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政治講座ⅴ1802「トランプ氏有罪評決(茶番)の大統領選への影響」

 権力の濫用にしか見えない裁判と思えるのは吾輩だけであろうか。「魔女狩り」との主張は強ち間違いではなさそうである。国民がどのように判断して選挙に投票するかについては興味が尽きない。当選して大統領になったら自分を特赦できるのであろうか。米国民が判断することであるが興味がつきない。裁判で思い出されるのが「東京裁判」である。この裁判も茶番である。「東京裁判」で国際法違反としての広島・長崎への原爆投下に対する米国大統領を法廷に引きずり出すことに抵抗した米国判事は米国大統領の国際法違反の大虐殺を有耶無耶にした。そして、「東京裁判」では、戦勝国の国際法違反は裁かれなかった。これから分かる事であるが、米国の裁判は決して公平ではない。ときの権力者によって恣意的に判決が下される。ニューヨーク州で行われている裁判も「東京裁判」に違わず、選挙を妨害する政治的意図が丸見えの不公平で醜い茶番である。これが、民主主義の世界をリードする米国の民主主義を破壊する選挙制度である。米国民の正常な判断が望まれる。
今回は色々批評・酷評されているその裁判の報道記事を紹介する。

     皇紀2684年6月2日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

トランプ氏、有罪評決に「不正で恥ずべき裁判」…大統領候補正式指名直前の7月11日に量刑言い渡し

読売新聞 によるストーリー

 【ニューヨーク=山本貴徳】米国のドナルド・トランプ前大統領(77)が不倫の口止め料を不正に処理したとされる事件の裁判で、ニューヨーク州地裁の陪審員は30日、業務記録を改ざんした罪でトランプ氏に有罪の評決を言い渡した。大統領経験者が刑事裁判で有罪となったのは初めてだ。

30日、米ニューヨーク州地裁に出廷したトランプ氏=AP© 読売新聞

 11月の大統領選で共和党の候補指名が確実なトランプ氏は、有罪でも立候補は可能とされる。支持者は反発し結束を固めるとみられるが勝敗のカギを握る無党派層が離れる可能性がある。

 判事は量刑を7月11日に言い渡す。大統領候補を正式に指名する共和党大会(7月15~18日)の直前になる。トランプ氏は控訴するとみられる。大統領選までに判決は確定しない可能性が取りざたされている。

 トランプ氏は2016年の大統領選の前に、腹心だった当時の顧問弁護士を通じて、不倫相手の元ポルノ女優に13万ドル(約2000万円)の口止め料を支払い、それを隠すために業務記録に「弁護士費用」と虚偽の内容を記載したとして、伝票や小切手ごとに計34件の罪に問われていた。

 裁判所があるマンハッタンに住む18歳以上の市民から選ばれた陪審員12人は34件全てを有罪と判断した。有罪には全会一致が必要だった。29日に始まった評議は非公開で評決理由は明らかにされない。

 法律では、トランプ氏には罪ごとに最長禁錮4年を科せられる可能性があるが、初犯で高齢でもあるため、収監されずに罰金や保護観察などにとどまるとの見方が根強い。

 4月中旬に始まった公判では、トランプ氏が口止め料の支払いを隠すよう指示したかどうかが焦点だった。元顧問弁護士はトランプ氏から「とにかくやれ」と口止めを指示されたと述べた。

 一方、トランプ氏は評決の言い渡し後、裁判所で記者団に「これは不正で恥ずべき裁判だった。本当の評決は(大統領選の投開票日に当たる)11月5日に国民から下される」と反発した。

 「私は無実だ。これはバイデン政権が政敵を傷つけるためにやったことだ。最後まで戦い、勝つ。まだ終わっていない」と主張した。

 今回の裁判は、トランプ氏が抱える四つの事件で最も早く審理が始まった。20年の大統領選結果を覆そうと手続きを妨害し、翌年の連邦議会占拠につながった事件など、他の三つは日程が決まっていない。大統領選までには公判が始まらないとみられている。


トランプ氏への量刑言い渡しは7月11日 34の罪状全てが「重罪」

6 時間

【ニューヨーク=平田雄介】トランプ前米大統領が有罪評決を受けた不倫口止め料を巡る会計不正処理事件で、ニューヨーク州地裁のマーシャン判事は30日、トランプ氏への量刑を7月11日に言い渡すと決定した。

