頭身で考えるキャラクターデザイン
物語のシナリオを考えるのもいいが、そろそろ何かを作っていきたい。今回は、キャラクターの頭身について考える。というのも、今までは6.5頭身というリアル頭身だったが、これだとイラストの世界観全体をリアルテイストにしないとバランスが取れない。
一方、デフォルメを効かせると確かに世界全体をプチにできるので、細部の表現のないほうがしっくり。が、やり過ぎるとシリアスなお話を展開させにくい。今回はそのバランスを考える記事。
デフォルメ頭身では手足の長さの調整が必要
単純に絵として縮小するとこんなんできます。
コレジャナイ。気を取り直して素体の手足の長さなどを調整してバリエーションを作ってみた。
右端が現在のエレノアさんの頭身。6.5頭身。日本人女性の平均的な頭身にしている。ディティールまで表現できちゃうので、丸めた表現が難しいということに気付いた。つるんとしていると手抜きにしか見えないのである。
何でも表現できる変わりに、アラも同様に表現されちゃうわけね。個人創作では一球入魂のフィギュアを作る以外には、扱いが難しいと感じた。
一番左が3.3頭身。これは「ハクメイとミコチ」の頭身だ。
絵としてみた場合と、人形で見た場合とでは印象が違う。主に衣類の表現で影響が出る。3.3頭身までが最小化表現の限界だろう。事実、ハクメイとミコチでは足首の表現がない。紙コップのような足先。また、イスに座る絵になると、若干だが足が長めになる。これは絵だから自在だが、3DCGモデルだと厳しい。
また、3.3頭身だと、ポージングに限界がある。やはりこの頭身だと色々難しい。
4~4.5頭身が最適かもしれない
こちらは、左が4頭身、右が4.5頭身。このサイズだとたったの0.5頭身が大きな差となる。
4頭身だと、確かに3.3頭身よりはポージングの表現力が上がる。ここまでデフォルメだと、小物は細部を省略したほうが自然なので都合が良い。だが、このキャラでシリアスなお話を表現できるかというと、ちょっとだけきついかもしれない、と思った4頭身。
一方、4.5頭身までじわじわと頭身を上げてみたところ、4.5頭身がリアル頭身とデフォルメ頭身とのギリギリの境界線という感じがした。4.5頭身になると、体型の男女の違いなどの表現まで行ける。大して4頭身だと男女共通の素体みたいになる。つまり、4.5頭身に近づくと胴体の表現力を与えることができるということだな。ウェストのくびれやバストの膨らみを表現できはじめる頭身ってことか。ううむ、これは重要かもしれない。素体レベルでそうなのだから、衣装まで含めると結構な差になるぞ。また、ポージングはほぼ何でもできる。手足がきちんとした長さになりつつあるためだ。
が、4.5頭身以上になると、もはやリアル頭身との差がなくなる。表現としてはデフォルメ感を感じなくなるので、情報を丸め込める量が劇的に少なくなるラインだ。
4.3頭身あたりが最もバランスが良いのかもしれない。
急遽4.3頭身を作ってみた。4.4頭身寄りの4.3頭身だ。違うような、同じような。もうちょいデフォルメできるか?
4.2頭身を追加。だんだん、利き酒ならぬ利き頭身になってきたw
確かに4頭身よりは表現力があるが、上図の右端の4.5頭身から見ればデフォルメ感がある。4.3頭身とは微妙な違いしかない。さて、この違いをどう考えるか。
ポージングについて。4.2頭身だと若干の不安を感じる。が、デフォルメ度のおかげで小物はだいぶシンプルに作れそうだ。でも、それなら4.3頭身でも同様な気がする。4.3頭身になると、体そのものの形の違いを表現できはじめる気がする。靴や服や小物をデフォルメチックに作っても、ポージングによる表現はギリギリリアル系と同じようにできそうな気がする。
それなら4.5頭身でもよさそうな気がするか?4.5頭身になると体がかなりリアル寄りに近づく。そうなったときに小物のデフォルメ感が浮かないか?体のリアリティに引きづらて小物もリアルにしないとバランスが取れなくなる?
