オシャレからユーティリティへのメタモルフォーゼ
「それって、ブレスレットか何かですか?」
先日、池袋駅東口にて通例の用事があるため、その場所に出向いていた。
月に1、2回のペースで通うのが当たり前となってきたこの頃は、目的地に着くまでのルート取りも含め、池袋駅の構内やそこからの街並みなど、すっかり慣れてきたものであった。
そして一通り終えたところで、今回担当してもらったAさんから、私が普段から肌身離さず身につけている一つのアイテムについて、これが一体何なのかと尋ねられたのだった。
振り返れば、これまでも事あることに他の方たちからそのアイテムについて、不思議そうに見られながら質問されてきた憶えがある。
私自身は、これがオシャレだと見せびらかすような意識をしているつもりはなく、どこにでもありそうな単なるブレスレット代わりに装着しているつもりだった。
ところが思いも寄らぬことに、月に一回は必ず誰かしらの目に留まっては紹介せざるを得ない事態に至っている。一見、ブレスレットに見えそうでよく見たらそうでなさそうな形が、意外と肝になっているのかもしれない。
それであれば、始めから付けなければいいだけの話なのだが、もはや自分の体の一部だと云っても過言ではないほどにずっと身につけている以上、今更外して過ごすのもいかがなものかと思わざるを得ない。
ちなみに私が、このClipa 2というアイテムを購入する大きなきっかけとなったのは、とあるYouTuberが投稿した普段から愛用しているアイテム紹介か、もしくはガジェット系でよく見かける買ってよかったものなるレビューだった…はず。
どこからどうみても、何の変哲もないブレスレットに見えるそれは、切れ目となっている部分を開くことで簡易的なバッグハンガー代わりになるという、大変便利な物だ。
例えば食事する際のカウンター席などで、バックなどの荷物を引っ掛けるためのフックや収納カゴが店内に設置されていない時に、コレを用いて下部分にバッグ等を引っ掛け、上部分にテーブル等の先端を引っ掛けることで大いに役に立つのだ。
というように、Aさんの前で一通り説明し、早速実演してみた。しかし今までやってきたのと違って、どうも滑りやすく引っ掛かりもあまりよろしくない。何度も引っ掛けを試みても、すぐにずり落ちてしまう。
異変に気づいて確認してみたところ、滑り止め機能を持つパッド部分のうち片方だけが跡形もなく剥がれ落ちていたのだ。
テレビショッピングのような実演販売みたいに振る舞ってみたつもりが、まるで放送事故を仕出かしたように、最早やってしまったという感覚が否めない。
少なくともAさんは大変驚かれていたが、流石に「コレが欲しい!」とまではいかなさそうだ。なにせ、滑りを抑えるための肝心なパッドが片方なくなってしまっていることを、同時に披露してしまったのだから。
後でコレをいつ頃に購入したかAmazonで検索したところ、4年も前にその履歴が残っていたのである。成程これぐらいの年数が経っていれば、経年劣化で取れてしまってもおかしくはないはずだ。
そもそもほぼ毎日ずっと付けていたはずなのに、ここに至るまでどうしてラバー部分が剥がれていることに気づけなかったのだろう。
もしかしたら、ここぞという場面で引っ掛ける機会がないまま、しばらく間が空いてしまったからかもしれない。
ともあれ3年じゃなく4年も持ってくれたのだから、今までよく持ち堪えてくれたと思う。しかしこの様子では、次回訪れる時までに2個目の購入を早めに検討しなければと、私はそう考えに没頭するのであった。