すべてはあなたのせい
そのままでいい
頑張らなくていい
生きているだけでエラい
今の世の中、優しい言葉たちが書店やSNSなどに溢れかえっている。
そりゃ誰だって優しい言葉をかけてもらいたい。認めてもらいたい。
ありのままを受け入れてもらいたいよ。
「お疲れ様。いつも頑張ってるね」
毎日そんな言葉を言ってもらいたい。
でもそんなこと正面切って他人にアピールすることは出来ない。
その相手が妻であればなおさらだ。
そこで今回は一見すると厳しい主張に
「優しくされたい」という気持ちを忍ばせて
妻に伝えてみることにした。
主張はコチラ。
あなたが抱える不安、不満のすべては他でもないあなたのせい
なぜそんな主張をすることになったのか
経緯も踏まえて書いていく。
*****
すべてあなたのせい
「”おれはだめだ~”とかクヨクヨしないで
どうすればいいか考えて行動して、と君は言うけど
それはすべて君が作った状態だよ」
ある日、僕は妻にそう切り出した。
そう、「今のお前の悩みはお前が作り出したものだ」と主張しているのだ。
言うに事欠いて「だからおれは悪くない」と。
あらかじめ「ひとまず最後まで聞いてほしい」と伝えていて良かった。
突然こんな事を言いだしたら子供と犬を連れて家出しかねない。
現に妻は口こそ挟まないでくれているが眉間からピクッピクッと青筋の立つ音が聞こえてくる(気がする)。
きっかけは出産
この春、待望の第一子が生まれ僕は三ヶ月の育休をスタートさせた。
最初は「育児がんばるぞ!」と息巻いていたのだが
蓋を開けてみれば僕はポンコツそのものだった。
言われたことはできる
だがそれだけだった。それ以上のことを自発的に考えて行動することができない。
オムツの残り枚数は?どこで買えば安くすませられる?
予防接種はどこで受ける?いつから?
服はいつから半袖にする?いつ買いに行く?
お宮参りはやる?内祝いの金額は?etc…
目先の授乳、オムツ替え、ミルク作り、沐浴、汚れた服やおくるみの洗濯などに加えて先々のことを調べて考えなければいけない
そこに寝不足まで参戦してきて僕は完全にパンクしてしまった。
連日妻に指摘され、その度「何でできないの?どうして考えてくれないの?」と問われ僕はフリーズしてしまう。
そのうち「なんでおれはできないんだろう。おれは無能なんだ…」とイジけるようになってしまい
そんな態度が更に妻の怒りに油を注いだ。
そして悩みに悩んだ結果
上記の主張を構築した。
自分の”できない”を正当化して
優しい言葉をかけてもらうだけの理論武装は完了した。
主張の詳細
「”なんでできないの?”と言及すればするほど
特に明確な理由がある場合を除いて”どうしてだろう。わからない。きっとおれには能力がないからなんだ”と、より『できない状態』へ引っ張られることになる」
「君が遣う言葉が君の今の状況を作ってるんだよ。
『こうあってほしい』姿があるならばそれに相応しい言葉や態度がある」
「逆に言えばおれが”なんでそんな言い方をするんだろう”とか
”毎回理由を聞いてくるのやめてほしい”と悩んでも
それは君に何の責任もない。すべておれのせいだよ。
おれが何回言われてもできなかったり、変われないから
厳しい口調になったり原因を探ろうとするんだよね」
すべてあなたのおかげ
「でもね
君が周囲の人達から親切にされるのはすべて君にその価値があるからだよ」
「君が幸せであればそれは他の誰でもない君のおかげだ」
「周囲から受ける施しはすべてこれまでの君の言動や態度の結果だ」
「だから君の視点で夫婦関係がうまく言っていると思えばそれは君のおかげだし
子供が順調に育っていると感じるのであれば
もちろんそれも君のおかげだ」
おれの結論
「他人を変えることはできない。
だから自分の言動や態度を変えるしかないんだ」
・・・と
僕は一気に話しきった。
さぁ、妻の反応は如何に…。
この話のオチというか妻の反応
「要するに
もっと優しくしろ
ってことでしょ?
あのね
もうとっくにそんな時期は過ぎてるの!」
「わたし最初からこんな風だった?
ねぇ、違うよね?」
「何度も気を遣って優しく言ったよ。
でもあなたは何も変わらなかった」
「だからもうこう言い方しかできないの」
「今更あなたが変わるまで悠長に待ってられないの。
もう子供がいるんだよ」
「今すぐ変わってもらわないと困るの。
だからどうして出来ないのか原因を明らかにして
具体的に変われるよう考えてほしいの」
「他になにかある?」
「ア……ナイデス、サーセン」
後日談
そのあとは
陳謝に次ぐ陳謝。
全面降伏をした後に
いちいち落ち込まずに行動することや
毎日決まった時間帯に子供のことについて調べることを
約束してやっと許された。
そしてこのあとしばらく(というか現在進行系で)
妻から「よく『お前が悪い』なんて言えたね」と事あるごとに言われる羽目になるのだった。ぐぇ。
おわり
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