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異端Anthology児獄盤全曲解説

どうも、月影卓矢です。5月11日にBEST AlbumをRelease致しました。
以前解説した1st Albumからの曲も混じっているので、重複する部分は復習しながら、歌詞の解説も交えながら制作秘話をお届けしたいと思います。

このアルバムを制作した経緯に至っては、去年Cover Projectをやった上で、Mix技術も歌唱も自分の制作環境も大幅にGrade Up出来たので、過去の楽曲を今の自分が向き合えば、どんなモノになるか?
踏まえて、音源販売終了や配信終了してる楽曲を新しく僕を知ってくれた方々にも残しておきたいと言う意図もありました。
活動を開始したのが、2015年の7月。そこから40曲程ある中で自分の中での区切り、再スタートと言う想いからも制作しました。

Mixも今回は全曲担当、再録した楽曲は9曲。
では解説していきましょう。



1.凶気の大道芸

2nd Album 「国際キネマ通り」収録

制作したのは、2022年の春だったかと。この楽曲は見世物小屋シリーズで制作したモノで、大道芸をテーマに作ってみようと言う試みもありながら、ちょっと変態ちっくな下賤的性格の主人公にしつつ、ノリの良い曲にしたいなと思って、Gtのリフ先行で作りました。
サビのメロディーは割とすんなり出来てしまって、歌詞も仮歌詞のモノをそのまま採用にしたり、自分の中ではラフ目に組み立てれたかと。

私は悪夢の大道芸 拍手喝采を頂きます
これは凶気の大道芸 阿鼻叫喚をいただきます

https://note.com/tsukikage_taku/n/n8b4fbd595459?sub_rt=share_pw

微妙に拘ったのがコード進行で、普通こういう楽曲だとテンションの音使わなかったりするイメージですが、サビでは7thを随所に使ってるのが実は隠しスパイスだったりします。

この曲のアコースティクVerを先日You Tubeに挙げたので、ご参考までに


2.ネグロマンティック

1st Album 「劇処 怪演装苑」収録

制作したのは、2021年の夏。
そこからLIVEで何度もやってきて、定番曲ともなってる。この曲はハンドライトを使う演出があるので、照明にも拘っていて、LIVE映えする楽曲にも育っててくれました。
で、去年からやってるアコースティック閌演でもよくやる曲なので、配信終了してしまった今「お客さんはどうやって曲を覚えるんだ?」って言うクレームも受けて笑、再録しました。

Sha la la la la la 痛みが廻る 
Sha la la la la la 鮮血の美学
Sha la la la la la 観客は笑う 
Sha la la la la la 狂気の仮面

https://note.com/tsukikage_taku/n/nbe2cd2cc1de6?sub_rt=share_pw

この「鮮血の美学」っていうフレーズが狂気のShowを表してるイメージを示してるので、個人的にも好きですね。
恐怖劇場シリーズにも見世物小屋シリーズにもなれる曲。


この曲は以前の全曲解説の記事でご覧なる事が出来るのでご覧下さい。


3.桃源病棟

1st Album 「劇処 怪演装苑」収録

制作したのは2021年の秋。
この曲もよくLIVEでやる曲で、激しいし盛り上がる内容なんですが、当時のMixがどうもうまくいかなくて、そんでずっと気に入らず、いつか再構成してやると言う野望を今回叶えました笑

内容としては恐怖劇場シリーズ。この曲のテーマは「実験劇」
特にここの歌詞から、観てるお客さんが自分も理性を無くしていく。
そんな引き摺り込み劇を構成しています。
恐怖劇場は精神的におかしくなった人が出てきます。
キチガイの貴方を皆期待してる。

ブレーキを外せる瞬間を 人を捨てれる瞬間を
法を侵せる快楽を 己が壊れる顛末を 

https://note.com/tsukikage_taku/n/n7002bd404d06?sub_rt=share_pw

この曲も以前の全曲解説の記事でご覧なる事が出来るのでご覧下さい。


4.Grand Guignol Theater

1st Album 「劇処 怪演装苑」収録

制作したのは2018年の3月。
言わずと知れた代表曲です。この曲のファンは多くて、アーティストの方にも「この曲きっかけに月影を知った」とよく言われる。前回のnoteでも書いてますが、最近月影を知った方々の為に、改めて制作秘話を綴っていきます。

きっかけは、2016年にギターサポートしてくれてたRaizo君のお勧めの「ライチ光クラブ」の漫画で「グランギニョール劇場」と言う存在を知って、その時に彼がグランギニョルって言う曲を実際に作っていて、それに歌詞を書くって言うプロセスがありました。結果的に彼が気に入らず、その歌詞はオジャンになってしまい、せっかく自分が組み立てた設定も行く宛のないイメージの羅列になってしまった。

