6年悩んで、ようやく出会えた最高の歯医者
我が子達はあごが小さいらしい
1歳頃から定期検診を欠かしたことはない我が子達。私が幼い頃はとにかく歯医者が怖かったので、我が子達にはそんな思いはさせたくない。その一心で、楽しい雰囲気と優しい先生を求めて毎回違う歯医者に行っていた。早めに相性の良い歯医者を見つけて、そこに通うことで歯医者への恐怖心をなくしたいという思いだった。
でもなかなかぴったりの歯医者と出会うことができず、数ヶ月置きに色々な歯医者へと足を運んだ。コンビニよりも歯医者の方が多いと言うのはなんとなく聞いたことがあったけど、調べてみると自宅から10分以内の距離に20件以上の歯医者があってその多さに驚いた。その中から口コミの良い所やキッズルームが充実している所などをピックアップしては検診に通った。
2歳頃になると、歯医者に行ってもだいたい同じようなことを言われるようになった。
矯正か。
私は矯正をしたことがないけれど、仲の良い友人が矯正をしていたのでその大変さは何となく知っていた。すごく喋りづらくなるとか、ワイヤーが痛いとか、食べ物にも制限があるとか、時間もお金もすごくかかるとか。そんなイメージだった。
だけどまだ先のことだし、もしかしたら意外と歯並びよくなるかもしれないし、その時になったら考えればいいかくらいに思っていた。
もやもやが募っていった
しかし定期検診に行くたびに必ずあごの小ささは指摘される。3歳児検診や園での歯科検診でも指摘される。歯が生えそろってきたあたりかり、こんな風に言われることが多くなった。
我が子達の口の中を見られるたびに、
「あぁ・・・」と言われる。その「・・・」に「こりゃだめだ」「これはひどい」などの含みが私にははっきりと聞こえるのだ。
そして圧強めに、矯正の話をされる。費用の話をされて、絶対やった方がいいと強くすすめられる。やらないと、どんどん歯が前にでてきますよとか、口が閉じなくなりますよとか、矯正をしなかった場合のデメリットを淡々と説明される。
だけど矯正を始められるのは乳歯が抜けて永久歯が生えてきてからだと言われた。今出来ることはありますかと質問しても、特にないと言われた。
私はあごの小ささを指摘されるたびに、矯正の話をされるたびに、すごく嫌な気持ちだった。
我が子達の歯を否定されている気持ちになったからだ。
我が子達は赤ちゃんの頃から歯磨きを嫌がったことはほぼないくらいに歯磨きに対して前向きだった。歯磨きシートで拭いていた時期も、お口にシュッとスプレーしていた時期も、持ち手つきの歯磨きデビューした時も、歯磨きのことおやつだと思ってる?と思うくらいに毎日喜んで磨いていた。
歯医者に行った時も、初めのうちは人見知りもあって泣いてしまうこともあったけど、次第に慣れていくうちに泣くこともなくなり、歯医者を楽しみするくらいご機嫌で通っていた。
我が子達は自分の歯をコンプレックスに感じたこともないだろうし、歯を当たり前に大切にしていた。
そんな我が子達の歯を見て「あぁ・・・」と言われる。それがものすごく、つらかった。
というか本当は、腹が立っていたのだと思う。
そう言ってやりたい気持ちでいっぱいだった。(でも小心者なので絶対に言えない)
もう近所の歯医者はいつの間にか行き尽くしていた。暇さえあればネットで口コミを調べて、少し遠い場所の時は電話をかけて話を聞いたりもした。中にはリピートする歯医者もあったけれど、絶対この歯医者がいい!と思える歯医者とはなかなか巡り会えずにいた。
それでも定期検診には通う。そしてまた同じことを指摘される。もう何も言われたくなさすぎて、初めての歯医者に行く時は予約の段階で自分から言うようにしていた。
「あごが小さくて歯並びが悪いことは分かってます。矯正の相談もしています。虫歯がないかの検診とフッ素だけお願いします。」
それでも、口を開くと「あぁ・・・」と言われ、そのたびにまたしっかりと傷ついた。
救ってくれたのはママ友だった
もやもやを抱え切れなくなった私は、ある時Instagramのストーリーでつぶやいた。
上の子の歯が抜け始めて、本格的に矯正について考えなくてはと悩んでいる時期だった。
