デフレ議論は「海の水は一口飲んだら減るか」と同様の言葉遊び。
「そもそも、98年から、日銀の黒田総裁が「異次元緩和」に踏み出す直前の2012年にかけてのCPIの下落率は、年率マイナス0.3%程度だ。
」とのこと。そもそもその程度のものを「デフレだ」と騒いでいたわけです。
インフレ率がゼロなのとマイナス0.3%なのと、経済に与える影響は誤差の範囲でしょう。「実質金利がプラスであるから悪影響がある」というのは、経済理論的には正しくても、「海の水を一口飲んだら海の水が減った」と主張するようなものです。デフレが不況の原因であった筈がありません。
数字は嘘をつきませんが、数字を解釈する時には真実を見誤らないように慎重に判断する必要があります。インフレ率が「マイナス0.1%」ならデフレ、「プラス0.1%ならデフレ脱却」と大騒ぎする人もいるでしょうが、「概ねゼロ近辺の推移」と落ち着いている人もいるでしょう。どちらを信じれば良いのでしょう?
経済学者は理論的な影響を考察するに際し、「マイナスとプラスは決定的に異なる」と考えざるを得ないでしょう。市場関係者は、他の投資家の関心事項に敏感に反応する必要がありますから、「大騒ぎしないと市場の変化についていけない」場合もあるでしょう。しかし、一般の人はじっくり落ち着いて大局観を持って判断したいものです。
あとは、マスコミがどちらの読者を相手に情報を発信しているのか。それを情報の受け手としては認識して、「あれは学者や市場関係者向けの情報発信だから、惑わされないように注意しよう」と考える事が出来るか否かですね。言うは易く、行うは難し、ですが。
P.S.
「デフレだから」という言葉は、聞き手を思考停止に陥れる魔力がありますね。だから便利に使われている、という面もありそうです。小泉構造改革の頃、「日本経済は構造問題を抱えているからダメなんだ」という人が大勢いましたが、それと似た様な面があるのかも知れません。
http://diamond.jp/articles/-/134715
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