AIに絵を描かせる「Stable Diffusion」「DreamStudio」とは?
(約 4,100文字の記事です。)
Twitterで何だかAIによる合成画像がホットな話題になって2週間くらい経っただろうか?midjourney(ミッドジャーニー)の話題も落ち着きつつある今、Stable Diffusionというキーワードでなにやら高画質なAI合成画像や絵が出回ってきた。
今回、ちょっとだけ体験してみたのでその感想を。
Stable Diffusionとは?
Stable Diffusion はテキストから画像を生成するモデル、仕組みのことであり、具体的にはソフトウェア(アルゴリズム)みたい、ざっくり言うと。「ユーザーが驚くようなアートを数秒で作成」してくれるらしい。
DreamStudioとは?
そしてStable Diffusionをweb上のサービスとして、お試し体験版のサービスとして具現化したものがDreamStudio。
ただしまだベータ版と言うことで、正式リリースではないみたい。
画面中央より下のSign Upからアカウントを作成して利用開始可能。
あとはEメールで認証などできれば普通に使い出せる。
これ以降の使い方はGoogleで「DreamStudio 使い方」などで調べればたくさん出てくるので省略。
<参考>
生成画像のサイズと演算量を最小にすれば、初期ログイン時から最大で約1,000枚(200枚の5分の1の演算コスト=1,000枚)テストできる。普通の演算コストだと約200枚で打ち止めであり、そこからクレジットカードでの課金利用になる。
色々テストしてみたけれど
風景に関しては、これはもう驚き。これ、小説の挿絵背景くらいならばフリー画像を探すよりもAI合成でよくね?とそう思った。
2枚目は少女の背中を英語で指定した結果。アルプス山脈を指定したからヨーロッパの少女になったらしい。
ただし正面向きにしたところ、残念な結果に。
……、ムンク?なぜピンクの服なのか不明だが、ま、こういう残念な結果も当然出てくる。
Twitterに上がっている画像はそういう数々の失敗作を乗り越えて選りすぐられた「成功事例」だと思った方がいい。
小説の雰囲気(イメージ)作りにはいいかも
このAI合成は「テキストから絵を作り出す」ので、小説の挿絵を簡単に作りたいという人にはぴったりかも知れない。Google翻訳を使って日本語から英文にし、DreamStudioに貼り付けEnter。
ライターは文章を書く人であり、絵描きではないが、雰囲気作りのため、箸休めならぬ目休め?として挿絵が欲しいというのは当然の要望だろう。
そこにAI合成の絵は、願ったり叶ったり。ただし結構な回数を試行錯誤したりキーワードを変えたりなどの手間はある。だが「素人が頑張って書いた下手な絵」よりはよほど「見栄えする絵」が手に入る。せいぜい30分もリトライをすればいいだけだ。
雪と霧と、凍てつく森の中、数名の兵士らしき人がいる。もう雰囲気の提示としては十分だろう。
ただし細部を見れば分かるように、AI合成は細部に弱い。midjourney(ミッドジャーニー)は特にその傾向があったがStable Diffusionはかなり進化したという印象で、細部も「現実的なもの」ならば割とリアルに書き込まれている感じだ。
線画調の背景も出力させてみた。よく見れば、色々と矛盾だらけだが、ぱっと見の背景としては十分。街中、路地、人が歩いている、これくらいはすぐに分かる。説明資料などの背景画像としては十分。
リアルベースの人物画には強いが
次に顔だ。人の顔。
リアル系の顔に強い。学習素材としてリアルな人物写真を学んでいるためだろう。
デフォルメが入ってくると、だんだん崩れがちだが、それでも海外アーティストがArtStationなどにUPしているようなセミリアルな絵はまだまだ行ける。
ただし日本人が見慣れているアニメ調の絵になるとだんだん崩れやすくなる。学習量が少ないからだろうか。
他にも微妙に惜しい絵が多数なのでまとめてスクショで。
人物画についてはフォトリアルな絵に強い感じだ。
ただ、少女の顔限定のAI合成イラスト化サービスは結構以前からあるので、顔だけを作るならばそちらのサービスを使ってもいいだろう。
顔だけならばこちらの方が「見慣れた形」なので万人受けするだろう。例えばこんな感じ。
アニメ顔に特化した分だけ、色々と精度が高い。表現力も高い。このサービス自体は2019年からあったわけです。。。3年分の重みだね。
<当時のブログ記事>
https://www.yamato-tsukasa.com/entry/2020/03/08/031324
