らしむべし知らしむべからず」の目論見は見え透いている。マイナンバー制度をいったんリセットし、本当に役に立つ仕組みに作り変えるべきではないだろうか。


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