評決を下した陪審員12人は、業務記録を改竄(かいざん)したとして罪に問われたトランプ氏が有罪となった34の罪状全てを「重罪」と判断した。

重罪の場合の量刑は、1つの罪状につき最大で禁錮4年。単純計算で収監期間は136年となるが、34の禁錮刑が同時に執行されれば4年だ。

他方、業務記録改竄の罪で収監された先例は非常に少ない。トランプ氏が77歳と高齢で初犯であることから、米メディアは罰金刑や保護観察となる可能性を伝えている。

トランプ氏は30日、有罪評決に対し、「私はとても潔白な人間だ」と異議を唱えた。裁判では一貫して無実を主張し、不倫も否定していた。

トランプ氏「不倫口止め料」裁判、有罪評決下した陪審員12人匿名に…身の安全守るため異例措置

読売新聞 によるストーリー

 【ニューヨーク=金子靖志】トランプ前米大統領が有罪評決となった裁判では、有罪を下した陪審員12人の身元が伏せられる異例の措置が取られた。米国内でトランプ氏支持者と反トランプ派の対立が深まる中、陪審員の身の安全を守る必要があると裁判所が判断したからだ。

 ニューヨーク州では通常、陪審員の氏名などが明らかにされる。しかし、今回公表されたのは「高卒のエンジニア」「大学院卒の言語聴覚士」などにとどまった。米CNNなどによると、評決結果に不満を持つ人物が陪審員を脅迫したり、危害を加えたりするおそれがあったからだ。トランプ氏自身は陪審員の氏名を知ることができたものの、公表は禁じられた。

 トランプ氏を捜査していたマンハッタン地区検察には2023年、殺害予告の手紙と白い粉が入った封筒が送られる事件などが相次いだ。裁判所周辺は、抗議デモが激化する事態を想定して厳戒態勢が敷かれた。

30日、米ニューヨーク州の裁判所前で、トランプ氏の有罪評決を受け、口論となる反トランプ派とトランプ支持者(右)=金子靖志撮影© 読売新聞

 裁判所前の公園では30日午後5時過ぎ、有罪評決の速報に反トランプ派が拳を突き上げ、「有罪だ」「有罪だ」と連呼して歓声を上げた。これに対し、トランプ支持者は「ばかげている」「茶番だ」などと反発した。一時、両者が激しい口論となり、警官が制止する場面もあったが、衝突する事態は避けられた。

 有罪評決を待ち望んでいたという反トランプ派の主婦ナディール・セイラーさん(58)は、「これでトランプ(前大統領)が犯罪者だと明白になった」と語気を強めた。一方、トランプ支持者のマーティン・タナーさん(63)は「評決結果には驚いていない。バイデン(大統領)が選挙キャンペーンの一環でやっている腐敗した裁判だ」と話した。

共和党員の10%、トランプ氏への投票意思が低下=ロイター/イプソス調査

Reuters によるストーリー

ロイターとイプソスの最新世論調査によると、トランプ前米大統領に有罪評決が下ったことを受け、共和党有権者のうち同氏に投票する可能性が低くなったとする人が10%に上った。3月撮影(2024年 ロイター/Brendan McDermid and Elizabeth Frantz)© Thomson Reuters

[ワシントン 31日 ロイター] - ロイターとイプソスの最新世論調査によると、トランプ前米大統領に有罪評決が下ったことを受け、共和党有権者のうち同氏に投票する可能性が低くなったとする人が10%に上った。

全米の成人2556人を対象にした調査では、今回の評決は投票に影響しないと回答した共和党有権者の割合は56%、トランプ氏を支持する可能性が高いとの回答は35%だった。

無党派の登録有権者のうち、トランプ氏の有罪評決により11月の大統領選挙で同氏を支持する可能性が低くなったと回答した割合は25%。一方、支持する可能性が高くなったとの回答は18%、有罪評決は判断に影響しないとの回答は56%だった。

バイデン米大統領とトランプ氏は依然として接戦を繰り広げており、世論調査によると、民主党のバイデン大統領の支持率が41%、トランプ前大統領が39%と、バイデン大統領がわずかにリード。

また、有権者の約5人に1人が、どちらに投票するか決めかねており、第三の候補者に傾いているか、あるいは投票しないかもしれないと回答した。

トランプ氏が収監されるべきかどうかについては意見が分かれており、登録有権者の53%が収監されるべきではない、46%が収監されるべきと回答した。

トランプ氏は不倫口止め料を不正に会計処理したとされる事件での有罪評決を不服とし、控訴する意向を示している。

トランプ前大統領に有罪評決、24時間で83億円の献金集める…不倫口止め料は「秘密保持契約」と反論

読売新聞 によるストーリー

トランプタワーで記者会見するトランプ前大統領(5月31日)=AP© 読売新聞

 【ニューヨーク=山本貴徳、ワシントン=池田慶太】米国のトランプ前大統領は5月31日、不倫の口止め料を不正に処理したとされる事件の裁判で有罪の評決が下されたことを不服として控訴すると表明した。7月11日に量刑を言い渡された後手続きに入る見通しだ。

