マッチングアプリの初デートの会話は奥が深い
新宿駅に到着した僕は、カフェに向かった。
新宿西口にあるベローチェという、僕が2番目に好きなカフェチェーン店だ。
ベローチェは優秀だ。
コーヒーがスタバより安くて充電器付きの席も多い。
その日もアイスコーヒーのレギュラーサイズをいつも通り注文した。
値段は280円。スタバのドリップコーヒーショートサイズより100円安い。
企業はサイレントに値上がりするから、行く度にベローチェのコーヒーだけは値上がりしないでと心の底から願っている。
会計を終え、地下に向かう螺旋階段を降り端っこの席に座った。
明日からの仕事頑張るか〜とパソコンを立ち上げる。
着席から5分後、24歳の芋っぽい男と金髪でアパレルの販売員っぽい女性が現れた。おそらく女性の方が年上だと思う。
直感的に、この2人の組み合わせはなんだ…
とても失礼な話だが、違和感を感じづにはいられなかった。
おそらく、普通に生きていると出会わない2人だ。
2人は僕の隣の席に座り、男は女性を席の奥側に座らせた。
パソコンを目の前に仕事に集中しようとするが、どうも気になる。
別に彼らの話を聞こうとしたわけではないが、
何を話すのかが猛烈に気になっている自分がいた。
お互いの簡単な自己紹介は、新宿駅からベローチェに入る前に済ませていたのだろう。仕事の話から会話が始まる。
ここからは、男をA君と名づける。
A君の仕事は、営業をしているということもあり、話し方や会話の応対はしっかりしていた。
ただ、違和感を感じられずにはいられない会話があった。
A君は、恐らく次のデートをこの場で決めたかったのだろう。
「次、会いますか?」と女性に言った。
その瞬間、僕は思わず口に入れていたコーヒーを目の前のパソコンに吹きそうになった。
おいおい… お前強気だな…
それに対して女性は、
「私土日お客さん多くて、平日になるんだよね〜」と。
それに対してA君は、少し間を空けて「あ….僕土日休みなんですよね。」
いやいやそこは、
「あ、そうなんですね!全然大丈夫です!平日夜にご飯行きましょう!」
ってもっと明るく答えればいいやん。
妙な間があったせいで、彼女はすぐに会話を切り替え、
「このアプリで結構会っているの?」と聞いた。
A君は、「初めてです、全然このアプリで会えてなくて」と答えた。
A君は等身大だった。
等身大なのはいいことだと思うが、多分受け答え的には
「最近アプリ初めたばかりで、会えていないんです」
のように、アプリで会えていない自分を伝えるんじゃなくて、
アプリを始めたばかりにした方が、自分を低く見せずに済むのになあと。
22:00前頃に、2人はベローチェを出て行った。
僕も2人に続いて、一口も飲んでいないアイスコーヒーを片手に持ち席を立った。
2人はどこに消えたのか知る由もないが、
99%、駅の改札でお別れをしただろう。
そもそも、マッチングアプリの初回デートで「ベローチェ」を選ぶのはどうなのか。
僕だったらせめて、「ドトール」か「タリーズ」にする。