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札幌から1時間、「始めやすい」月形町で続く挑戦

つきがたdesignでは、2024年2月「明るい過疎化」をテーマにしたローカルでの開業・起業プログラム「ツキビズキャンプ」を始動させました。

デモデイ(最終審査会)から10ヶ月の今も、1期生による新しいプロジェクトが進んでいます!
「ツキビズキャンプ」発起人の梅木悠太が、1期生のその後をリレーインタビューで紹介します。第5弾は、札幌で飲食店を経営しながら、月形町で新規事業に取り組む、関健吾さんです。

関健吾(せき・けんご)1990年生まれ。北海道札幌市出身。札幌市と月形町を中心に、飲食店、惣菜製造、内装リフォーム、お菓子販売など多岐にわたる事業を手掛ける。月形町での空き家探しをきっかけに、町内でのイベント出店や内装リフォーム、道の駅で月形の米粉を使ったお菓子販売に挑戦。月形町をさらに面白くできるよう日々活動中。

「通り道の町」が気になって、役場に立ち寄ってみたら

梅木:  けんごさん、こんにちは。まずは、自己紹介をお願いできますか。

けんご: はい、関健吾です。1990年9月1日生まれの34歳です。本業は飲食業で、惣菜製造や大工工事の仕事もしています。今年、自分で立ち上げたお店は9周年を迎えました。新規事業に取り組み始めたのはここ2〜3年くらいで、まだペーペーです。

立ち上げた札幌西8丁目の「AMERICAN Hamlet」手ごねの自家製ピザや、赤身ステーキなどお肉料理が人気。
「気になるキムチ」開発。千歳市のふるさと納税返礼品に選ばれ、オンラインショップや新千歳空港でも販売。

梅木: 田舎のほうで民泊のようなこともされていますよね。さらに、月形町でも飲食関連の活動をしてくださっていますね。

けんご: そうですね。

梅木: なぜ月形町に関わろうと思ったのか、きっかけを教えてもらえますか?

けんご: もともと空き家物件を探してリフォームし、お店にしようかなと考えていました。奈井江町や芦別市に空き家を買っていて、ちょうどその通り道で月形町をよく通っていました。

梅木: たしかに、月形町は札幌から奈井江町や芦別市、旭川方面に向かう通り道ですよね。

国道275号線が町を南北に貫く月形町。札幌から北上し旭川方面へ向かうドライバーの「通り道」で休憩地点。

けんご: よく通るけどリサーチしてないなと思い、数年前に月形町役場に出向いてみたんです。そのとき対応してくれたのが、職員の會田さんでした。とても丁寧に相談に乗ってくれて、相談した日にいきなり町を案内してくれました。親身になってくれて、他の自治体よりもWelcomeな雰囲気を感じたんですよね。

ツキビズキャンプでは會田さんの案内で町を巡る。月形町のことはなんでも答えてくれる頼れる役場職員さん。

梅木: 會田さんは月形町のことも、月形町民のことも、隅から隅まで熟知していますからね。月形町のことだったら、何を聞いてもすぐに答えてくれます。

けんご: 本当に詳しいですよね。そんな會田さんから、「水辺の家*で出店したらどう?」という話がありました。2022年の夏に挑戦してみたら、町民の方々がたくさん遊びに来てくれて、すごくあったかい町だなと驚きました。これまでも小さな町でのPOPUP出店経験はありましたが、月形町は特にあったかいなと感じたんです。

※水辺の家:キャンプやバーベキューが楽しめる月形町のランドマーク「皆楽公園」の休憩所。1Fではとれたて野菜の直売や特産品の販売を行っている。

水辺の家でカラフルなスムージーを販売。月形町の花農家で生産された食用花(エディブルフラワー)を添えた。

梅木: 私も何度か寄らせてもらって、お声がけした記憶があります。そこから、町内のイベントにも声をかけられて、各所で出店されていましたよね?

