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間もなく「さらに下」に参ろうとしています。
先日、前述のニュースが速報で流れた時。私は特に驚きもせず、当然の結果であると思いつつ、淡々と目を通していた。
これを皮切りに、全国各地の放送局でも立て続けに、出生率低下と報道しているのを散見された。だが、どれも単に知らせただけであって、中身のかけらも無い報じ方には、緊張感ですら一つも感じられなかった。
故に、この国を治める者を中心とした人物達は結局のところ、事の重大さがどれだけ深刻であるかを真面に向き合おうとせず、見向きもしないことだろう。
前々から分かりきっていたことだが、自己の保身に走ることしか考えていない者に上に立たせて続けては、やがて陥落するのも間もなく時間の問題だ。
逆にこの状況下で、出生率がほんの僅かでも上がると思っていた者は、はたして何を根拠に兆しが見えるとでも考えていたのか。なんとなくだが、直に話してみたいとも考えるようになった。
汗水流して手にした給料が、上の立場の人間の私腹を肥やす為の税金という形で毟り取られ続けた挙句。残されたはした金でもって、誰が喜んで新しい命を授かり育もうとするのか。
むしろ、今を生き抜くだけで精一杯だと思う人達が、これよりさらに増えていくのはどう考えても目に見えている。そしてその人達は周りを気にする余裕もなくなり、長きにわたって暗闇に包まれたままの時代に、新たな生命を宿そうとはしないと思う。
これから待ち受ける未来は、明日は、間違いなく明るいものでなくてはならない。
先人も苦労して乗り越えてきたのだから、きっと乗り越えていけるはずだと。我々が知らずのうちに抱え込みすぎた負債という形で、事情を知らない子供達に押し付けようとする行為は、あまりにも残酷すぎることだ。
加えて、幸せになるために生まれてきたと諭すのも、それなりの出来事を経験してきた身としては、一生ついて回るような苦行以外何でも無い。
それに私自身、仮にこの先家庭を持つことになるとしても、我が子には今もはっきりと見えない混沌とした世の中で、苦しみながら生きてほしいとは思えない。
いずれにせよ、国の存亡の機をかけると題した少子化対策をいくらとったところで、心の底から民の暮らしを守ろうとする意思を示さない限り、無駄に終わることだろう。
失態も責任もまともに取ろうとせず、自己の保身にばかり走り続ける者たちに、数多の非難を豪語したところで、もはや馬の耳に念仏なのは相違ない。
本来ならば、こうした公言は控えるべきなのかもしれない。だが、これまでの散々たる愚行や惨状を目の前にして、この時代に、かつこの国に生きる民の一人として自ら発言せずにはいられないのだ。
利他の心を持ち合わせていない者たちが、いつまで経っても幕引きを起こさずに居座り続ける限り。「いつか明るい日常を取り戻せますように」という子供たちの願いはやがて、ここよりどこか遠く離れたところの歌と成ってしまうことを、私は今も危惧してやまない。
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