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技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座44デジタルトランスフォーメーションの実践-現状問題に対するIT化と未来課題に対するDX-
DX-デジタルトランスフォーメーション-は、単なるIT化ではなく製品やサービス、ビジネスモデルそのものを変革するものだということはもはや説明不要かと思うのですが、どうやらそうでもないようです。DX事例として多く紹介される「業務の効率化」がDXではないとまでは言わないまでも、もしかするとそれは単なるIT化のことではないかとかんぐってしまいます。 別にIoTやAIのような最先端のデジタル技術を使わなくても、全社的な組織文化や価値観を変革するような取り組みであれば、堂々とDX
技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座43デジタルトランスフォーメーションの実践-ありたい姿とあるべき姿/経営戦略は変えるべきか変えないべきか-
ここまで少しテクニカルなトピックが続いたため、今回は戦略的な話しをしたいと思います。DXの推進をITチームに丸投げしてしまうケースをよく見かけますが、本来、DXの推進は経営者自身が担うべきものであり、ビジネスモデルを変革するほどの意思決定を下に任せることができないはずです。現状の延長のようなIT化を進めても今と何も変わらないし、現状を無視したむちゃな変革を一気にやることも組織を大混乱に陥れてしまいかねません。 最近、ある組織で経営戦略の策定手順についての議論を聞いてい
技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座42デジタルトランスフォーメーションの実践-目前に迫る「2025年の崖」-
2018年に経済産業省が『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』を発表しました。そして今、まさにその「2025年の崖」まで1年を切っています。「2025年の崖」とは、日本がこのままDXを推進できずにいると国際競争力を失ってしまい、大きな経済損失が発生するというものです。 上記DXレポートによると、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、2025年までに予想されるIT人材の引退やサポート終了といったリスクが高ま
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技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座41デジタルトランスフォーメーションの実践-ブロックチェーンが切り開くビジネス新時代-
ブロックチェーンはビットコインとしてよく知られていますが、ビットコインはブロックチェーンを利用しているだけで、ブロックチェーンの技術は他にも応用できます。ブロックチェーンは、ネットワークに接続された複数のコンピュータがデータを分担して保存するしくみであり、 ・システムダウンが起きない ・データを消すことができない ・データを改ざんすることができない などの特徴があります。 従来の中央集権的なデータベースでは、管理者が簡単に消すことも修正することもできますし、誤ってデ
技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座40デジタルトランスフォーメーションの実践-APIとWebhookによるエコシステムの実現-
健康保険証との一体化やさらには2024年度中には運転免許証とも一体化されることで話題になっているマイナンバーカードですが、実はマイナンバーにひもづいている個人情報を行政機関や金融機関などの間で共有することができるマイナポータルのしくみこそが重要な意味を持っています。 マイナポータルには「マイナポータルAPI」というシステム連携しくみがあり、各行政機関はこのAPIを使うことによって他の行政機関から必要情報を得ることができ、行政や企業をまたがる各種手続をワンストップ化でき
技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座39デジタルトランスフォーメーションの実践-ETLツールとデータプラットフォームによる社内外データ連携-
DXの活動はSoE(System of Engagement:関係のためのシステム)、SoR(System of Records:記録のためのシステム)、SoI(System of Insight:分析のためのシステム)の三つから成ることは何度も説明してきました。DX事例としてよく紹介されるものとしてはEC電子商取引やCRM顧客関係管理などのSoEや、「2025年の崖」を避けるためのパッケージソフト活用やクラウド移行といったSoRが目にすることが多いように思います。
技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座38デジタルトランスフォーメーションの実践-建設、製造から始まるデジタルツインの未来社会-
デジタルツインは、2002年にミシガン大学のマイケル・グリーブス教授によって概念が提唱されたもので、現実の世界をデジタル空間上に、双子のように丸ごと再現することを意味します。 建設や製造現場の設備の稼働状況をIoT(Internet of Things)によって収集したセンサーデータをもとにデジタル空間上に再現すれば、異常の発生を瞬時に把握でき、その影響がどこまで広がるのかシミュレーションすることが可能となります。 デジタルツインがどのようなものなのか具体的なイメージが持