けんご: はい、そうです。ありがたいことにいろいろお声がけいただいて、その後もときどき月形町でPOPUP出店していました。

得たものは、同じ方向を向いて走れる仲間

梅木: その流れで、ツキビズキャンプにお声がけしたんですよね。私がどうしてもけんごさんに参加してもらいたくて、口説きに行った感じでしたね。

けんご: ありがとうございます。月形町で事業を起こそうと考え始めていた頃でした。ちょうど、協力していただけそうなコミュニティを探していたんです。面白い人たちが集まりそうだな、面白いプロジェクトだなと、ツキビズキャンプのお話に興味を持ちました。

梅木: 応募締切日に申し込んでくれましたよね。結構、悩みましたか?

ツキビズキャンプ2期は、2025年2月8日(土)~3月21日(木)で開催。取材のお問い合わせはつきがたdesignまで。

けんご: 本業や他の計画で忙しかったので、だいぶ悩みましたね。ただ、ここで断ったら失うものの方が大きいんじゃないかと直感で感じました。それで、勢いで行くしかないと思ったんです。覚悟が決まってからは速かったです。

梅木: ツキビズキャンプが始まってからも忙しそうでしたが、かなり参加してくれましたね。
けんご: そうですね。オンラインの回は参加できない時もありましたが、対面の回は必ず出席していました。

お店の合間を縫って、プログラムに参加。経営者ながら、いち受講生としてゼロから事業を考える貴重な時間。
大学生やビジネスパーソン、子育て中のママなど、多様な仲間とのディスカッションには多くの発見があった。

梅木: 実際に、ツキビズキャンプに参加してどうでしたか?

けんご: 率直に言って、参加してよかったです。自分の中での可能性ややりたいことが、スピード感を持って具現化できるのではないかという勢いを感じました。

梅木: どんな点で勢いを感じ、期待を持っていただけたのですか?
けんご: もともと一人で空き家を買ってリフォームしていましたが、月形町では同じ志の人や面白いことを考えている人がたくさんいて、協力者や仲間が増えました。街の活性化や復興に向けて、これからスケールの大きい話がしていけるのではないかと感じました。

夏にはツキビズキャンプも行ったTsukigata LABOで、POPUP出店。プログラム後も町や仲間と繋がっている。

梅木: ツキビズキャンプには、同じ方向を向くことができる仲間がいたのですね。

けんご: そうですね。僕にとっては、足並みを揃えて走れそうな仲間がたくさんいました。

梅木:  ツキビズキャンプで大事にしていたことのひとつが、コミュニティをしっかり作ることでした。その狙い通りになってくれて、嬉しいです。ツキビズキャンプを通して、参加者が仲間になることで、月形町に大きなインパクトを与えることができるんじゃないかと考えていました。

一人一人の想いを引き出すプログラムで、米粉のお菓子を開発

梅木: 講義の内容はどうでしたか?
けんご: 講義内容も非常に有意義でした。僕は事業をやっているので、ひと通りのことは分かっているつもりでしたが、新しい観点が学べました。また、経営者との交流を通して視野が広がりました。基礎からビジネスを学びたい人たちにとっても、大変有意義な内容だったと思います。

まっさらな気持ちで付箋に向かい、自身のアセット(有形無形の資産、活用できるスキルなど)の棚卸しを行う。

梅木: メンターとして田名辺さん、講師として北海道大学の椎名先生、そして空知信用金庫の永井さんなどにも講義いただきましたが、町外からの協力者についてはどうでしたか?

けんご: 協力者の方々のジャンルが多岐にわたり、いろいろな可能性からアプローチできる強さを感じました。若い人たちや学生の同期も多く、社会で戦っている大人たちの姿を見ることができ新鮮だったそうです。また、一人一人の良さを引き出そうとするプログラムの姿勢にも感銘を受けました。

子供から社会人まで幅広い層に起業家教育を行う、北大の椎名准教授。自身も起業家で、複数の事業を経営。
リーンキャンバスを埋めながら、月形町での新しい事業を構想。将来的にはハンバーガー屋さんも出店したい。



リーンキャンバス:1枚のシートでビジネスモデルを可視化・一望できるフレームワーク
(出典:https://blog.nijibox.jp/article/whats_leancanvas/)

梅木: ありがとうございます。ツキビズキャンプでは最後にピッチで発表がありましたが、けんごさんが発表したビジネスアイデアについて簡単に説明してもらえますか?

