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白黒ハッキリつけないと気が済まなくて完璧主義だから校正の仕事が向いていると思っていた話
完璧主義
物事に不十分な部分があることを許さず、不足や欠乏のない状態であることを求める考え方や性格などを指す表現。妥協を許さないさま、ほどほどの加減を知らないさま。
私は完璧主義だ。白黒ハッキリつけないと気が済まない。
加えて「100にできないならそもそもやらない」という性格をあわせ持つ。
なかなか生きづらい性格をしているという自覚があり、実際苦労していたのだが、「校正」という仕事を知ったとき自分にピッタリだと思った。
「校正って、ことばや文章の誤りを見つけ出して修正して、誤りのない完璧な原稿に仕上げることでしょ?楽しそう!」
なんて思っていたのである。
「ことばや文章に○×をつけていく仕事」とさえ思っていた。
そう、私はものすごくベタな誤解をしていたのである。
校正を本格的に学び出して事実を知る
校正の通信講座で学び、校正に関する記事やインタビューなどで情報を得ていくうちに、私はとんでもない誤解をしていたことに気づく。
校正は、そのことばが使われている場での最適解を探る仕事であり、白黒ハッキリつける仕事ではなかったのである。
ダメじゃん、私。校正向いてないんじゃない?
さらに、日本語の柔軟性にもおどろいた。
学校で勉強したときは正誤がハッキリしていたのに、実際は「こういうのもありですよ」「これでもそれでもどちらでもいいです」が多いのだ。校正するときは柔軟な対応が必要になる。
「本来は誤りとされてきたんですけど、最近は受け入れられていることもあります」といった話もよくある。「もともと間違いだったけど、いまは使っても問題ありません」とはならない。
そんなことばに出会うと、誰かが「これは間違いだから使っちゃダメですよ!」と決めてくれたら楽なのにと思ってしまう。
しかし、ことばはそういうものではない。
やっぱ私、校正向いてないんじゃない?
そう思ったのだが、校正の勉強と仕事を並行していくうちにあることに気づいた。
知的好奇心の勝利
校正するとき、調べることがとても多い。
「書かれている内容が合っているか」という事実確認のために調べることも多いし、「この表現は適切か」「この漢字は合っているか」といったことを調べることもかなり多い。
私は、この調べる過程が楽しいことに気づいた。わりとなんでも面白がれるのだ。
事実確認だと、自分が普段触れる機会がないようなことをたくさん調べる。
表現やことばについては辞書を何種類もひく。そうやって集めた情報から「この場にふさわしい表現なのか」「違和感がないか」を検討していく。
自分の知らないことを知る「知的好奇心」が私は強いようだ。
「これが正しい!」と言い切れないことは、私にとってストレスだった。校正者は判断する立場ではないので、すべてが「ご提案」であり採用されないことが当たり前のようにあることも。
しかし、結局のところ知的好奇心が勝った。これはやってみないとわからないことだったと思う。
知的好奇心を刺激する校正の仕事は楽しい。続けたい。
そう思った私は考え方を変えた。続けるのなら、続けるための工夫が必要だ。
そこで「白黒ハッキリつけないと気が済まない完璧主義の私」は引っ込んでもらうことにした。合い言葉は「そういう考えもあるよね」だ。
そうつぶやくだけで、いろいろ受け入れられるような気になってくるから不思議だ。すんなり自分の中で折り合いがつく。
白黒ハッキリつけないと気が済まなくて完璧主義だと校正者は向いていないのか
私は性格を変えた。柔軟な考え方をするよう意識した。
(年を重ねたからこそできたことだとは思っている)
過去の私のような性格や考え方を持っている人は、校正者に向いていないのかというと、やはり向いていないように思う。きっと苦しくなってしまう。
人が書いたものや人がつくったものに対して、「自分の思う完璧」を求めるなんてできないことだから。
校正をするときだけでも、柔軟性のある対応ができるようになったらいいと思う。
とはいえ考えるのは「向き不向き」ではなく
この記事を読んで校正の仕事が「自分に向いているかも」、あるいは、「自分には向いていないかも」などと思ったかもしれない。
でも、実際は「やってみないとわからない」のである。
そして、「校正の仕事が自分に向いている!」と確信を持っている校正者はあまり見かけないように思う。
「好き」「楽しい」「やりがいがある」といった話は聞くし、私もそう思うが、「自分に向いていると思いますか?」と聞かれると「う〜ん、まぁ続けられているんで、そうかもしれないですねぇ……」といったあいまいな回答しかできない。
校正の仕事が気になるなら、実際やってみて「仕事としてできそうか」「続けられそうか」という観点で考えてみるのをおすすめする。
やってみないとわからないです、なにごとも。