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散々たる結末でも、すべて洗い流してくれるなら

ことごとく、お天道様に見放されている気がする。



翌朝、私が泊まったホテルの一室の窓から景色を覗いてみると、外は雨に見舞われている。

大方予想はついていた。直近で見た天気予報では、雨マークがしっかりとついていたし、前日に散策した時も頭上には、いつでも降らす用意はできていると、そう言わんばかりの分厚い雲に覆われていた。

念のため家を開ける前に、レインシューズを履き、折り畳み傘を持つなどして、雨対策を万全なものにしていた。過剰に準備しておけば、いくらか「アテ」が外れてくれるかもしれないと思っていたが、その「アテ」は見事に外れてしまった。

折角の旅が雨に流されていく。こうなるのなら、把握していた時に日程を変更ずらしておくべきだったのだろう。だが、宿泊を含む仙台行きの乗車券は、当日の2週間前に取得しており、すでにキャンセル料が発生する期間に突入していたのである。

ちなみに、行きの新幹線に乗る前に、乗り換えのために利用していた在来線が、線路に人の立ち入りか何かで大幅に遅れてしまっていた。幸い時間内になんとか間にあったが、到着するまでずっと全身に緊張が走りっぱしであった。



雨のおかげで低くなってしまったモチベーションのまま、やがてホテルを後にする。お昼になり、仙台名物である牛タンを食すと、帰りの新幹線に乗る時間帯になるまで駅構内をはじめ、各所ショッピングセンターをブラブラしながら回っていた。

そうして1、2時間経ち、私はあることに気がついたのだった。


(これでは、普段からいる東京での過ごし方と、ほとんど変わらないじゃないか…)


私はいつも池袋である用事を済ませた後、その日時間に余裕があれば某家電量販店や各百貨店に足を運んだりして、なんとなくという理由でウィンドーショッピングを楽しみながら余暇を潰している。

不覚にもそう思ってしまうくらい、仙台駅やその周辺も普段から私が目にしている光景と相違ないほどに整備されているのを、改めて感じたのである。

僅かな範囲で新たな発見に巡り会えたものの、私が本来行きたいと思っていた目ぼしいところに行けず、二日目はほぼほぼ消化不良に終わってしまった。

また別の機会を探って訪問リベンジするしかない。そう思いながら、定刻通りに来た東京行きの新幹線に乗り込み、仙台の街を後にした。


やがて自宅に近づくに連れ、雨脚が強くなっている。日が沈んでいくにつれて風や雨が、窓をたたきつけるようにして一層強さを増していく。

結局この日の帰りも新幹線を降りた後で、在来線は線状降水帯とやらの影響により大幅に遅れが出ていた。そして家に着くまでの間も、傘を差しても無意味なほどの大雨に全身が濡れてしまい、最後の最後で散々な形で旅を終えたのであった。



ただ今回の旅の終わりが、今まで自分の身に起こった数々の出来事すべてをこの雨で洗い流してくれるのであれば、いくらでも濡れてやってもいいと思えたのである。

今だけお天道様に見放されていようとも、また新たに自分を始めるきっかけが芽を出すのなら…。

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