訳あってライノセラス3Dというモデリングツールの検討中
ライノセラス(Rhinoceros、動物のサイを表す)という名前の3DCGモデリングツールがある。色々訳あって今日はその情報収集。というか3DCGをやっている人は一度は耳にしたことがあるだろう。実際に私も過去に一度学ぼうか検討した時期があって、当時は見送った。だが今回、また再検討に入った。
(約 3,600文字の記事です。)
ライノセラスって何?CAD?
NURBS?3DCGを学んだ人は一度くらいは触っているはずのNURBSモデリング。特にmayaで学習開始した学生は一度は基礎講座で触っているはず。多分「めんどくせぇ」という印象を抱いたはずだ😅
お絵描きでPhotoshopとIllustratorの違いをイメージすると分かりやすい。ブラシで自由に描けることと、(ベジェなどで)カーブ・オブジェクトを制御して描くことの違い、これの3DCG版だ。前者はポリゴンモデリングやスカルプトモデリング、後者はNURBSモデリングだろう。
Illustratorを触って感じる違和感とほぼ同じで、「これは描いているのか?デザインしているのか?」という違いがある。それの3DCG版ね。スカルプトはとても直感的にモリモリしているので作っている感覚に近い。だがNURBSモデリングは「設定している作業」に近い。もちろんモデルとして仕上がっていってはいるのだが、パラメトリックな操作が多いため直感的に作っていると言うより「作業している」感覚に近い。
またスカルプト(ポリゴンモデリング)ほど直感的ではない。独特のNURBSモデリングに対する「既視感」がないと、イメージ通りに作れない。ここが最大のハードルだろう。
個人所有できる簡易CAD
CADにも色々あって、それこそ何百万円/年というソフトもある。もはや企業で買わないと使えないレベル。CADにも色々あるらしいが、価格帯として個人が所有できるソフトとしてはギリギリのラインを攻めてきているのがライノセラスという感じだ。なのでもちろんCADとしての基本機能はあるし、NURBSモデリングほか色々なことができる「らしい」、これまでの調査結果を振り返れば。(個人の感想ですw)
日本ではマイナー、世界的に見れば割とメジャー
ライノ、日本ではあまり使われていないようで、強いて言えば建築、宝飾、アクションフィギュアやハードサーフェスモデリングなどで使われているようだ。
世界的に見れば割とメジャーなソフトらしく、情報収集しても日本語情報はかなり少ないが、英語で調べればそこそこ出てくる。
実際にYouTubeで探しても日本語情報はかなり少ない。英語で調べても、あまり多いとは言えない。オープンソース文化のBlenderやPythonの活況とはかなり違う。オートデスク製品のように公式動画チュートリアルがあるか?
ないと思ったが実は見つけにくいところにあった。
しかも.jpドメインではなくて.comドメインにあった。どうりで.jpの公式サイトを眺めてもチュートリアルが見つからないわけだ。(このパターンは外国製ソフトの日本語サイトによくあるパターン。)
それは裏を返せばユーザー数の少なさを表していると思う。使っている人は使っているが、使い始めてさえいない人のほうが多いという印象。
ユーザー数と性能は比例しない
ただしユーザー数が少ない=低性能だとは限らないことがポイントだ。狭くて深いニーズにハマっていれば、ユーザー数に関わらずソフトは生き残れる。それにシェアが世界レベルであって「日本は一部の市場」でしかないならば日本でマイナーだからと言って開発が途絶えることもない。
要するに日本人の初心者は手を出しづらい、というネガティブな状況にあるものの、ソフトウェアとしては個人所有ができるギリの価格帯のCADソフト、と言えるだろう。
過去に学んだFusino 360を思い出す
だいぶ以前に個人利用が無料だった時代にF360を試していてCADを学んだ思い出がある。CADは自由で気ままな面出しが難しい。設計図通りにカッチリキッチリが得意だが、気ままなあとからの修正には弱い。ライノも例外ではなさそうだ。
CADなので「有機的かつ滑らかな曲線の変化」にメチャクチャ強い。それに対して松の表皮のようなランダムな凹凸表現には弱い。そこはスカルプトのほうが強い。
つまりは「人工物の表現」にはとても強く、有機的かつランダムな凹凸表現には弱いのがNURBSモデリング、ということになる。
ポリゴンモデリング、スカルプトモデリング
ローポリで押し出しや分割を繰り返すポリゴンモデリング、ハイポリでブラッシングして形を出すスカルプトモデリング、この両者は頂点数の違いだけだと思っていい。デジタル粘土だと超絶ハイポリゆえにブラシで制御するが、ローポリであってもブラシで制御できる。そうなるとBlenderでいうところの「ギズモ+プロポーショナル変形的な操作」と変わりがない。
自由ゆえの壁がある
ポリゴンモデリングで形を出すのは割と自由だ。モリモリ持って、ゴリゴリ削る。それだけ。ブラシで削るも良し、ブーリアン減算で削るも良し。
だがそれはあくまでも美術鑑賞レベルでの形の出し方であって、例えば金型加工などで最終形状を作り出そうとしている場合、そのデータでは色々と面倒になる。工場などで形を作り出すためのデファクトスタンダードはCADだからだ。ポリゴンメッシュはCADデータではない。ここに一つの罠がある。
なので、
ディスプレイ上のデジタル空間が全てのモデリングと、
個人で3Dプリントする場合のモデリングと、
工場での大量生産前提のモデリングデータ作りと、
では色々と前提が異なるのだ😱どれも「形を作る」ことは間違いないのだが、その手法が変わってしまう。そしてポリゴンメッシュをCADデータ化することは「できなくはないが手間、あるいは変換不能な形状もある」らしい。要するに③の場合、否応なくCADモデリングしかなくなってしまうのだ。
経験値としてCADを学ぶのもいいかも
個人が使えるぎりぎりのCADソフトとして、ライノを学ぶのもいいかもしれない、と思った。まだ本格的に検討してはいないが、mayaでのアニメーション学習を一時停止したわけで、では次はどうするか?を探していたところでのこのライノとの出会いは、まぁいいタイミングだったのかもしれない。
情報は英語でならば手に入る。ないよりかなりマシ。なので学習環境はあるといえばある。なのでライノを学ぼうと思えば学べる状況だ。
あと今日は時間切れだが、ライノのプラグイン開発はC# やPythonでもできるらしい。丁度いいじゃないか!😊無料のSDKに関する情報も公式サイトに載っていた。全部は見ていないが、なるほど、ライノはプラグラマブルな3DCGソフトと言ってもいいかもしれない。
とりあえず今日はライノに関する情報収集の話でおしまいです。
今回の創作活動は約1時間30分(累積 約4,057時間)
(1,201回目のnote更新)
(カテゴリ:ライノセラス)