本当はずっとめちゃくちゃに悩んでいたのに、こんなに小さい文字で、しかも“多分“なんてつけてみたりして、本当は“絶対“なのに。当時の私は誰かに相談したいというよりは、自分のもやもやを少しでも発散したい気持ちが強かった気がする。普段から割と子ども系のストーリーは投稿していたし、この時も軽くつぶやいたストーリーだった。
すると、ストーリーを投稿した途端たくさんのDMとLINEをもらったのだ。仲がいい友人だけでなく、普段やり取りをしない何年も会っていなくてSNSだけ繋がっていた同級生や子どもを出産した時期が近いことで繋がっていたママ友さんなどからもたくさん連絡がきて驚いた。
オススメの歯医者や評判のいい小児矯正を教えてくれたり、実際に通った矯正の期間や費用などを教えてくれる方もいた。冒頭に書いた“仲の良い矯正をしていた友人“からも連絡をもらい、約2年ぶりにLINEのやり取りをして当時の話で盛り上がったりなんかもした。
そして1番多かったのは、同じように歯並びに悩んでいたりどの歯医者に通えばいいか迷っている私と同じような思いを抱えていた方達だったのだ。
ママ達とたくさんのやり取りをして、それぞれの悩みを聞かせてもらったり、分かる分かると共感し合ったり、私が行った歯医者の情報も共有したし、それぞれの地域の情報も共有させてもらい、ネットの口コミだけでは分からないリアルなママの声を知ることができた。
一通り全ての方とのやり取りを終えた瞬間、今までひとりで抱えていた悲しさや辛さや腹立たしさがものすごい勢いで一気に晴れていくのを感じた。
やっと出会えた最高の歯医者
たくさんの歯医者を教えてもらえたのでどこに行こうか悩んでいたが、ひとりの友人のこの言葉に気持ちがかたまった。その日のうちに電話をかけ、1週間後の予約を取ることができた。
自宅から2駅先・車で20分ほどで比較的通いやすい場所ではあったけれど、その歯医者は特別綺麗なわけでもなく、キッズルームが充実しているわけでもなく、何も知らずにHPだけ見ていたら“予約してみよう“とは思わなかったかもしれない。
また「あぁ・・・」って言われたらどうしよう、そんな不安な気持ちも抱えながらもあっという間に1週間が過ぎ、予約当日となった。
私の不安は5分で消え去った。
コンパクトなキッズルームで3分ほど待つと、すぐに名前が呼ばれて我が子達が順番に診察台に寝転がって口を開けた。
内心ドキドキがとまらない私の不安はすぐに吹き飛ぶこととなる。
歯科助手さんなのか歯科衛生士さんなのか定かではないが、とにかく明るくて陽のオーラを纏った60代くらいの女性が、我が子達をこれでもかと褒めてくれるのだ。
こんなに褒めてくれる歯医者は初めてだった。
我が子達も褒められた嬉しさと、何と表現したら良いか分からないがその女性が放つとにかく楽しい雰囲気にすっかり虜になっていて、いつもより足も手もピンピンに伸ばして、口もこれでもかってくらいに開けて、うがいもいつも以上に丁寧にぶくぶくぺっをしていた。もっと褒めて!の様子が可愛くて、心底ありがたかった。
そして院長がやってきた。背の高い50代くらいの男性だった。
にこやかに穏やかな雰囲気でそう聞かれた。
私は今までの歯医者での経験を思い出しもやもやした気持ちが胸のあたりでうずくのを感じながらも、正直な気持ちを話した。
「決まった歯医者には行っていなくて、色々な所に行っています。どこの歯医者にいってもあごが小さくて歯並びが悪いから矯正が必要だと言われているのでそれは分かっているんですけど、子ども達の歯を見るたびに「がちゃついてるねー」と言われたり「あぁ・・・」って言われたりするのが何だか悲しくて・・・」
すると私がそう説明しているのを遮るようにして、
そう、言ってくれたのだ。
私は涙が溢れて、溢れて、とまらなかった。
院長先生は、怒っているスタッフさんと泣いている私に少し戸惑いながらも優しい言葉をかけてくれた。
今まで抱えていたもやもやが完全に消え去った瞬間だった。
この歯医者に通いたい。この先生達に診てもらいたい。やっと心からそう思える歯医者と出会えたのだ。
あの時言ってくれた友人の言葉は本当だった。この歯医者を教えてくれてありがとう。本当にありがとう。
ベストなタイミング
