「さよなら」は「いらっしゃい」のスイッチ
大きいこと、小さいこと、なにかひとつ、物事をはじめるときには、必ずスイッチというものがある。それは、“きっかけ”とか“スタート地点”に似ていて、ある種、「こっちにようこそ、いらっしゃい」の合図。
仕事をはじめるときにも、同じようなことがある。ぼくの場合ではあるけど、目の前の作業にグッと入り込むためのスイッチを、耳に置いている。
ガツっとやりこみたいとき、いつもおなじ曲をiPodで流し込む。それがパブロフの犬のように働いて、よだれのような反応で、しゃかりきになれるのだ。不思議と。
おなじような感覚で仕事をする人は多いらしいが、そのときの曲は、やはり人それぞれ。ぼくは、くるりの『さよならリグレット』が仕事のスイッチになっている。
耳にスッと入ってきて、なんでだか、作業がスイスイっと進む。自分のなかで、これがんばったな(ぜんぶがんばるのが当然だけども)、と思うときには、だいたいこの曲を聴いていた。あの頃を思い出す、のだ。
以前、ポリタスに寄稿させていたときも、この曲を聴きながら執筆を進めていて、その記事について岸本さんがつぶやいてくれていたのは、うれしかったし、励みになった。それが余計、スイッチ認定を決定づけたのかな。
と、まあ、いろんなスイッチが人にはあって、音楽がそれになりうるのだと再確認したし、そういう確固たる自分ルールみたいなものがあると、物事にのめり込みやすくなるし、パフォーマンスは上がる。
そんな気がするのだ。とにかく、作業が溜まった、さみしい夜でも、この曲を聴いていると、明るいよ。