タケシ君のこと
昔、懇意にしていた男友達の名前を、どういう訳か長いこと忘れていた。
その友人とは、一時期であるがお酒を飲みに行ったり、リゾート地の民宿に数人で泊まりに行ったりした仲だ。
たまたま、フとフルネームを思い出したので
Facebookで検索したところ、
すぐに彼のページが表示された。
掲載されている画像を見てみると、
予想通りではあるが、相変わらず精悍な、いい顔をしていた。
「久しぶり!元気そうだね!
近況も知りたいから友達リクエストしていいかな?」
とメッセージを送ってから、
友達リクエストボタンを押そうとしたが押せない。何らかの制限をしているようだ。
以前、亡くなった知人のFacebookがこのようになっていたので、悪い予感しかしない。
名前をインターネット検索したら、
なんと、少し前に家庭内暴力の加害者として逮捕されていた。
あんなノンキなメッセージを送ってしまい後悔し、あらためて謝罪のメッセージを送っておいた。
それからスマホを置き、コーヒーをいれてぼんやりしていたら、タケシ君から頼まれていた事を思い出してしまった。
当時、まだブログという言葉すら無かった時代だったが、私は自分のサイトを持っていて、小説もどきを書いていた。
そこをいつも読んでくれていたからなのだけど、
「お願いがあるんだけど、いつか俺を主人公にした小説を書いてくんない?
何だかそう考えただけで、ワクワクするわ」
と、確か夜中の海を見に行った時に言われたのだった。
noteに登録したばかりの今、
タケシ君の言葉を思い出すなんて、これも偶然じゃないかもね。
また小説もどきを書いてみようかな…タケシ君の顔を思い出すと笑ってしまうけど。
どんな状況下でも友人は友人のまま。
元気でいて欲しい思いを込めてね。