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EVは自動車から二輪車へ:高橋成知

 普通EV乗用車の普及の無理が露呈してきた。中国は極端な普及支援補助で、EV車の普及を試みたが、補助がなくなると、急激に需要が減り、その分の車を他国へ格安で売り裁こうとしている。
 自動車は当面、ハイブリッド車が主流となろう。トヨタも特許を公開し、仲間を増やそうと戦略を変えつつある。EV開発のおかげで、蓄電池の性能が向上し、ハイブリッドエンジンの効率が急速に増している。

■世界最大のインド市場がBEV
 そこで注目されるのがインド市場である。二輪車のEV化(BEV)を急速に進めようとしている。バイクの充電は家庭の電源で行えるため、インフラにそれほどコストはかからないし、蓄電池も小型で済む。開発コストも余りかからない。
 2023年の世界の二輪車販売台数は5、700万台。最大市場はインドで3割を占めている。その中で、日系メーカー(ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキ)は日本市場が世界の1%しかないのに、世界市場で45%のシェアを誇っている。
 生産台数ではインド、中国ともに1500万台以上生産しており、中国は半分を輸出している。

■2030年までに比率80%が目標
 今回のKPMGの調査で注目されるのが、人口14億人、バイク保有台数2・4億台(乗用車5倍)のインド市場の動向である。インド政府は2030年までに二輪市場の80%をBEV(電動バイク)に引き上げる方針を打ち出している。
 深刻な大気汚染問題、原油輸入額の増加(2000憶ドル)による貿易赤字の削減が課題となっており、BEVの普及促進政策を次々打ち出している。需要創出のための新車購入補助金、国産化推進投資促進・供給網強化策、インフラ整備、資源確保・リサイクルなど、1000億ルピーの予算を投じて普及に努めている。
 現在、インドはリチウムイオン電池の輸入量を30億ドルに増やし、半分は中国市場から輸入をしている。二輪BEV車両購入費用がガソリン車に比べ高いが2年目からは燃料費が抑制でき、保有コストが10年間で3分の2のコストで済むのが魅力だ。
 世界最大の市場がBEV化して来る時、日本メーカーやBEVのない日本市場はどうなるのか?聞くと、「軽自動車が200万円を越えて来ており、50CCの廃止、125CCへの転換が進むと、日本市場も安価なバイクやBEVへの需要が高まってくるのではないか?」(KPMG)と予想していた。

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