あわら市観光まちづくりビジョン③

前回からの続きになります。

さて、会議委員を続ける中で最も苦労したのは、メンバーの間に温度差があることでした。そこで私はまず最初に 「観光の重要性」を言葉にして伝える必要があると感じましたのです。
私が考える観光の重要性は、次の３点に集中させていただきます。

まず、観光には言わずもがなですが、経済的な影響があります。観光産業は地域に多くの雇用を、観光客として訪れる地域外のお客様は、宿泊施設や飲食店、お土産などさらに、地元の農産物や特産品をお客様に提供することにより、観光業は地域にとって持続的な収入源となります。

次に、観光は地域の歴史や文化の価値を再認識し、それを伝える重要な手段もあります。 私自身、観光業に携わる中で、この５年間で地元の歴史や文化について知らないことがありますたくさんあったことを痛感しました。そして、うちに学ぶ「こんなに素晴らしい文化的価値があるのに、なぜ今まで知らなかったんだ？」と感じることが多くなりました。この価値を観光客はもちろん、地元の人々や子供たちにも伝えたい、いや、伝えなければいけないと思いました。自分自身の勉強不足を強く恥ずかしく思いました。

最後に、観光は地元住民同士の価値観の共感と信頼関係を構築する役割を担っていると思っています。観光を通じて、たくさんの方と出会い、あわらを良くしたいという同じ思いを持つ仲間がいる事を知ることができたのは、私にとって本当に嬉しいことでした。
振り返ってみると、この時、私は自分のプライドを捨てたことで、新しい世界を得ることができたのかもしれません。
そしてその仲間たちと現在も楽しくあわらについて学んでいます。そんな仲間たちとの勉強会では、毎回知らなかったあわらを再発見することができ、本当に楽しみな時間となっています。

第1回目の委員会で、アドバイザーである専門家の方から鋭くご意見をいただいた瞬間を、私は今でも鮮明に思い出します。

「そもそも、観光がいくら稼いでいて、あわら市にどれくらい影響があるのか​​説明できる方いますか？」

という質問でした。

大変残念な話ですが、参加していた委員全員がこの問いに答えることができなかったのです。

以下のグラフは、観光の重要性とその影響をわかりやすく示すために作成された資料です。

これらのグラフからわかることをまとめてみると、

✓ 電子部品等の製造業が、収益力と雇用力の両面であわら市における注目た産業として注目されている。

✓ 宿泊業は、その両面において製造業の次に重要な役割を担っており、観光があわら市において重要な産業であるかを確認できる。

✓ 飲食店の収益力や農業の雇用力をさらに高めることが、あわら市における観光拡大の鍵となると考えられる。

これらのデータに基づいて、観光が地域にどれだけの影響があるのか​​をしっかりと把握し、次のステップへとそれを続けていくことが求められているのです。

このグラフから読めるのは、電子デバイス製造業が単体で見ると圧倒的な収益力を持っているように見える点です。宿泊業は、裾野が非常に広く、飲食業や農業など他の関連産業と密接に連携しています。これらの産業が相互に支え合うことで、産業全体の持続可能な成長が可能になるのですです。

つまり、観光産業はあわら市において一つの産業以上の存在であり、地域経済全体にとって重要な柱となっています。電子デバイス製造業のように見える宿泊業も、実際には広範な産業ネットワーク観光業がもたらす直接的な経済効果だけでなく、関連する飲食業や農業、さらには地元文化や歴史の再評価、地域全体を大切にの価値を高める役割を行っているのです。

このように、観光産業の重要性を理解するためには、単一の指標や産業だけでなく、複数の視点から含めて認識する必要があります。そのためには、観光産業を中心に据えた総合的な戦略が求められるのです。

これらの価値観を共有するためには「時間」が必要です。全4回の策定委員会だけでは、価値観を十分に共有することは不可能です。

そこで、私たちは11月から3月までの限られた期間の中で、委員ミーティングを全20回行いました。 価値観の共有が難しい中、まずは「時間の共有中に」共感を抱き、関係を進めることが重要だと考えたのです。

ざっくばらんに議論をことで、自然に信頼関係が築かれ、共通の目標に向けて協力する意識が向いていきました。地域再生に関して、この「時間の共有」は重要な要素です。

次回へ続く・・・