1人の生活 短編小説#1
1人での生活を始めて、何度目かの桜の季節、何百回目かの朝。
また今年も花粉が酷いと、テレビの気象予報士が言っている。毎年例年より花粉が酷いと聞いているような気がする。花粉症とは無縁の僕だが、癖でティッシュペーパーを多めにストックしてしまう。買うたびに収納スペースが埋まる。1人ではそんなに必要ないのにと思いながらも、その癖は毎年やってくる。
癖は治らないが、1人の朝には徐々に慣れてきた。1人分の食事に1人分の弁当。やっと量の感覚を掴んできた。少し少ないかなと感じるくらいが1人分にはちょうどいいらしい。
ただ慣れ始めているとはいえ、埋められない隙間がある。
きっといつまで経っても埋められない。
ふと桜を見た時にそう考えてしまう。
大事な2人に挨拶をして、靴を履く。この2LDKにさようならを言うのは何度目の春になるだろうか。
趣味の小説を書いてみました。
長編は別で書いているので、短編だけこちらに上げようかなと思います。
だいぶのんびりの、気が向いた時に更新します。