けんご: この町で僕ができることを考えた時、食材を生かしてそれを町外に広げたいと思いました。具体的には、米粉を使った焼き菓子を計画しました。町のお饅頭屋さんが廃業し、道の駅にお土産として持ち帰れるお菓子がなくなってしまったことが悲しかったんです。僕が作る米粉のお菓子を、月形町銘菓として広めたいと考えました。

町内外から人気だった溝口菓子舗の菓子。中でも「月形まんじゅう」は、月形土産の定番として永く愛された。(出典:https://sorachi-de-view.com/information/384)

梅木: お菓子作りのビジネスに関して、これまで経験はありましたか?

けんご: いえ、ゼロです。

梅木: ゼロなんですね。でも、しっかりとした内容をピッチしていましたね。
けんご: ありがとうございます。事業計画の資料を作ってプレゼンし、金融機関から融資を受けた経験はありましたが、大勢の前での発表は初めてでとても緊張しました。

梅木: 見事に、オーディエンス賞を獲りましたよね。受賞の言葉で「最優秀賞よりオーディエンス賞で嬉しかった」とおっしゃっていましたが、その心は?

けんご: 町のためのプロジェクトなので、町民の理解がないと進められません。町民に刺さる内容であったことに誇りを感じました。僕の中では、オーディエンス賞が一等賞のようなもので、町民の理解が得られたと感じられたので堂々と事業を進めることができました。

持ち帰れる月形町の名物、お土産を作りたいという想いから、お菓子ブランド「月とうさぎ」を立ち上げた。
月形産ななつぼし米100%の米粉からつくるフィナンシェは、道の駅275の人気商品。マフィンなど新商品も。

空知に広がるエリアリノベーション、始動。仲間を募集中

梅木: 伴走支援賞も受賞されていましたね。お菓子に続き進めているプロジェクトについても、教えていただけますか?

けんご: 伴走支援賞では、月形町にある空き家を活用したお店やシェアハウス作りなど、エリア全体をリニューアルするプロジェクトを進めています。エリア全体を根底から変えるような大きなプロジェクトで、梅木さんや田名辺さん、本多さんなどの助言を受けながら取り組んでいます。

月形町から空知地方まで巻き込みエリアリノベーションを構想中。マップには探索した無数の空き家にピンが。

梅木: 伴走支援賞は、一緒に考えていきましょうという気持ちで選考しました。まだスタート段階ですが、大きな夢のあるプロジェクトが進められそうで、私もワクワクしています。

けんご: ありがとうございます。楽しみですよね。

梅木: これから月形町とどう関わっていくか、考えていることがあれば教えてください。

けんご: 月形町に新しい事業の拠点を置き、町をもっと知ってもらいたいと思っています。札幌のお店のお客さんやスタッフにも関わってもらい、衰退していくはずの町を活気づけ、フレッシュな風を吹かせたいと考えています。

お店や事業の拡大と共に、若手スタッフが増えている。新しい視点で一緒に月形を盛り上げる、心強い仲間だ。

梅木: 町民として、とても楽しみです。プロジェクトにはどんな人に参加してほしいですか?

けんご: 直感で面白いことをやりたいと思っている人に、ぜひ参加してほしいです。札幌で面白いことをやりたいけど、なかなか実現できない人に月形町の可能性を伝えたいです。すでに興味を持ってくれている人もいて、月形町で家具工房やギター職人として活動を考えている人たちにアプローチしています。

梅木: ありがとうございます。ツキビズキャンプ2期生も巻き込んで、月形町でどんどん面白いことをやっていきたいですね。2期も、行動力がある参加者と、進化したプログラムが整いました。デモデイを楽しみにしていてください!これからもよろしくお願いします。

▼「ツキビズキャンプ2025」は2025年2月8日からスタート!✨
  2期生の挑戦も公式SNSで発信していきます!
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