その頃は、「Heretique Aventure」と言う名義で活動してたのですが、GacktさんのMoon ProjectやAcid Black CherryのL に影響されて、曲の中に物語性を盛り込み、それをアルバムの中で一つの壮大なストーリーとして成り立たせると言う、そういった楽曲の作り方をしてました。

なので、他の楽曲のバックグランドストーリーとして、「グランギニョール劇場」は登場するのに、「グランギニョール劇場」を表現する曲がない。
って言う状況が1年ぐらい続いて、じゃあ自分で「グランギニョール劇場」の曲を作ろうってなって、制作のきっかけになりました。

グラン・ギニョール: Grand Guignol)は、フランスパリに19世紀末から20世紀半ばまで存在した大衆芝居見世物小屋グラン・ギニョール劇場(Le Théâtre du Grand-Guignol)のこと。またそこから転じて、同座や類似の劇場で演じられた「荒唐無稽な」、「血なまぐさい」、あるいは「こけおどしめいた」芝居のことをいう。フランス語では"grand-guignolesque"(「グラン・ギニョール的な」)という形容詞は上記のような意味合いで今日でもしばしば用いられる。

Wikipedia

いわば、恐怖演劇の先駆けで、ここから怪奇ホラーやスプラッター映画に繋がる存在であったと月影は判断している。
ちなみにこちらの書籍で「グランギニョール劇場」について知る事が出来ます

まず歌詞から組み立てていったのもあるけど、最初は「グランギニョール劇場」の何を描こうか、まず見えてなくて。
とにかく本を読んで、その世界観を吸収してイメージするしか出来なかった。

またこの本も、フランス語を訳したモノなので、ちょいと内容がわかりづらかったのもあったのだが、読み進める内に、観客がどういう風に恐怖を感じ、それに細工する劇作家や役者の思想や配慮、当時の世相や何故このアングラ劇が一世を風靡したか等、世界観が少しづつ自分に入ってきたのだ。

そして恐怖と言ってもどの様な恐怖なのか...。

このアンドレ ド ロルドの短編集を読む内に、なんとなく見えてきた。

例えば、クリーチャー系の脅かすタイプの恐怖か、エクソシスト系の不気味なタイプの恐怖か、拷問やエグい描写が多いスプラッター系の恐怖か、世界崩壊や宗教系が絡んだオーメン系の恐怖か、色んな恐怖が昨今はあるかと思うのですが、まずこういう系の恐怖映画は、当時は作られていない。

だから、もう少し感覚をズラしてみて、人間そのものの恐怖について想像して貰えれば、わかりやすいかと。

例えば、精神病棟に入れられた頭がおかしくなった人の話だとか母を殺された娘が復讐劇を企てる為身分を詐称する話だとか、浮気された女が彼氏の顔に硫酸を浴びせ拘束する話だとか、普通の人間がある精神的ショックによって、直面する悲劇や喜劇。

そう、恐怖と笑いは紙一重なのである。


で仮歌詞の段階で、とりあえず書籍を呼んだ自分の中のイメージを適当に言葉にしていく内に、自然とメロディーが降ってきた。
と言うのも、自分の作曲方法は、なんとなくの仮歌詞とイメージを言葉にして、そっから適当にギターで弾いて歌ってみて、原型を作ってから肉付けしていくやり方なので、この曲は典型的にその手法で作りました。

ただ他と違うのは、とても降りてきた感が強かったのと、今まで書籍で「グランギニョル劇場」のイメージを知らず知らずのうちに描いてた分、音で表現する上での迷いはあまり無かったかと。
溜まってたモノがガッと一気に出た感はあった。
て、そうこうしてる内に、ギターソロの所が7拍子のドラムになったり、ギター一本でやってるとシンプルな楽曲がどんどん複雑になっていきましたね。

それで音としての完成度が高まってきた頃に、たまたま映像クリエイターの方と知り合い、MVを作ろうって話になりました。
このMVの制作秘話に関してはこちらを見て貰えると分かるかと

待望のカラオケ配信もJOYSOUNDで開始されたので、歌ってみて下さい。

窓からそっと垣間見える
残酷被虐なアングラショー

https://note.com/tsukikage_taku/n/nfa8797f894c8?sub_rt=share_pw

5.VAMPIRE

Heretique Aventure「Episode.1〜独裁への道〜」収録

制作したのは2013年3月ぐらい。
とても古い曲で、その頃はドラキュラやヴァンパイアの魅力に取り憑かれていた気がします。
ゴシック的なモノをモチーフに楽曲を作り始めたのもこの時期で、今までメッセージ性の強い楽曲が多かった大阪時代からV系の世界に飛び込んだ頃に、シフトチェンジを図った作品の1つ。

