変えるものと変えないものの線引き(1)
こんにちは。現場作業や作業指示に追われ、リーダーのやるべき仕事をする時間が取れない、とお悩みの経営者やリーダーを支援しています。自動操縦経営コンサルタントの小野司です。
自動操縦経営の2本柱は、現場の自立性・創造性を高める仕組みを作ること、会社や組織の個性を活かした設計図(事業計画)を作ることです。
この視点でコンサルさせて頂いて居ます。
先日ある経営者さんから聞かれました。
カイゼン活動は現状を”変える”活動とのことはわかるのですが、変えられるものはすべて変えるのでしょうか?
変えた方がいいものと変えない方がいいものがあると思います。その線引きはどのようにすればいいのでしょうか?
この回答について、紹介いたします。
1.線引き
これは、変えるものの定義と同じです。以下に述べます。
要件1:変えた場合のメリットとデメリットを比較し、メリットの方が大きいこと
要件2:変えないでいることが、”いやだな”、”悩ましいなあ”、”困ったな”と感じること
私は、上のようにとらえるとうまくいきました。
2.要件1について
どんなに良かれと思って変えても、
何かを変えると、必ずといっていいほど、
メリットとデメリットは現れます。
カイゼン活動では、行動後に、この2つを振り返ります。
具体的には、取り組んでみて
「よかったこと(=メリット)」、「大変だったこと(=デメリット)」
の両方を振り返ってもらいます。
ある活動の事例で紹介します。
【取り組んだこと】
下の階にある、1年に数回しか使わない古い台を、上の作業室に持ってきて、作業場所の横に置いた。
【よかったこと(=メリット)】の振り返り
主に、効果(プラスのアウトプット)を挙げてもらいます。
・しゃがむことがなくなり、腰が楽になった。
・作業のペースが落ちにくくなった(≒生産性が上がった)
【大変だったこと(=デメリット)】の振り返り
主に、不具合(マイナスのアウトプット)とインプットを挙げてもらいます。
・年に数回、下の部屋でその台を使う。その時、不便になる。
・台を上の階に運ぶのに、作業を手伝ってくれる人を探すことが大変だった。
ここで大切なことは、「大変だったこと」の振り返りでは、
インプット(作業投入量)も振り返ることです。
大きな効果があっても、それをするために、既存の作業に支障が出ていたとか、時間外の作業が増えて大変だった、ということがあれば、それも挙げてもらいます。
次に、リーダーは、これらを挙げてもらった上で、メンバーに聞きます。
・メリットとデメリットでは、どちらが大きいですか?
・デメリットを減らす方法はありますか?
このように振り返り、メリット方がが大きければ、
要件1はクリアです。
ここで、メリットの方が大きければ、変える判断をするでしょうか?
必ずしもそうではありません。その変化が継続するかを考えます。
それが要件2です。
私の事例ですが、メンバーは、
変えないでいることが、”いやだな”、”悩ましいなあ”など
を感じなければ、続かないのです。
経済効果が年間1000万円と伝えても現場の人には響かないのです。
「言っていることはわかるのですが、、」「忙しくて続きません。」
というようになるのです。
私は、これで何度もうまくいかない経験をしました。。
やせることがわかっていてもダイエットが続かないのに似ています。
次回、要件2の進め方について、ご案内いたします。
みなさまのヒントになりましたら、とてもうれしいです。
追伸:「よかったこと」「大変だったこと」の振り返りについては、
拙著『ちっちゃな「不」の解消から始めるカイゼン活動』(p186)
ご参照ください。