そうだ、悩んだときには俯瞰で眺めてみよう。オールスターズを眺める。
左から順に、3.3, 4.0, 4.2, 4.3, 4.5, 6.5頭身。
両端を除いて、4.0, 4.2, 4.3, 4.5の4つから選ぶ。4.5頭身は、情報量が多そうなので除外。なるだけデフォルメ表現を許容する世界観にしたいので。
4か4.3頭身か。4.3頭身にも、微妙に小物の大幅デフォルメ表現が受け入れられないかもしれない。リアル頭身寄りであることに引きずられてリアル小物でしかバランスが取れないかも。ならば除外。
ついに4か4.2ということになる。4頭身はポージングに難がありそうだ。ヘルメットの着脱は難しいそうだ。一方、4.2頭身ならばできそう。しかもこれなら4頭身相当のデフォルメ表現も受け入れられそうだ。
結果、4.2頭身に決定
世界観の小物全体をデフォルメ表現にしてもなじみやすく、大体のポージングができそうな手足の長さだから。というわけで、4.2頭身が基準の挿絵ワールドを作ることに決定。
これに伴い、小物のデフォルメ度合いも4.2頭身に合わせて情報量を削る。エレノアさんも作り直しである。
なぜこんなにも頭身の決定に手間をかけたのか?
一つには、リアル頭身では背景も含めた小物全体のリアル度が高すぎてモデリングで手に負えなかったから、なんとかして低頭身にしたかったら。で、何でも低頭身ならばいいかというとそうではなくて、きちんとポージングできる頭身であること。アクションシーンがあるので、それを妨げるのは良くない。かといってリアル頭身過ぎれば最初の目的から外れる。
頭身は、上記のように、ちょっと違うと印象が大きく変わる。特に低頭身ならばなおさらだ。だから、ここを間違うと全滅する予感があったから。キャラの作り直しはよしとしても、問題は小物。4頭身キャラ用のデフォルメ小物は、4.5頭身キャラにはディティールが少なすぎるという危険性。例えばライフルなどの作り込みに差が出る。本来ならば必要のない作り込みが必要になるのは頭身のせいともなれば、頭身選定の失敗を意味する。ライフルの表現に意味があるのではなく、ライフルを使ったシーンを作れることに意味があるのだが、小物のディティールに手間を取られると進捗が大きく変わる。なぜならば、小物はライフルだけではなくて、背景も含めた全てだからだ。ちょっとした手間が積み重なると恐ろしいことになる。3DCGは特にそれが膨大な手間となる。
なので、デフォルメ頭身に合うギリギリの小物デフォルメ化が許容されるライン、その頭身を選ぶ必要がある。今回がまさにそれ。
とりあえず決まった。4.2頭身。これで小物や世界観は、できるだけ4.2頭身に合うレベルまで細部をデフォルメできることになる。モデリングのリアリティではなく世界観にあったデフォルメ表現。これが一つのモデリングの基準となる。この基準が、頭身で決まるわけだから、ここを慎重に決めないわけにはいかなかったのだ。
しかも、この後はこのデフォルメ基準に合わせて色々なモノを作って流用するわけだから、この基準が変わると既存モデル群との互換性がなくなる。これも怖い。なので頭身選びは慎重に時間をかけて行った。ま、±0.15頭身程度であれば問題ないだろうが、0.2頭身以上変わるとさすがに厳しい。とりあえず4.2頭身はどちらにも±0.15頭身対応可能なギリギリラインだと思っている。
実はキャラ原案も低頭身のほうが作りやすい
これもデフォルメ化しようと思った要因。衣類の細部を考えることなしに原案を作れる。まだまだ沢山のキャラを作らなければならないのだが、それも全部手探りスタートなのです。なので、決定稿がデフォルメ状態であるならば、最初からかなり省略したコスチュームでいいことになるので、気楽。当然モデリングもしやすいことになる。6.5頭身は素人には無理です。下絵にしろ、モデリングにしろ。。。
とりあえず、物語「ドラグナーの本分」ワールドは4.2頭身の世界に決定。これでだいぶ小物はデフォルメできそうだ。やる気が出るのはクリエイトでは重要な要素。
久々にZbrush触ったら基本操作をとっさに思い出せなかった。やはり3DCGソフトは少しでも触れないと一気に錆びると感じた(笑)
おまけ
頭身比較で真正面からの絵は沢山あるが、こういうのはなかなかないと思うので新鮮。こうして見ると、実は首の付け根も頭身ごとに位置調整しないとあごが出すぎたりするという罠。今回はそこまで調整してません。
今回、やたらと隠しを入れる手間がかかったのはナイショね。
(213回目のnote更新)
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