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「最近のボカロ曲は〜」は半分正しいし、半分間違っている


こんにちは、月並みです。

少し前、DECO*27さんによって、新曲「サッドガール・セックス」が投稿されました。

もとより、DECO*27さんは、センシティブ・エロ系統の楽曲を多く投稿している方です。ですが、それでも今作のタイトルは直接的すぎる…。ということで、「ついにDECO*27がセックスしたぞ…!」と、Twitterなどでは結構盛り上がりました。

しかし、その最中、こんな意見も多く見られました。

「最近のボカロ曲は下ネタや露骨なエロばかり」
「あの頃のボカロ界隈はよかった」

しかし、一部の層では、「絶対にそんなことはない」「むしろ最近のほうが丸くなった」とも言われています。

私的には、これらの意見、どれも半分正解で、半分間違っていると思います。

今回はちょっと持論を話してみます。


ボカロ民と非ボカロ民の認識のズレ


結論から言うと、ボカロ民と非ボカロ民の間に大きな認識のズレがあるため、こんな意見の食い違いが生じていると考えています。

1.大衆化する「ボカロ」と、界隈内の分裂


最近、ボカロ文化の大衆化が進んでいます。

TikTokなどを経由した、若い世代のボカロ曲ブーム…。米津玄師やYOASOBIなど、ボカロPあがりのアーティストの増加…。重音テトSVなどの発売による、ボカロの「機械音らしさ」の低減など…。

ボカロの大衆化は日本だけではなく、ロストアンブレラや少女A、メズマライザー、ラビットホールなど、海外で大きくヒットした楽曲も増えてきています。

それらのおかげか、だんだんとボカロは「オタク文化」ではなくなってきていると思います。

かといって、オタク文化が廃れたか、といったらそんなことはありません。
大衆化していく一面と、サブカルな空気を維持したまま発展している一面
今のボカロ界隈では、その両方が同時に進行しています。

これはつまり、ボカロ界隈の中でリスナーが分裂してきていることを意味します。

2.「リスナー層」でみた、ボカロ曲の区分


大抵の場合、「流行りのボカロ曲」は「ボカロ界隈全体」で流行っているわけではありません。
まずはボカロ界隈をいくつかに区分し、その層で流行っている曲の例を挙げてみましょう。

現在のボカロ界隈は、細かく見ると4種類あると思います。

① ライト層
② ヘビー層
③ 海外層
④ 単推し層

① ライト層
ボカロ曲を選んで聴いたりはせず、「流行りのJpopの一つ」という認識。歌ってみた界隈、VTuber界隈などとも重なる部分あり。人口は最も多い。
酔いどれ知らず、グッバイ宣言、人マニア、オーバーライド、など。

② ヘビー層
ボカロ曲を選んで&好んで聴く層。自分らは「流行りの曲」と思っている曲でも、一般的には認知度が低いことが多々ある。ボカコレ、無色透名祭などのイベントを追ったりする。わたしみたいな人。
㋰責任生命体、モミアゲヲシャカアゲヲ、ミニ編、頭ン痛、など。

③ 海外層
海外のリスナー。ひとくくりにするのは不適切かもですが。
少女A、ロストアンブレラ、愛して愛して愛して、など。

④ 単推し層
特定のボカロPさんの曲だけを聴く層。その人以外のボカロ曲には疎いことが多い。
①ライト層と重なる部分あり。

こんな感じでしょうか

さて、ここで疑問が生まれます。
そもそも、「最近のボカロ曲」とは何を指しているんでしょう…?

3.生まれる認識のズレ


「最近のボカロ曲はエロばかりだ。」の意見。
この意見を言っている人のほとんどは、①か④の人でした。

つまり、この人が言う「最近のボカロ曲」とは、おそらく①のこと。
つまり、『ライト層で最近流行っているボカロ曲は、エロばかりだ』と言っているわけです。

逆に、「そんなことはない。」と反論している人は、ほとんど②の人でした。
つまり、「最近のボカロ曲」を、「ヘビー層で流行っているボカロ曲」と解釈しており、『ヘビー層で最近流行っているボカロ曲は、エロばかりではない』と言っているわけです。

これが、意見か食い違う原因です。


ライト層の「最近のボカロ」


 「最近のボカロは〇〇だ〜」とよく言われますが、実際のところ、ライト層の「最近のボカロ」は、どうなっているのでしょう?

1.「ライト層で流行りやすい楽曲」の特徴


ライト層がいう「最近のボカロ曲」は、「TikTokやYouTubeショートでバズっている曲」と先述しました。では、そのプラットフォームでバズりやすい曲の特徴を考えてみます。

この層にいるボカロリスナーは、小学生〜中学生が多く、曲の使用用途は、動画のバックミュージック、ミニマムなダンスの音源などが多いです。

そこから少し考察し、まとめると、

① 小学生~中学生のリスナーにウケる内容(歌詞、テーマなど)
② ダンスの振り付けになりやすい、ポピュラーでキャッチーな曲調
③ BGMにしたときになじみやすいような、癖が少ない曲調

これらの特徴を持った曲が伸びやすい、といえます。

2.「最近のボカロ曲は~」と合わせて考えてみよう


これらをもとに、一部の人が言っている、「最近のボカロ」への苦言を考察してみましょう。

① エロばかり
→ ライト層なら、リスナーの年齢層が小学生~中学生に偏っているので、それがテーマの曲が流行るのも普通である。
ライト層以外では、エロが題材の曲はそれほど多くない。

② 考察が前提となっている&深い意味をもたせようとしすぎている
→ ライト層なら、リスナーの年齢層が小学生~中学生に偏っているので、「隠された真実」や「本当の意味」のような概念に惹かれるのも普通である。
ライト層以外では、考察が前提の曲はそれほど多くない。

③ 自殺をテーマにしたりだとか、感傷的で悲観的な歌詞ばかり
→ ライト層なら、リスナーの年齢層が小学生~中学生に偏っているので、子供向けではない重い題材を扱った、「少し大人びたコンテンツ」に興味を持つのも普通である。
ライト層以外では、考察が前提の曲はそれほど多くない

etc…


そもそも、音楽に優劣はないって話


この当たり前を、みんな忘れてやいませんかね…?

数学や理科のテストとは違って、創作物に絶対的な尺度はありません。

「誰一人この曲を認めてはいないけど、私は大好き」という曲もあるだろうし、「何千万人に褒め称えられているけど、私は苦手…」という曲もきっとあると思います。

私はヘビー層にいますが、エロマシマシの曲や感傷的な曲も大好きです。
逆に、実験音楽的な曲や、エレクトロニカ、民謡のアレンジなどももちろん大好きです。
(私は限界全肯定オタクなので、『ボカロ』ってだけでなんでも好きです←)

結局のところ、「自分がその曲に対してどう思うか」なのです。

なので、私は自分の意見を他人に押し付けたり、自分の意見がさも大衆の意見かのように発信することは絶対にしません。ましてや、特定の楽曲やボカロPさんを否定するなんて論外です。

この考え方がもっと広がってくれれば、この「最近のボカロ曲は~」なんていざこざはなくなると思うのですが…


結論


「最近のボカロ曲は~」は主語がでかすぎ。
もっと互いの意見を尊重しましょ。

以上です。

それでは、また。

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