システム開発のチームビルディング 「コミュニケーションスキルに着目しよう」
情報システム開発のプロジェクトが始まるときに必ず行われるのが「チームビルディング」。プロジェクトの目標を達成するために必要なスキルを持ったITエンジニアを招集して、チームを結成します。
しかし、この活動での失敗は後々のプロジェクト運営に大きな影響を及ぼします。今回は私のプロジェクトマネージャーとしての失敗談から、この活動を成功させて安定したプロジェクト運営を行うための気づきについて、共有します。
コミュニケーションスキルは足りているか?
システム開発プロジェクトでチームを組むときは、メンバーの資料作成能力や説明能力などのコミュニケーションに関するスキルに重きを置いて、チームの大きさに比べて十分にコミュニケーション能力が足りているかを慎重に見極めることが重要だと気づきました。
誰も顧客と話せないチーム
私が過去に経験した開発プロジェクトの一つで「誰も顧客と話せないチーム」がありました。
PMの仕事の大半は「コミュニケーションを行うこと」なので、PMである私自身は話せるのですが、他のメンバーはこれまで顧客と話したことのないメンバーばかりで、チームが抱えた課題を顧客と調整して解決していくという活動が全くできませんでした。
チーム結成の失敗
チームを結成する際には、要求される仕事をチームとしてこなしていけるように、仕事に必要なスキルを持ったメンバーを集めていくと思います。
私が経験したプロジェクトでも同様に、メンバーのスキルを精査してチームを形成したため、いわゆる「プログラム言語」や「インフラの想定構成」などの一般的なITスキルで見た場合、必要なスキルを持ったメンバーを集めることができました。
しかし、プロジェクトが開始されて早々、顧客との会議でスピーカーを任せられる人がいないことに初めて気が付きました。
失敗の影響
顧客とのコミュニケーションすべてを一人でこなせる規模の開発プロジェクトであれば、すべてを私が担当するというのも、一つの解決策かと思います。
しかし、そのときのプロジェクトはそれなりの人数がいたため、無理な話でした。そのため、経験の少ないメンバーに顧客とのコミュニケーションを任せていくのですが、案の定うまくはいきません。開催する会議は紛糾し、進めていた開発作業は課題を解決できずに頓挫するものも出てきました。
このとき一番問題なのは、このようにチーム組成に失敗した場合、個々の問題発生の原因が、メンバー個人の能力の問題に思えてくることです。これは感情的な問題に発展するため、ややこしい話になりがちです。
失敗を未然に防ぐには
この記事の冒頭で、「チームの大きさに比べて十分にコミュニケーション能力が足りているかを慎重に見極めることが重要だ」と書きました。では、どうすればそのようなことができるのでしょうか?
それについてはやはりメンバーとの「面談」に尽きると考えています。コミュニケーションスキルというのは明確な基準のあるスキルではないので、職務経歴など書面から見極めるのは難しいというのが私の所感です。
そのため面談時に特に注意して、「受け答えが適切か」、「自分の考えを整理して伝えられているか」などコミュニケーションに関する点を慎重に確認します。
足りない役割を埋めることが成長につながる
これまで、チーム形成時点でチームビルディングの失敗を未然に防ぐためにできることに注目してきました。しかし、色々な事情によりチームに必要なスキルが十分に揃った状態で開始できるプロジェクトは実際のところ、そう多くはないかと思います。
私の経験したプロジェクトのチームにおいても、開始直後は顧客とのコミュニケーションができずに苦労しましたが、1ヶ月経ち2ヶ月経つとメンバーも徐々にコミュニケーションが上達してくるのを実感しました。場数を踏むことによってコツを習得したのだろうと思います。
チームに足りない部分というのは、時間が経つにつれて徐々に埋まってくるものだというのも、このプロジェクトにおいて私が気付かされたことの一つです。こういったチームメンバーの成長を実感できることはPMの仕事の魅力かもしれませんね。
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