『ロミオ&ジュリエット』【芝居感想】
2021年6月7日観劇(TBS赤坂ACTシアター)
原作の舞台である14世紀イタリア、原作の書かれた16世紀イギリス、1961年の映画『ウエスト・サイド物語』、1997年の映画『ロミオ&ジュリエット』、そして今までのミュージカル『ロミオ&ジュリエット』に2021年の文化文明を大変贅沢に取り混ぜた、美味しすぎる「ごった煮」でした。
私はとにかく衣装が好きで……すごい素敵。特にキャピュレット家の赤と黒のナウさ(死語)がもう、かっこよすぎて……女性ダンサーのスカートとかブーツのデザインも秀逸すぎた。衣裳の生澤美子さんは宝塚の衣裳とかも手がけてる方なんですね。小池修一郎氏の懐刀ってところでしょうか。あの衣裳のレプリカ販売してほしい……ロミオがキャピュレット家に仮面つけて入り込むときのコートとか本当に……欲しい。
今日の『死』は堀内將平さん、5/26に見た小㞍健太さんの『死』と比べて感情が見えるというか柔らかめというか、登場人物が死ぬところではっきりと微笑んでたので、一方の小㞍『死』はどこまでも固い表情に見えましたので。そこらへん変化、個性を表してるのかなって思いました。
『死』のダンスは本当に……素晴らしいのひと言。私は人間の身体美にたまらなく惹かれるのですが、堀内將平さんも小㞍健太さんも凄まじい身体美で身体能力で。ふたりの肢体は磔刑のキリストの体に近いと感じています。そんな『死』の、十字架のキリスト像に触れながらのダンスは、ヨーロッパとは死生観宗教観が違う国だからこその演出だと思いました。真面目なクリスチャンが多数の国ではこれは許されないのではないか。私は真面目なクリスチャンではない(そもそもクリスチャンではない)ので大変堪能いたしました。
ロミオと『死』のダンスはめちゃくちゃめちゃくちゃぞくぞくする、もう最高の演出じゃないですか……痺れる〜! エリザベートのトートとルドルフのデュエット『闇が広がる』みたい〜と静かに座りながらも心の中はビッグウエーブでした!
この『死』とのダンスを見ても黒羽麻璃央くんはルドルフ(ミュージカル『エリザベート』)ですよね、って思っちゃう。去年の『エリザベート』が中止になったあとの山崎育三郎さんのガラで麻璃央くんがルドルフパート歌った『闇が広がる』はものすごくよかった。『キッチュ』は……うむむ、ルキーニの下品さ卑劣さ浅はかさ、悪徳加減があまり出てなかった気がするんですよね。本人が好青年なのが出ちゃってる感じ。小池修一郎に気に入られたのはとーっても素晴らしいんだけど、未だにルキーニは……?と思ってます。まぁ2020年『エリザベート』が再演(中止になったので「再演」と言うのかはわかりませんが)されることを信じていますし、さらに扱かれて笑、技術を磨いた、悪い麻璃央くんのルキーニを期待しています!
どうしても『エリザベート』に持っていっちゃってすみません。演出家つながりなので許して! 小池修一郎作品をこよなく愛しているのです。
私は小池修一郎演出がとてもとても好き、同時に立石俊樹くんの『顔』が好きで、でも実はお芝居を観たことがなかったので、ティボルト役の立石くん目当てで今日の観劇でした。あの垂れ目と厚めの唇の色気が存分に生かされたティボルトでした……半グレのヤバさと高貴さと、叔母と関係しちゃう淫乱さと手もつながない初心な恋する青年の多面性がとてもよく出てた。見られてよかった。
小池修一郎作品を愛しながらも実は『ロミオ&ジュリエット』を見たことなかったので、この機に見られて本当によかった。そして衣裳のレプリカ販売してください(本気)
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