【疑惑のカルテ Ⅲ】⑧ゴムの切れたパンツの謎~CTの謎が解けた!高度なトリックを駆使した医者
撮っていない「CTの謎」は、実は今年の6月に解けた。
関東地区在住の有能なレントゲン技師兼画像解析者により、CTとMRI画像の解析ができたからだ。
もちろん有料。かなりの額。
(本来ならば、「医師の説明義務」の範疇であるから、別にお金を払う必要は全然ない)
結果は、
CTがいつ撮られたのかはわからない。《秘密裏》に、いつかどこかでCTを撮影したもよう。MRIとまったく同じ画像で、現在主流の3G撮影などは皆無。
つまりは、《撮る必要性は0%ないCT》だったことが判明した。
それにより患者に大量の被曝をさせただけの、無駄なシロモノ。
「被爆量の多いCTを絶対に撮らせない」
のが私の考え。
医者は完全に『自己決定権の侵害』を犯した。
どこで、秘密に撮ったのか?
この謎は、だいぶ後になって解けた。
大分整形外科病院では「手術室にCTの機器が置いてある」のだ。
つまり、手術前にMRIと同時に撮ったとされるCT画像は、実は患者に麻酔をかけた後、意識がない時に撮ったと推測できる。その時しか撮るチャンスはない。
なぜ手術前にCTを撮らなかったのか。
撮る必要がない=症状が手術が必要なほど重くないからだ。
症状が重くなければ手術の必要はない。
手術しない患者=金にならない患者を病院と医者は必要としない。
しかし軽症では術前カンファレンスに通らない。
さてここで用意するのは「ニセモノのCT画像」である。むろん、かなり重症の他人のCT画像を用意する。これでカンファを無事通せる。
大好きな「手術をget」できる!!
証拠:画像には通常はヘッダーと呼ばれる、患者の名前や撮影した日時が画像の四隅のどこかに入る。
私のCT画像にはヘッダーがない。
なぜないのか?
撮影日時が手術の麻酔をかけた後であることがバレるのを防ぐためだ。それ以外に説明のしようがない。
これは非常に高度なトリックである。
失礼ながら医師に思い付けるトリックとは思えない。
これだけ高度なトリックを駆使し、利用したのが、まさか私一人のはずはない!
私一人では、わずか6000円の儲け。それっぽっちでこんな危険は犯さない。
被害人数はわからない。仮にMRIを撮影した全員とすれば、少ない数ではない。膨大な数だ。が、そこまでの確証はない。
本当にCT室でCT撮影を受けた患者もいる。たいていは脊椎の患者。造影剤を使うCT撮影はCT室を使うらしい。私自身はCT室には一度も入っていないが。
さて話変わり、ここのところ私は「麻酔科の先生」たちに話を聞いている。
決定的な情報は、20年もかかりつけのとある医師からもたらされた。
私は今までその先生が、元は麻酔科専門医、であることをまったく知らなかった。たまたま病院の口コミサイトを見ていたところ、患者の一人が麻酔医と書いていて知った。
さっそく私は自分の「心エコーのデータ」を持って、そのクリニックを尋ねた。
付き合いは長いのだが、治療以外の話をしたことのない先生は、意外にもフランクにしゃべってくれる先生だった。
心エコーのコピーを見るなり、
「ぜーったいにおかしい。あり得ない」と麻酔医は笑った。
まず妙なのは、麻酔医が「診断」を下し「病名」を付けていること。
麻酔医が、手術前の患者に病名を付けることは通常ないそうだ。
書くなら主治医だと言う。
「あそこ整形外科だよね。循環器ないよね。あははは」と笑った。
「先生から見て、この僧帽弁閉鎖不全症の病名を付けますか?」と訊いた。
「ない。正常」と答えた。
つまり、100歩譲って、これが私のデータだとしても、診断名の「僧帽弁閉鎖不全症」はない、ということだ。
家に帰り、ネットの健康相談みたいなサイトで「麻酔科の先生にお尋ねします」というタイトルで、質問を投げかけた。
1人の、おそらくはベテランと思える医師からの回答に、こういうものがあった。
「僧帽弁の患者に全身麻酔をかけると『重症加算』が取れる。それを狙った可能性はある」
『麻酔の重症加算』!!!