先述したGacktさんのMoon Projectの中にヴァンパイアが出てきて、それを継承するかの様に、楽曲の物語の中にヴァンパイアに組み込んだ。
その当時、自分が女性を欲する飢餓感をヴァンパイアが血を欲する様に、脚色した内容ですね。

叫んだ欲望 貴方のkissで 身体が今 鬼になり
激しく目を開き 狙いを定める
喘いだ姿 映したtwilight スクリーンに手をなぞらせる
鼓動が逆立つ ラストシーンは貴方を誘う

https://note.com/tsukikage_taku/n/n19d689b9b3b6?sub_rt=share_pw

歌詞のこの部分はヴァンパイアが最終的に女性を殺してしまう様を描いてる。

曲のギターアレンジは今はどうしてるか分からない平賀さんと言うギタリストが印象的なリフを残してくれてる。

6.不忍心中

1st Album 「劇処 怪演装苑」収録。

2021年8月制作だが、原曲は2009年頃にありました。
今でもアコースティックのLIVEでよくやるのもあり、影ながら人気のある楽曲。
解説は前のnoteで事細かに書かれている。
MVも制作したぐらい、個人的には思い入れも深い。
前回のVerもアコギは自分で弾いてますが、自分の録音環境が変わったのもあり、アコギも再録しております。

そうまたこの季節が来る度思い出すでしょう
不忍の誠が咲き乱れる頃に

https://note.com/tsukikage_taku/n/n9201662f8ccc?sub_rt=share_pw

7.顔のない眼

1st Album 「劇処 怪演装苑」収録。

2021年4月制作。

ちょうど、Heretique Aventureからヱレティック-異端終末懐古劇-
に改名した頃の作品で、自分で弾くアコギを初めてオリジナル曲に盛り込んだと言う試みもある。
Guitarのテンションについて勉強してたのもあり、mM9thやaug add9thとか初めて使って、曲作りの進化が伺える時期の曲。
バンド編成ではやった事ないが、アコースティックでは雰囲気抜群に出る。
ちなみにこの曲のアコギも再録しております。

静かに幕は開く 悍ましい医者の話
著名な彼の部屋 死臭が漂う痕跡
気の狂うその過ち 1人の娘の為
今夜も犠牲が増えて 彼女は何も知らされず 

https://note.com/tsukikage_taku/n/n54ba77356684?sub_rt=share_pw

8.百物語伝承

2nd Album 「国際キネマ通り」収録。

2023年2月制作の作品で、今回のBEST盤では一番新しい曲。
恐怖劇場シリーズの楽曲でこの頃は日本の怪奇とか怪談とか、そういう和製ホラーの資料や本、映画を観てたかと。

「百物語」はその話を最後までしてしまうと恐ろしい事が起こる。

そして、それは異次元に住む何かを呼び出してしまう。

何かそんな結末を調べたら書いてたので、その何かを鬼婆の設定にして、鬼婆視点と主人公の見世物小屋の少女すみれちゃんの目線で描きました。
設定としては、すみれちゃんと大道芸人、道化師、蛇女の4人で百物語をしてる風景。

楽曲のアレンジは、guitarが奏-minato-(掃き溜め)君が担当してくれて、静かに聴かせる所と激しい所の明暗をうまく分けてくれたと思う。

99話で止めて下さい
取り返しのつかない不気味な影が 
もうすぐそこまで来ている様だ
現れるのは鬼か化け物? 
この場にいるのは13人
夜明けになるまであと2時間 
また1人が消えてしまった 
最後の時が近付いてくる

https://note.com/tsukikage_taku/n/nc3a3b2a3753b?sub_rt=share_pw

ここの部分は、過去の回想シーンだが、曲が進む毎に物語も進んでいく内容になってます。
最終的には業火に焼かれた鬼婆の恨みが現れる。

9.盲目モダン桃色劇場

4th Single 「退廃見世物小屋」収録。

2020年9月制作。
この頃和風にシフトチェンジするに当たり、初期の椎名林檎の作風を参考にしてて、ああいう昭和大正感を出したいなと思い、楽曲のコード進行や言葉の使い方を学んでた時期に作った作品。
ストリップ劇場の照明をこの頃やってた事から、ストリップの演目を沢山観る中で、ある演者さんを主人公にオリジナルストーリーを作成しました。