さて、Stable DiffusionなどのAI生成画像ではむしろ首から下のファッションや衣類、メカ物などのパーツなどに関するインスピレーションに期待したい。とは言え、細部はやはり曖昧になりがちなので、あくまでもたたき台、インスピレーションの元ネタとして活用することにはなるだろう。最終的には細部は人の手で仕上げることになるだろうから。
PC版で単体動作するソフトの公開待ち
現時点ではVRAM 10GB以上の仕様との噂だが、どうやら5GB程度のVRAMでも動作するバージョンも開発中だとか。手持ちのグラボはVRAMが6GBなので、何とか5GB版を使いたい。
というのも、AI合成では試行錯誤の回数が物を言うので、現金(クレジットポイント)を使いながら試行錯誤するのはお財布にも厳しい。
そしてPC単体でうごくようになれば、表現に対するフィルタリングも解除できる、らしい。ま、要するにちょっといけない画像も自分で自分のために生成するならば、問題ないわけで。(とはいえリリースされてみないとどういう制限がついたままPC版が公開されるかは不明)。
いつの時代も「メディアの進化」については必ずせい的な衝動が原動力になっている、あるいはその衝動が伴っていることは明らかだ。VHSの普及然り、インターネットの動画コンテンツの普及然り。
となれば1次元さかのぼって「絵や写真の合成」についてもまた、そういう衝動が技術を進化させることは明らかだろう。もちろん「どう規制していくか」という話もまたあるわけだが。
今後の倫理観の問題
ただしAI合成の問題も浮き彫りになっている。AIが勝手に学習したのだから、「誰の、何の絵を学習したか」についての議論が活発になっている。人がまねしたならば盗作と言われることもあるだろうが、AIが機械的に自動で収集&学習した場合については、今からまさに議論が行なわれようとしている。新たな問題だ。これまで人類が直面していない問題が起こったわけだ。
これは結構難しい問題で、アートをやる上で誰しもが、真似によってスキルを習得する。マネを禁じてはどんなアートも成り立たない。
全ては最初に模倣による練習から始まるからだ。
それを機械学習に真似を禁じる=学習素材として認めない、となると、もうアーティストは廃業するしかなくなってしまうだろう。というのも、現実的な公開先が存在しなくなってしまうからだ。どういうことかというと、機械学習にのみNGというルールを保ったまま「作品を公に、人にのみ公開する」という仕組みは、今のところ相当難しいだろう。機械学習すらもさせない=公開しない=実質非公開=どうやって稼ぐの?という具合だ。廃業しかあるまい。
あるとすれば100%アナログであって、絶対にデジタル作品としてネット上に流通させない、という手もあるだろうが、それはかなり時代に逆行することになるので、よほどの実力のあるアーティスト以外は選択不可能だろう。
あるいは「機械に学習をさせない」という仕組み作りが必要なのかも知れないが、そうなるとAIの画像生成の精度が落ちるわけで、そして過去に一度でも可能になった技術については、どんなに制限をかけてもいたちごっこでいずれはブレークスルーされてしまう。技術的に可能になったものを不可能のままに保つことは、かなり難しい。制限する(できる)権利者の権利が及ぶ範囲は有限だ。つまりそれ以外の範囲では常に自由競争なわけで。
なかなか綱引きのような、決着の付きにくい問題になっている気がする。
あとはこの流れに乗って「如何に自分に有利にツールを使いこなすか」と「如何にマネタイズの流れに自分自身を組み込むか」が一つのポイントになる気がする。
当然、マネタイズの流れに敏感な企業は、このAI合成の流れに乗ってお金を稼げるサービスを展開するだろうし、それを便利に使いたいユーザーが入ればお金を出すだろう。そこに新たなお金の流れが生まれる。
描かないで生み出す「絵」というステージ・時代
個人的には、AI合成を上手く使って、「絵を描く能力ではなくて手腕、手法によって」絵を生み出すことができれば、絵を描くことが苦手な人にも「絵を生み出すチャンス」が与えられるので、活用したいと思う。その手段としてStable Diffusionは、かなりの可能性を示してくれるに違いない。
もちろん逆に絵師にとってはライバルがさらに増加することになるので、絵師もまたAIを上手く活用して「素人に負けないレベル」の維持に努める必要があるだろう。
絵を描く、イメージ画像を作るという世界の、パラダイムシフトが起ころうとしている。
今回の創作活動は約2時間30分(累積 約2,890時間)
(794回目のnote更新)
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