造花
下をむくと、行き場を失った足とその影が、ただ覗いていた
きみは、空の孔にしがみつくきみが
”ゆらゆら”と辺りを広げ、息をつくっていたのに
ぼくは、”それ”を思い出せずに
空の孔から溢れた亡霊の言葉を、溺れてしまった
伸び続ける葉と茎は
決して夜にならず
いつも空の孔と繋がった痕だけが
ぼくの影に見せていた
蓄え続ける芽は、ついに焼き焦げ切れ落ちて
震えることも閉じることもできなくなった
きみは昇るたびに燃えていき、日の目の届くところ全て動かせなくなっていた
だから根を張る大地だけは呪えた
ぼくも昇っていたつもりだった
だから呪ってしまった
ふと、吐かれた風がきみを折る
ぼくは息をして、立っていただけだった
空の孔は、冷たさをぶつけ
やってくる砂漠は、ただ、息をかき消す
ぼくに、もう上は見えず、きみに、もう下は見えない
ぼくは造花で生きていて、きみも人だから枯れてしまった