ダイヤルアップ?それ、おいしいの?
時代の流れは急速に、そして唐突にやってくるものだ。
今から20年以上も前、PCを通じてインターネットを閲覧する前に必ず「ダイヤルアップ接続」という、電話回線を用いて自宅から離れたプロバイダに電話をかけるような形で、接続をよく試みていたものである。
通信をはじめる時に「ピーガラガラガラ…」などといった、FAXの送受信にでも使われている音を毎回聞くたびに、当時父親の友人からもらったPCのブラウン管型モニターの前で、ワクワクとやらを感じていたものだった。
当然ながら光回線が主流となってきている現代と比較しても、通信速度は言わずもがな雲泥の差である。
もう一度あの頃に戻ってダイヤルアップ接続を試みて閲覧しようものなら、高速通信に慣れてしまった身ではたぶん「無理」の一言に尽きるだろう。
それでもって今のように、インターネット見放題みたいな定額制のプランはまずない。なおかつ接続しているだけでも、1分毎に通信料として数十円単位で加算されてくる。
賃貸によっては「インターネット無料」と謳っている物件もあるが、昔は今と比べて通信自体すべてがタダではない時代だからこそ、長電話するみたいに長時間の閲覧は許されるものではなかった。
おそらく今の10代20代に「ダイヤルアップ」という単語を知る人は、ほとんどいないかもしれない。
それでこそひょっとしたら「ADSL」でさえあまり耳馴染みがないのかもしれない。そう思うだけで、私自身もジェネレーションギャップを感じる年代になってきたんだなと、物思いにふけてしまう。
ちなみに一昔前、とある方のブログで見た「インターネットの電話回線の接続の音やります」という文面が綴られていた記事には、不覚にも笑ってしまった。
たしかこんなカンジのもので、接続音を文字として起こすなら大体の雰囲気は合っていると思う。
ただ後半あたり誇張しすぎな部分もあって、全体的にめちゃくちゃ狂気に満ちていた気がしなくもない。
当時この方はその文面から見るからに、相当切羽詰まっていたんだろうなと思わざるを得ない。しかしながら、どこをどうしたらこんな風になってしまうのよ、とも考えてしまう。
が、実のところ私も人のこと言えない身である。先日記事を書き始めるまでの間もやはり、ダイヤルアップ接続の音ばりに一人唸り声を上げていたのだった。
そうして本日もなんとはなしに、自らの腕と頭の間にはさまって通信を試みるが応答なしと言わんばかりに、ネタが詰まっている状態は今もなお続いている。
特に意味はないけれど、どこかのタイミングで「チーン」とベルが鳴らないものかと神頼みしてしまうのであった。