映画『マーティン・エデン』ルカ・マリネッリ圧巻
京都シネマにて「マーティン・エデン」鑑賞しました。主演のルカ・マリネッリが第76回ヴェネツィア国際映画祭で「ジョーカー」のホアキン・フェニックスを抑えて男優賞受賞。あの、ホアキンのジョーカーを抑えてって、それほど良いのか?興味しんしんでした。
アメリカの作家ジャック・ロンドンの自伝的小説「マーティン・イーデン」の舞台をイタリアに置き換えたストーリー。労働者階級出身の船乗りマーティンがブルジョアの令嬢エレナに恋したことから、文学に目覚め、独学の猛勉強で作家をめざすが、、、
もう、船乗りマーティンはルカ・マリネッリしか考えられない当たり役。みんなが振り返る程の美男ぶり、自分を阻止するものはぶん殴るガタイの良さ。ピエトロ・マルチェッロ監督もルカ・マリネッリしかいないと思ったそうです。
以下ネタバレあります。
マーティンは何回も何回も原稿を雑誌社に送るのですが、全く採用されません。お金も底をつき熱に倒れたある日、初めて採用の手紙と小切手が送られてきます。観ている私たちも歓喜の瞬間です。この瞬間までの若き野心にあふれた、でも貧乏なルカ・マリネッリが本当に素晴らしいです。
マーティンが初めてエレナの豪邸で食事をした時、食事のマナーからして明らかに違ったのですが、マーティンは卑屈な態度はとりませんでした。
マーティンは小学校4年から学校にも行けずに、教育を受けていないことも、ありのままにエレナに話します。エレナもそんな彼を拒絶することなく、文法の本を彼に与え好意を持ちます。でも、マーティンが勉強し知識を得ることで、文学だけでなく、「社会のひずみ」が見えてきて、ブルジョアのエレナとは上手くいかない。
マーティンは知ってしまったから、もう無知なころの自分には戻れない。
エレナにも拒絶される。あんなに努力して富と名声を手にいれたのに、本当に欲しいと思っていたものはどこかに行ってしまう。
ルカ・マリネッリの名演だけではなく、ストーリーもすべて良かったです。
久しぶりの京都シネマさん、オンラインでチケット購入ができて、とても快適でした。やっぱり、映画館が好きです。