
読書note 『イッツ・ダ・ボム』 井上先斗(文藝春秋)
松本清張賞受賞作ってことで、でもって巷で話題になってることで、自分はそれ以外の予備知識は何もなく手に取ってみた次第でして。でもって読んでみると、トガりまくったストリートカルチャーの、ちょっとミステリ入ったお話でした。
もろもろ、目ウロコです。町中に現れる、スプレーで描かれた、落書きと思っていたものがグラフィティと称されるアートで、その行為をボム、というそうで。ああやっぱり読書って面白いと思うんですよ。この本読まなかったら、こんな世界知らなかったんだもの。
それらを描く「グラフィティライター」たちの、アート上の戦いを切れ味よく、テンポよく読ませてくれます。正直、個人的にはイリーガルな世界にノワール読感もりもりだったんですが、これはこれで面白いなあ、とも。原田マハさんに次ぐ、アート小説の書き手が出現したような、そんな印象でした。