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偶然が偶然を呼び起こして出会った一曲


この数年で、Apple MusicやSpotifyなどの「サブスク」の登場によって、さらに身近に音楽を聴ける環境が整ってから、音楽に触れることにおけるハードルがだいぶ変わっていったと思う。

それまでは、テレビやラジオそれに雑誌などのメディアから情報を得るか、あるいは家族や友人が持っているレコードやCDといった一種のツテをたどって取り入れていくなどと。限られた手段で自分の好みを探っていくしか、触れる機会がなかったはずである。

それが今となっては、毎月決まった額を支払っていくことで、ストリーミングという形を通して、すぐさま手に入れることができるのだ。これまでに発表されてきた楽曲のみならず、これから生み出されていくであろう楽曲も含めて。

私も5年以上前からサブスクを利用している身である、昨今トレンドに上がっている流行りものといった新曲を聴くことよりも、時代を逆行するようにして、自分の生まれた年でもある90年代や、それより前の、80年代を含む以前の曲を中心に聴くことが多くなっている。

例えば冒頭にのせている、アニー・レノックスの「Why」という90年代前半に発表された楽曲も、私が数年前にサブスクを利用し始めてから出会ったうちの一つでもある。


元々、アニー・レノックスというイギリスのミュージシャンを知ったのはここ数年前と、つい最近のことだった。そのため、子供の時はまったく知らないままでいたのである。

洋楽の女性ヴォーカリストといえば、当時の認識では「恋人たちのクリスマス」で知る人ぞ知るマライア・キャリーと、タイタニックの主題歌にも起用されたセリーヌ・ディオンぐらいしか知識を持ち合わせていなかった。

その後も、メディアで注目を浴びていたブリトニー・スピアーズの他に、エンヤミシェル・ブランチなどと、大の洋楽好きである両親の影響のもとで幅は広がっていくものの、肝心なアニーにおいては触れることはなかったのである。

そして今から30年以上前に行われた、クイーンのボーカリストであるフレディ・マーキュリーの追悼コンサートにて、デヴィッド・ボウイとの共作で知られる「Under Pressure」を披露している模様を、YouTube上で視聴したのを機にその名をようやく知ったのであった。



話は元に戻るが、なぜ「Why」という楽曲を取り上げたのかということについて、特にこれまでに深い思い入れがあったわけでもなければ、血眼になってまで探し求めていた曲ではない。

音楽サブスクを使い始めたばかりの頃に、イヤホンを装着しながらも寝落ちしてしまった後で意識が戻った時、たまたまランダム再生で流れていた楽曲が「Why」でだった、ということである。

偶然なことに、その時は起きたばかりでぼんやりしていたこともあってか、思わず二度寝してしまうほどの穏やかな雰囲気に惹かれ、今日までずっと聴き続けるくらいの強い印象を受けたのである。


こうしてサブスクを利用したのをきっかけに、今まで当たり前であったメディアから音を拾うだけでなく、さらに何気ない日常の中のような些細なことから、一つの楽曲やアーティストを好んで聴くことが多くなりはじめてきている。

その反面、もう少し早く出会っていれば、聴いていればよかったと思わずにはいられないものも、年々追うごとに出てきている。一つ一つ挙げればキリがなくなっていくのも事実であり、アニー・レノックスとその「Why」という楽曲もその中の一つに含まれている。

インターネットの登場によって、音楽における発信の仕方や享受お仕方も良くも悪くも大きく変わり始めていることは間違いない。ただ、物心ついた時から成人してもなお、常日頃から音楽を欲している自分にとっては、今が恵まれた時代に突入したのだなと羨ましく思うのである。

最後までお読みいただきありがとうございました。 またお会いできる日を楽しみにしています!