技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座37デジタルトランスフォーメーションの実践-デジタルシフトとデジタルトランスフォーメーションとの違い-
DXの話しを読んだり聞いたりしていると、それはDXではないということがいまだに少なくありません。やはりDXをIT化と同義で考えている人がまだまだ多いということなのでしょうが、その原因は実は深いところにあるのではと最近になって思い始めています。 「D」のイメージはあっても「X」のイメージがつかない人が多いのではないでしょうか。ビジネス革新する気がないのではなく、ビジネス革新するイメージが持てないのではないでしょうか。その結果、DXの多くがアナログ業務をIT化する「デジタ
技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座36デジタライゼーション(③SoI)の実践-クロス集計でつくる多変量解析のデータ下準備-
昔、データ分析の講習会で講師をさせていただいたとき、参加者に分析してみたいデータを持ってきて欲しいと頼んだら、当日見せてもらったデータがことごとく集計済みのデータで、それ以上分析しようがなかったという経験をしたことがあります。 私が期待していたのは、営業ならば日々の販売データや営業日報、工場ならば製造データや品質記録といった日々の収集データを期待していたのですが、結局、参加者が望んでいたのは、こういう集計表があるけれども、ここから何を読み取ればよいか教えて欲しいという
技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座35デジタライゼーション(③SoI)の実践-Excel散布図だけでできるデータサイエンス-
SoI-分析のためのシステム-と言うと、難しそうな感じがしますが、実はExcelだけでもできることが多くあります。それどころか、今後のバージョンアップにおいて、AIの組み込みやPython関数の追加など、ExcelがSoIにおける重要ツールとして活用されることが予測されます、 しかし、最新バージョンの登場を待たなくても、Excelには昔からデータ分析のための機能が豊富に用意されています。今回はそうした今すぐにでもできるExcelの散布図を使ったデータ分析の方法について
技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座34 デジタルトランスフォーメーションの実践―商品・サービスそのものをデジタルシフトする―
今回から狭義のデジタルトランスフォーメーションの実践に入っていきます。狭義のデジタルトランスフォーメーションは、「データやデジタルの活用でビジネスに変革を起こし、収益をもたらすと共に企業の強みや価値を創出すること。」と説明されることが多いようですが、 ここではより正確性を期すために、狭義のデジタルトランスフォーメーションの意味は、経済産業省「DX推進ガイドライン」における以下の定義に従うことにします。 「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用
技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座33デジタライゼーション(③SoI)の実践-ビジネス革新のヒントはビッグデータから得る時代-
データウェアハウスやデータマイニングなどSoI(System of Insight:分析のためのシステム)と類似する考え方は以前からありました。統計解析やOR(オペレーションズ・リサーチ)では第二次世界大戦において軍事利用されていたと言われています。 AIにしても突然生まれてきたものではなく、長い研究成果を経て発展してきたものであり、DXが叫ばれる以前から注目されていたデジタル技術であり、AIを使えばDXとしてのSoIと言えるかというと少し疑問が残ります。 それでは
技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座32デジタライゼーション(③SoI)の実践-事後把握のためのデータ集計から将来予測のためのデータ分析へ-
業務の効率化など今ある問題を解決するのは単なるIT化であるのと同じように、どれほど高度なデータ分析を行おうとも、今の計画がうまくいっているかを事後把握するためのものは単なるIT活用にすぎません。 DX(デジタルトランスフォーメーション)において、SoI(System of Insight/分析のためのシステム)が重要視されるのは、それが未来のあるべき姿の実現に向けて何をすべきかを示すためのものだからです。 SoI(System of Insight/分析のためのシス
技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座31デジタライゼーション(②SoE)の実践-RPAによる現行業務の自動化はDXではない-
RPA(Robotic Process Automation)が登場した頃、業務を自動化できるツールとしてデジタル化に遅れた企業でもDX推進できる切り札として注目されました。RPA自体の有効性は間違いなく大きいのですが、RPAの導入や利用がDXにつながるかというと、それは違います。 本講座で何度も強調してきたように、どれほどデジタル化に取り組もうとも、現行業務を対象としている限り、それは単なるIT化であり、DXではありません。DXは新たな価値創造を生み出すために取り組む