資産運用はインフレに備えるべき。予測としてもテールリスクとしても。
「インフレが来るか否か」と問われれば、「来ない」と答える人が多いのでしょう。だから金融資産は預貯金だけで十分だ、と考えて、預貯金だけを持っている人が多いのでしょう。バブル崩壊後の長期停滞期には、それで正解でした。しかし、これからは違うと思います。
景気が回復し始めてから物価が上がるまで、長い時間がかかります。まるで氷を熱すると当初は温度が一定ですが、氷が溶け終わると温度が上昇し始めるように。景気が回復を始めても、失業者がいる間は賃金が上がりません。ようやく非正規労働者の賃金が上がり始めても、正社員の給料はなかなか上がりません。給料が上がっても、企業間の競争があるので簡単には値上げが出来ません。
しかし、ヤマト運輸が値上げをしたら、ライバルが追随した事から見えて来るのは、「ライバルも苦しいのだから、自分が値上げをしてもシェアを奪いに来るのではなく、追随値上げをするはずだ」という事です。これは、労働力不足に悩む多くの事業者にとって、値上げの背中を押す大きな出来事だったように思われます。
資産運用を考える際には、テールリスクも考慮する必要があります。大地震と大津波が来る確率は、決して無視できる水準ではありません。東京と大阪と名古屋が壊滅した時に物価がどうなるか。その時の予想物価上昇率と大災害の確率を掛け合わせただけでも、インフレに強い資産を保険として持ちたくなります。
上記の理由で、私は個人的にはインフレに強い資産を持つように心がけています。予想としても保険としても。現金がインフレで目減りするリスクを考えれば、現金も株も外貨も「リスク資産」ですから、様々なリスク資産に「分散投資」してリスクを抑えよう、というわけです。
P.S.
私は日本政府が破産すると思いませんが、そう思う人はドルを持ちましょう。政府が破産する直前には、「そんな国の通貨は持ちたく無い。日本円は実物資産か外貨に替えよう」と考えた人が実物資産とドルを買いに殺到するはずです。その時に備えてドルを持っておきましょう。
「年金財政が破綻するから、自分は将来は年金が受け取れない」と考えている人も、同様です。年金が支給されなければ、生活保護の受給者が著増して、財政が破綻する可能性が極めて高くなるからです。私は、それを避けるため、政府は他の支出を全て削っても年金だけは払うはずだ、と思っていますが・・・
P.S.2
「インフレに備えるためには、ドルや株を買う必要があり、ドルも株も値下がりリスクがあるから嫌だ」と思う人は多いと思います。私はドルと株は銘柄分散と時間分散をすれば大丈夫だと思っていますが、怖いと思う人は、やはり怖いでしょう。
それなら、物価連動国債を検討してみましょう。1000万円単位なので、庶民には難しいですが、退職金の運用になら、使えます。相場が動きますが、1060万円程度で購入でき、最悪物価が全く上がらなくても1000万円は戻ってきますから、最大損失は60万円です。仮に万が一物価が2倍になれば、10年後に2000万円になって戻ってきますから、極めて効率の良い「保険」として使えるのです。60万円の「保険料」を高いと考えるか否かは、インフレの確率をどう考えるか、でしょうが。
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