
細月と金星の共演
※過去リライト記事(2020年12月当時)
私の住む街では、朝早くから活動する人が多い。
それでも、日によっては人気のないひっそりした朝もある。
毎朝、空のスクリーンに、暗闇から様々な模様や色彩が浮かび上がっていくのを
歩きながら眺めるのがとても楽しみ。
数日前、家を出て歩き始めると、その正面に
非常に細い月と、その横に寄り添う光り輝く星が待ち構えていた。
その美しさに驚いた。
まるでトルコ国旗のような構図。
この細い月とは、まさにtsukitoameのシンボルである、いわゆる私の言う「細月」。
限られた日の、早朝あるいは夕暮れ時の短い時間に現れる、はかなげな月。
この細月と金星と一緒に歩いた。
最後は、夜明けとともに薄くなり、消えていく。
すこし晴れない気持ちだったところに、細月と金星に励まされたようだ。
どうやら、細い月に金星が大接近するという記念すべき日だったことを帰宅してから知った。
とくに今回は、間隔が1度未満と非常に近づき、いっそう印象的な美しさになるものだという。
偶然、天体からの贈り物を受け取ることができて、幸運だと思った。
★★★★★
ところで、金星は、「Venus(ヴィーナス)=愛と美の女神」の名前が与えられていることは周知されてること。
小学生の頃は、大の天体好きだったわたし。
金星は、8つの惑星のうちで最も暑い(熱い)星であり、“灼熱の惑星”である。
子どもながらに、何故こんなに過酷な惑星のことをVenusと名付けたのか不思議だった。
今になって調べてみると、2つの説があるようだ。
ひとつは、
金星は、水星に次いで太陽に2番目に近い星。
地球から見ると、とても明るく見える星であり、最大光度を放つ時、その輝きは非常に強くなる。
この輝きの強さから、Venusと名付けられたという説。
もう一つの説は、
金星は地球よりも内側を回っているので、金星は地球より早く軌道を巡る。
金星は地球からみて太陽と被ることがあり、これが1.6年周期で起きる(会合周期)。
1.6年毎に地球を追い抜かすのだ。
*金星公転周期 = 0.615年
*地球公転周期 = 1.0年(金星公転周期の1.6倍)
*会合周期 = 1.6年(地球公転周期の1.6倍)
金星は8年間に5回地球と会合し、会合しているときの地球の位置を結んでいくと、軌道上に整った星型を描く。
星型マークは、別名「五芒星」という名前がある。
古代では、五芒星の意味は、「神聖な女性」という意味を持っていた。
金星が整った五芒星を描くことから、Venusという名を与えられたという。
それにしても、地球公転周期が「金星公転周期の1.6倍」、「会合周期が金星公転周期の1.6倍」
という黄金比に驚かされる。
やはり、すべては幾何学で成り立っているのだ。
金星は、地球との位置関係から、明け方か夕方にしか見ることができない。
美しい輝きを放つ、限られた時間にしか出会えない星。
明け方あるいは夜に入る前のわずかな時間帯にしか見ることができない星。
これも細月と同じだ!と、ひとり嬉しくなった。
© tsukitoame
いいなと思ったら応援しよう!