6年間ずっともやもやし続け悩んでいたことが、独り言のようにストーリーに投稿した、ただそれだけで一気に良い方向に向かえたのだから、もっと早く悩みを打ち明けられていたら良かったのにと思う人もいるかもしれない。
だけど私は、6年間悩みに悩んだからこそ、今通っている素敵な歯医者に出会えたのだと思っている。
悩んで、傷ついて、色んな所を試して、また探して、だからこそ、たくさんのママ達と深い情報交換ができたのだ。
6年間悩んでいなかったら、自分がどんな歯医者を理想としているかさえ分かっていなかったかもしれない。
私が歯医者に求めていたのは、家からの距離や綺麗な内装や充実したキッズルームではなかった。
私が出会いたかったのは、
大切な我が子達を信頼して預けられる先生。
当たり前のことかもしれないけれど、私はこの6年をかけてようやくここに辿り着けたのだ。
最高なのは人柄だけではなかった
もやもやしていた、傷ついた、と散々書いたけれども、実際に我が子達の歯はその小さなあごに収まり切れず、生えてきた永久歯はガタガタし始めている。
泣いていた私も落ち着き冷静になったタイミングで、すぐに歯並びについても診てもらった。
「絶対に矯正が必要ですよね?」そう尋ねると、意外な答えが返ってきた。
矯正が必要じゃない可能性もある、、、?!
まだあごが広がる可能性もある、、、?!
今まで通ってきた歯医者ではそんなこと一度も言われたことがなかったのに。
今出来ることは特にないとまで言われていたのに。驚きすぎて、鳩が豆鉄砲を食らったよりもさらに驚いた顔をしていたと思う。
今出来ることとしてさらに詳しく教えてくれた。
そして矯正にかかる費用についても、今まで聞いてきた歯医者の中で1番安く、器具の料金、検診の料金、破損した場合や追加になる場合など1つ1つ詳細にものすごく丁寧に説明してくれた。料金が安ければいいというものでもないけれど、誠意あふれるその説明に、私は安心と納得を覚えたのだ。
矯正をスタートさせることに
同じ歯医者に通い続けてちょうど1年くらい。
上の子が今1年生。先生の言っていたように夏休みあたりには、下4本が永久歯に生え変わっていた。上4本も抜けたのだが、真ん中2本は生えたもののその両隣の歯がなかなか生えてこない状態となっている。
その歯の生え方を少し様子みようとなっていたのだけれど、ちょうど今日、検診に行ってきた。まだ両隣の歯は生えてきていないけれど、永久歯が生えてくるスペースがないため、このままだと後ろ側に生えてきたり斜めに生えてくる可能性が高いとのことだった。
そして来月から、
矯正をスタートさせることを決めた。
床矯正という、あごを広げるタイプの矯正だ。
痛みについて、装着時間、器具の取り扱い、期間、料金、どの程度の効果が期待できるのか、直らない可能性はあるのか、などなど、私が不安に思っていることはこの1年をかけて全て丁寧に説明してもらったし、圧強めに矯正をすすめられることもなかった。
子どもにも私から説明もしたし、先生方からも優しく丁寧にお話してくれて、子ども自身も「やりたい」とのことだった。
誰からも否定されず強制されず、フラットな状態で決断できた。矯正しなくてもいい可能性も検討したうえで、永久歯が生えてくるまでに努力することもできた。子ども自身も私も納得したうえで決断できた。
何一つもやもやすることなく、矯正をスタートできる。不安も迷いもいっさいない。こんな晴れやかな気持ちで決断できるだなんて、1年前の私には想像もできなかった。
年子である下の子は現在年長で、なるべく噛む回数を増やすことを意識しながら今出来ることを頑張っている。正直上の子よりあごが小さく、まだ乳歯の段階ですでに歯が重なっている部分があるため、矯正が必要だろうとは思っている。
それでも検診で、先生達から「あぁ・・・」と言われることがなく、まだまだあごが広がる可能性を信じて前向きな言葉をたくさんかけてもらっているし、私はそれがものすごく嬉しくて、これからも安心してこの歯医者に通うことができるのだ。
この歯医者に出会えて本当によかった。
大切な我が子達の歯を、これからもよろしくお願いします。
(次は最高の眼科を探しているところです、素敵な眼科を知っている方是非教えてください)