 トランプ氏はニューヨークのトランプタワーで記者団に「不正な裁判だった。この詐欺について控訴する」と述べた。口止め料の支払いを隠すため業務記録を改ざんした罪に問われたが、「私は弁護士にお金を払い、会計係が、私が知らないところで適切に帳簿に記載した」と主張した。

 「口止め料ではなく秘密保持契約だ。完全に合法で一般的なものだ」と反論した。裁判で証言しなかったのは「間違ったことを話すと偽証罪になってしまうからだ」と説明した。

 トランプ陣営は、評決を受けてから24時間で5280万ドル(約83億円)の献金が寄せられたと明かした。

 バイデン大統領は5月31日、ホワイトハウスで「(評決が)気に入らないというだけで不正があったと言うのは無謀で危険で無責任だ」と演説し、トランプ氏を批判した。バイデン氏が評決に直接言及したのは初めて。

有罪評決のトランプ、「収監」もなくはない シークレットサービス引き連れ

6/1(土) 8:00配信

lev radin / Shutterstock.com

ドナルド・トランプ前米大統領は5月30日、元不倫相手とされる女性への口止め料を隠すために業務記録を改ざんした罪で陪審団から有罪評決を受けた。米国の大統領経験者が犯罪で有罪とされたのは史上初だ。蓋然性は低いが、判事から実刑判決を言い渡される可能性もある。「元大統領の収監」という前代未聞の事態になれば身辺警護などが非常に複雑になるほか、政治的に大きな影響が広がるとみられている。
■罪状34件すべてで有罪 トランプは2016年の大統領選で勝利する可能性を高めるため、不倫関係にあったと主張しているポルノ女優ストーミー・ダニエルズに口止め料を支払い、それを弁護士費用と偽って会計処理したとして、2023年3月にニューヨーク州の大陪審に起訴された。ニューヨーク・マンハッタン地区の陪審員12人は約9時間半におよぶ評議の結果、トランプを34件の罪状すべてで有罪とする評決を下した。 量刑は7月11日にフアン・マーチャン判事から言い渡される予定だ。罪状34件は重罪に分類され、それぞれについて最高5000ドル(約78万円)の罰金や最長4年の禁錮刑を科される可能性がある。トランプ側が控訴するのはほぼ確実で、裁判はさらに数カ月長引くとみられる。 トランプが初犯であることや罪状の性質から、法律の専門家の間では実刑判決はありそうにないというのが一般的な見方だ。しかし、トランプが法廷外での証人や陪審らへの言及を禁じた「かん口令」をたびたび破っていることや、罪に問われた行為の結果の重大性を踏まえ、マーチャンがより厳しい量刑を科す可能性もある。
■禁錮刑ならどうなる? マンハッタン地区の元検事で現在は刑事事件の弁護士を務めるジェレミー・サランドは、評決が出る前にフォーブスの取材に応じ、検察側の説ではトランプの行為は2016年の選挙結果を変えた可能性があるのだから、初犯なら通常は禁錮刑とならない「ありふれた金融詐欺」とは「刑罰の点で異なる扱いを受けてしかるべきだろう」と述べている。 サランドによると、ニューヨーク州では過去10年に重罪で有罪とされたことがない犯罪者がE級重罪(最も軽い重罪)で有罪とされた場合、刑期は3分の1を区切りにして与えられる。たとえばトランプが禁錮3年を言い渡された場合、1年後には仮釈放の資格を得られる。 トランプが1年以下の禁錮刑を言い渡された場合、ライカーズ島などニューヨーク市の刑務所に収監され、刑期の3分の2を終えた時点で仮釈放の資格を得る可能性が高いという。1年超の禁錮刑になった場合は、ニューヨーク州の矯正当局が州内に44ある施設のうちどの施設に送るかを決めることになる。