初めて聞く言葉だ。調べた。
そして驚いた。
私の「心エコー検査報告書」にはいくつかの病名があらかじめ印刷されている。医師はその中の□に、ぞんざいに「ㇾ」を付けているだけだ。
その印刷された病名のほぼすべてが「『重症加算』の取れる病名」なのだ!!
素人でもよく聞く「狭心症」などの病名はない。
「大動脈弁閉鎖不全症」「僧帽弁閉鎖不全症」「三尖弁閉鎖不全症」「大動脈弁狭窄症」「僧帽弁狭窄症」
すべて『重症加算』が取れる病名だ!!!
「不正」が目的であれば、この中のどの病名でもよかったのではないか??
そしてもう1つ。たくさんの医療関係者の証言。
「麻酔の説明は、通常手術の前日にある」
――なかった。前日どころか、当日も、なかった。
そして、手術当日におこなわれた「手術の説明」も確実に妙だった。
私の腕に、すでに麻酔前の点滴を付けた状態での説明だった。
そして、手術着は穴の開いたボロボロで、血液のシミなどでひどく汚れており、「パンツのゴムが完全に切れていた」
手でウエスト部分を握らなければ下に落ちてしまう。手術着の下は全裸だ。片手でパンツを押さえるのに必死だった。
つまり私は左手に点滴スタンドを持ち、右手でパンツを押さえた格好で、手術の説明を受け、そのまま、手術室に入った。
今考えると不思議だ。
年間1000件の手術数を誇る病院。手術着の予備が数枚くらいあるのではないか?
すべての手術着のパンツのゴムが切れているわけではあるまい。
なぜわざわざ、パンツの役目を果たさないものを、患者に着させたのか?
その日は、男性一人と、女性が私一人の手術日だった。女性用の手術着がもう一着くらいあるはずだ。
結論。
あえて患者が【逃げられない状態にした】のではないか??
そう思うのは、手術の説明がめちゃくちゃだったからだ。診察で話したことと遠くかけ離れていた。嘘ばかりだった。
「今の人工関節は、40年もちます。あなたが100歳まで生きたら再手術が必要かも」と言った医師の説明は、まるっきりの嘘だった。
これはメーカーの京セラ本社に確認した。
京セラの担当者が「当社に40年もつというエビデンスはない。先生が持ちなのでは?」
といい加減なことを言うので、医師に確認した。
答えは今もってない……
ある訳もない。そんなエビデンスは世界中探しても存在しない。
この「合併症説明書」に名前をサインした。
とたんに、主治医の顔が喜色満面に変わったのを私は見た。
まるで子どもがホームランでも打ったようなしたり顔。
それから突然「ガニマタ! ガニマタ!」と何度も繰り返し叫びはじめた。
私の歩き方が変なのを、嬉しそうに揶揄しはじめたのだ。
その小さな部屋中を、さも嬉しそうに、爪先を拡げて、私の歩き方の真似をして、パタパタ、ぐるぐると歩き回った。
「ガニマタ! ガニマタ!」と大きな声で叫びながら……
これが、整形外科医が身体障害者に対する態度か……
恥ずかしさに、顔から火を出た。
「しまった! 騙された! この医者はいい人ではない」と悟った。
さっきサインした書類を引き裂いて帰りたかった。
しかし、腕にはすでに麻酔の点滴が刺さっている。
そして、800ccもの自分の血液を輸血用に採られていた(これは必要のないものと後でわかった)
貧血でフラフラの状態だ、むろん食事など摂っていない。
(逃げたい! でも逃げられない…)
片手に点滴スタンド。片手に「ゴムの切れたパンツ」!!
ドアさえ開けられない。
今考えると、お尻を丸出しにしても、逃げればよかった、と心底思う。
「公然わいせつ罪で捕まる!」
その時、思った。そのことは鮮やかに記憶している。
(つづく)
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