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猿場つかさ
2021年7月30日 23:37
古に、球状の生命を伴ってふたつの植物が飛来した。雄は落葉樹に、雌は常緑樹に生きる。春、雄は淡緑の網目を揺籃とし、秋には柔らかな鋸歯の淵で一生の決意をする。 1秒。 雄たちに与えられた。地球における恋の時間。常世の葉で幸福を謳歌する清廉な乙女たちは、自ら飛ぶことはない。 今、一枚の落葉で、ひとりの乙女も見ぬまま雄たちが死んだ。秋に葉が悲痛にささめくのは、彼らが恐れて震えるからだ。 突風が抜