シークレットサービスは万が一の事態に備えている

■出馬資格は失わず トランプは有罪評決後も大統領に立候補でき、仮に収監されてもそうできる。合衆国憲法では、大統領の候補資格として「出生時からの米国市民、35歳以上、14年以上米国に居住」としか定められていないからだ。 米紙ニューヨーク・タイムズは、もしトランプが11月の大統領選で当選し、その後、憲法上の義務を果たせなくなった場合、閣僚の過半数と副大統領の賛成でトランプを罷免し、副大統領に権限を移譲することができると解説している。
■シークレットサービスは万が一の事態に備え 同紙によると、シークレットサービス(大統領警護隊)はトランプが投獄される可能性にも備えて、裁判が始まる前から準備を進めている。実際にそうなった場合、収容先の施設にはシークレットサービスの要員が24時間体制で常駐し、トランプの警護にあたることになるという。トランプはほかの受刑者と隔離されたエリアに入れられる公算が大きいとされる。 トランプは社会奉仕活動や保護観察処分を受ける可能性もある。サランドによると、その場合、トランプの移動のスケジュールや、保護観察事務所への定期的な出頭や保護観察官による不定期の面会の必要性から、身辺警護活動の調整は非常に複雑になると予想される。
■大きすぎる政治的影響 サランドは、トランプがしたとされる行為は大統領選の結果を変えた可能性もあるので、トランプは実刑判決を受けるに値するとの考えを示している。しかし、実際にトランプを投獄すれば「誰にも想像も理解もできないような影響が広がるだろう」と述べ、政治的な影響の大きさから現実には難しそうだとみている。 トランプは裁判で無罪を主張し、ダニエルズとの不倫疑惑も否定している。また、検察側とマーチャンについて、大統領選で自身を勝たせないようにバイデンのために働いていると根拠を示さず繰り返し非難している。

トランプ大統領は自分自身を恩赦できるのか大統領が自らを恩赦するのは前代未聞だが…

2017/07/28 6:00

湯浅 卓 : 米国弁護士 著者フォロー

ドナルド・トランプ米大統領が自分の家族、側近、あるいは自分自身の恩赦の可能性について検討中という報道(ワシントンポスト紙7月20日付)が大問題となっている。

トランプ氏の個人弁護士の1人は、恩赦について検討していること自体を全否定している。その一方で、大統領自身の恩赦については、それを決めるのは最高裁だと言明している。その可能性が、将来あるかないかについては否定していない。

トランプ大統領自身は、ツイッターで「大統領は自らを恩赦する完全なる権限(パワー)を所有している」として、その可能性を認めている。

自らの恩赦が米国憲法で認められるかどうかは五分五分

大統領が自らを恩赦するのは前代未聞である。弾劾に追い込まれて辞任したリチャード・ニクソン元大統領も、弾劾寸前まで追い詰められたビル・クリントン元大統領も、自らを恩赦するという話は表に出なかった。今回が初めてだ。

その恩赦の議論は学問的には存在する。1つは、大統領はその権限を持っているという学説であり、もう1つは持っていないという学説だ。後者の理由としては、「自らの事案で自ら裁判官にはなれない」という論拠がある。トランプ氏の個人的弁護士の1人が「それを決めるのは最高裁だ」というのは、その後者の論理的否定に応じたものだ。

米国憲法では、大統領の恩赦規定がある。米国憲法第2条は、弾劾の場合を除き、刑執行の延期または恩赦を認める権限を大統領に与えている。大統領の弾劾それ自体に関する恩赦はできないが、弾劾が成立していなければ、自らの刑事事件も、水面下で訴追前であっても、捜査の有無にかかわらず、大統領が自らに恩赦を与えることを禁じてはいない。

米国憲法の原型は、1776年の独立宣言から12年後の1788年に制定された。その時点での憲法はもともと米国における奴隷制度を前提としていた。そのため、条文にも何かと不具合があり、いわば未完成品だった。そのため修正条項が加えられてきた歴史がある。

余談だが、日本の現行憲法改正をめぐって、米国憲法が何度も修正されてきたことと比較する議論がある。その比較はナンセンスだ。奴隷制度を認めていただけでなく、いまだに男女平等などを含む「平等権」条項を加えるという「憲法修正」さえ果たせていない。

そんなありさまのまま現在に至る米国憲法と日本の現行憲法とは、まるで月とスッポンほどの違いがある。

ミュラー特別検察官の越権行為に対する報復

今回、トランプ大統領はなぜ自らの恩赦を考えるにいたったのか。それは、ここへきてロバート・ミュラー特別検察官による、「ロシアゲート」追及が一段と厳しくなってきたことを、トランプ大統領がかぎつけたからではないか。

