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僕の好きな先生

僕の好きな先生

僕は先生に恵まれたかもしれない。
好きな先生はたくさんいるけど…

中学生のときの英語の先生は特に印象に残っている。
でも僕の英語授業の担当になった事はないし、かと言って担任の先生にも当たった事はない。

その先生は選択授業[音楽]のギターの先生でもあった。中学生のときにギターを自由に弾けた、ギターの授業。

授業初日から僕は既にギターが弾けて、ギターに関する知識もあった。先生はそれを知っていたので、僕に学校に置いてある全てのギターの弦交換をするように命じたのだ。「授業初日から何で僕だけ弦交換…みんな学校でギター弾けてうらやましいな…」と思っていた。

20〜30本くらいあるギターの弦交換を終えた日、先生に張り終えた事を報告すると、

『こうちゃん。今度学校の朝礼の時間、全校生徒の前で先生と一緒にライブやろうか?』

と言われて…嬉しいと同時にビックリした。先生と一緒にライブ?いいのか!?断る理由もなく、

「もちろん、やります!」

先生はもうやる曲も決めていたみたいで、

『じゃ、この曲やるから、これカセットテープね』

と言われるがまま家に持って帰って聴く。
テープに入ってたのは【ブルーハーツより愛を込めて】という曲だった。

・・・・・・・・・・・・・・・

鉄砲も兵隊も
政治家さえもいらないよ
君たちが望むのは
自由だけでいいよ

たった一つの小さな夢
追いかける若者がいて

たった一つのその命を
燃やし続けている

・・・・・・・・・・・・・・・

「この曲を全校生徒の前で先生歌うのか…無茶苦茶だ」と、中学生ながら思った。

当時、学校はものすごく荒れていて、何とも言えない閉塞感が毎日漂っていた。先生は先生なりに生徒達に何か伝えたい、生徒達の気持ちを変えるきっかけを作りたかったのだろう。

本番当日、ライブが始まった。先生は歌い出した。
『飴玉も、先生も、ケンカさえもいらないよーーー』
ん!?
まさかの替え歌だった。

僕は緊張しすぎてライブの事をあまりよく覚えていないけど…

音楽の力ってすごい。
大の大人の感情をこんなに揺さぶって、こんなにも熱くさせる…。僕は先生を見て聴いて驚いたのをよく覚えている。

ライブのあと、先生は先生達に怒られてたんじゃないかな…そんな心配も少しした。

中学を卒業してから先生とは一度も会っていない。
僕はあのライブを忘れない。
あの熱量も忘れない。
僕の好きな先生。
今も心に残って響いている。

※写真は地元の収穫期の麦畑(中学校付近)

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