この曲を作った事により、ヱレティック-異端終末懐古劇-に昭和レトロの世界観が加わったと言っても過言ではない。
のちの「夜の銀座ロンド」「キネマ座の女王」等はこの曲の世界観が基盤になっています。

ストリップ劇場でも昭和の匂いが残る劇場をモチーフとして描いてて、尚且つストリップ嬢に恋をしても決して届かない現実がありながら、ステージで光り輝く彼女の姿を描きました。
特に演出として鏡張りの舞台の後ろを開けた時の照明の美しさは、現場を知ってる者だからこそ分かる甘美さ。

鏡に映った彼女と僕だけの姿 そっと僕だけのモノに 
決して叶いはしなくても あの日はずっと永遠に

https://note.com/tsukikage_taku/n/n4ccad7ba7114?sub_rt=share_pw

リリックビデオも同時に制作したのですが、写真家の「那部亜弓」さんが挙げていた劇場の写真をちゃんと許可を取って使わせて頂き、大人の香りがする映像になったかと。イメージ的には新橋かな。
で、今回はこの楽曲は歌も録り直し、Mixも再構成したので、2024verとして再アップロードしました。


10.地獄坂

1st Album 「劇処 怪演装苑」収録

2021年9月制作で、最初は敢えてコンセプトを無視して、月影らしい曲を作ってみようと思い、仮歌詞で自分の弱い所と向き合った内容で綴っていきました。
弱気な自分を奮い立たす、そんなメッセージソングを少しずつ見世物小屋のコンセプトに寄せていきました。
見世物小屋と言うのは、おどろおどろしいクリーチャーからサーカスの曲芸の世界まで、多種多様な
見世物が昔は溢れていた。 
その中で刀を使った曲芸の「侍」をテーマにして、段々歌詞の内容が固まっていきました。
下記の文章は侍用語を使っています。

討捨(うちすて)
追切(おいきり)
獄門(ごくもん)
逆寄せ(さかよせ)

https://note.com/tsukikage_taku/n/na05ae427c2ba?sub_rt=share_pw

初披露したのが、2021年の11月ぐらいで、そこから毎回セトリに入るぐらい頻繁に歌っている曲です。
自分の声質にも合ってる様で、盛り上がる内容にもなってます。
最近アコースティックVerも作りましたが、これもなかなか良さげ


11.Unexpected

Heretique Aventure 「Episode.1〜独裁への道〜」収録 

制作したのは、2016年の夏。
Heretique Aventureは未来世界を舞台にクローン人間達が政府に反乱を起こすストーリーを描いてる。 
そのクーデターを引き起こす中心人物「ゼン」の覚醒の瞬間を描いたのが、この「Unexpected」
この記事でHeretique Aventureの描き出す世界の基となってるカラーが分かると思います。


つまり、曲の立ち位置的には悪の主人公の原点を描いた作品。
キャラクター的には、小説家誉田哲也の作品「ジウ」シリーズのジウがモチーフになってる。


当時人気No.1だった楽曲で、ストリングスの豪華さにクライマックス感が感じられる。
基本的に月影が編曲は担当したけど、Guitarに松田君、鍵盤プラスαのパイプオルガンや効果音の数々はRaizo君によるモノ。
曲自体はそこまで複雑ではないんだけど、色んなクリエイターが集まって、この大作が出来たかと。

朽ち果てた身体 人は皆儚いモノだから 
壊されたこの手に残る 君の心は
永遠に目覚める事のない もう一人の自分
怖がらないで これから全てを破滅させる

https://note.com/tsukikage_taku/n/nfc0d7b1dbd0e?sub_rt=share_pw

ここの部分は「ゼン」が初めて人を殺めてしまった時に、自分の中のシリアルキラーの特性に気が付く場面。

夢の中聞いた ゆりかごのぼやけた記憶
求めれば求める程に 私は狂って
君の写真の僕 離れていく

https://note.com/tsukikage_taku/n/nfc0d7b1dbd0e?sub_rt=share_b

ここの部分は、母親の事を思い出してる「ゼン」がいる。
だが、彼女を求めれば求める程、本来の自分が目覚め、赤ん坊だった自分の過去の姿は薄れていくと言う内容です。


この曲は人気がありながらも映像化してなかったので、今回のBEST ALBUM Releaseに伴い、リリックビデオとして、世に残しました。
この映像で出てくる金髪の少年こそ、「ゼン」のキャラクター像である。


最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
音楽系のサブスクをお使いであれば、ここから視聴する事が出来ます。


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