法人税が下がり、消費税が上がるのが「正しい」のか?
「企業は簡単に国境を越えるので、企業が逃げ出さないように法人税を下げましょう」「金持ちは簡単に国境を越えるので、富裕税や相続税の増税は税収を減らしかねません」「庶民は国境を越えないので、消費税なら増税しても大丈夫です」という話、どれも理屈は「正しい」のでしょうが、「正義」とは言い難いですね。
国際間の法人税引き下げ競争、深刻な問題です。「他国より1%でも法人税が低い国に世界中の企業が集まる」という極端な仮定をおけば、各国の引き下げ競争によって法人税率が1%まで下がる可能性もあるからです。
もちろん、企業の立地は法人税率だけで決まるものではありませんが、それでも「法人税を引き下げれば雇用も税収も他国から引き寄せることが出来る」と考えている国が多い以上、引き下げ競争の流れは簡単には止まらないでしょう。
それにより、世界の大企業と富裕層が税を逃れ、その分の埋め合わせを先進国の庶民が消費税増税で負担させられる、というのは納得行きません。
国際的な租税条約を締結し、世界中の政府で「税率カルテル」を結成しましょう。その際、「カルテル逃れ」をどう防ぐか、カルテル逃れをしたがる国を引き留めるためにどういう仕組みを作り、どういうインセンティブを与えるのか、知恵を出し合っていく必要があるでしょう。
私に知恵があればご披露したいのですが、残念ながら・・・(笑)。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGD27H7E_Y7A800C1MM8000/