ミュラー氏は連邦捜査局(FBI)の元長官であり、この5月にトランプ大統領によって解任されたジェームズ・コミー前FBI長官の上司だった。ミュラー氏は、直属の部下だったコミー氏への思い入れがある。法律家の世界では、運命を共にするという意識が強い。解任されたコミー氏の代わりに、トランプ大統領をやっつけたいという気持ちも強い。トランプ大統領がその点を気にしていることは、100%確かだ。

ミュラー氏のターゲットは、当面、トランプ大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏と娘婿ジャレッド・クシュナー氏だが、つい最近の上院での非公開の証言で、クシュナー氏はロシア政府との共謀を否定している。今後、その共謀をめぐる追及の延長線上に、トランプ大統領が入ってくるのかどうか。それが弾劾に結び付くのかどうかが焦点となる。

ミュラー氏の捜査・追及の本筋は、昨年の大統領選挙戦をめぐるトランプ陣営とロシア政府との共謀疑惑だが、これまでの上院の資料だけでは、あるいはトランプ・ジュニア氏やクシュナー氏の追及だけでは、最終ターゲットであるトランプ大統領を倒せないと、ミュラー氏は踏んでいる可能性は十分ある。ミュラー氏はトランプ一家の経済活動まで調査しようとしているのではないか。ロシア政府とのビジネス上の癒着、不正行為、スキャンダルをめぐる共謀疑惑の捜査・追及である。

ここへきてトランプ大統領がかぎつけたのは、その点こそミュラー氏の捜査が向かっている戦略であり、それは三権分立の立ち位置にある議会が、本来、ミュラー氏に期待していた一線を越えた越権行為というのが、トランプ大統領サイドの判断だ。その報復として、ミュラー氏を解任する考えが浮上してきたとしても不思議ではない。

恩赦よりミュラー氏解任が先か

もしミュラー氏がトランプ一家の経済活動を調査するとすれば、いったい何に手を突っ込むか。考えられるのは納税記録である。租税の記録をめぐって、脱税に限らず、意図的な違反があった場合、その刑罰には米国法上では時効がない。過去にさかのぼって手を突っ込むことができる。

米国はタックスコンプライアンス(納税義務)が厳格な国である。脱税は即、拘置所行きといっても過言ではない。トランプ大統領にとっては、ロシアゲート疑惑どころではない。それを飛び越えて、すべてを失うことになりかねない。しかも、時効が効かないとなれば、自らの恩赦が頭をもたげてくることになる。

さらに、租税問題はさまざまな訴訟に波及する。民事事件には大統領の恩赦は効かないが、訴訟慣れしているトランプ大統領にとって民事訴訟は怖くない。怖いのは刑事事件だ。それには刑事法上問題となりうる連邦税問題もあれば、州税や市税問題もありうる。つまり、連邦法以外に、州の法律によって刑事上の罰則がある。

ここで問題なのは、米国憲法上の解釈論として、大統領が自らを恩赦できるという立場に立ったとしても、大統領自らの恩赦は州法では効かない!という点だ。その権限を行使できるのは州知事であり、大統領ではない。

もし州税での税法その他刑事違反があれば、トランプ大統領は恩赦で自らを救うことができない。となれば、自ら恩赦をする前に、ミュラー氏をクビにする手がある。恩赦より、そっちのほうが先かもしれない。

恩赦はどの大統領でもできる。ニクソン元大統領が辞任したあと、副大統領から大統領に昇格したジェラルド・フォード大統領が、ニクソン氏が司法妨害で訴追される前に恩赦を与えた前例がある。

参考文献・参考資料

トランプ氏、有罪評決に「不正で恥ずべき裁判」…大統領候補正式指名直前の7月11日に量刑言い渡し (msn.com)

トランプ氏への量刑言い渡しは7月11日 34の罪状全てが「重罪」 (msn.com)

トランプ氏「不倫口止め料」裁判、有罪評決下した陪審員12人匿名に…身の安全守るため異例措置 (msn.com)

共和党員の10%、トランプ氏への投票意思が低下=ロイター/イプソス調査 (msn.com)

トランプ前大統領に有罪評決、24時間で83億円の献金集める…不倫口止め料は「秘密保持契約」と反論 (msn.com)

有罪評決のトランプ、「収監」もなくはない シークレットサービス引き連れ(Forbes JAPAN) - Yahoo!ニュース

トランプ大統領は自分自身を恩赦できるのか 大統領が自らを恩赦するのは前代未聞だが… | 湯浅卓「トランプ政権の真実」 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

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