内部留保課税が設備投資を増やすわけでは無い

企業が設備投資するか否かは、「設備投資をすれば儲かるか否か」で判断する。それにより、資産総額が決まる。資産総額から自己資本(=資本金プラス内部留保)を引いた分が負債となる。

企業は利益を上げた時、「全額配当するか(内部留保は増えない)、配当を抑制して借金を返すか(内部留保が増える)」を判断する。内部留保に課税するなら、利益を全額配当するだけの事である。過去の利益も全額配当し、その分だけ借金を増やすだけの事である。

今はゼロ金利だから良いが、将来金利が上昇すると、どうなるか。企業は「内部留保は課税されるから、利益は全額配当してしまおう。借金をして設備投資をすると金利を支払う必要があるから、設備投資は諦めよう」と考えるかも知れない。そうなれば、狙いと逆の結果となりかねまい。

P.S.

「内部留保に課税すれば、企業が内部留保を取り崩して賃上げする」などという事もあり得ない。「賃上げをしなくても労働力が確保出来たから利益が上がり、内部留保が増えた」のである。内部留保を減らすためなら、賃上げではなく増配するであろう。

何と言っても、最近の日本経済は高度成長期のような「従業員の共同体。利益が上がれば株主への還元ではなく従業員で山分けする」ではなく、「グローバル・スタンダード」に沿った「株主の金儲けの道具」なのだから(笑)。

https://comemo.io/entries/2820

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