政治講座ⅴ1834「秦の始皇帝後の滅亡と同じ轍を踏む中国共産党」
中国の習近平氏は中国共産党の集団指導体制を秦の始皇帝のような独裁政権に変貌させた。2200年まえの滅亡した秦の軌跡を辿っている。滅亡が見えるようである。やはり、共産主義や社会主義は独裁政治でないとまとめることが難しいのであろうか。旧ソ連もスターリンなどの独裁政権で運営された。国家(国民)社会主義のナチス党も独裁政権であった。これらも含めて、独裁政権の国家は必ずや滅びの道を歩んでいる。中国共産党の政策の軌跡をたどると失敗だらけである。毛沢東の大躍進運動、文化大革命、そして、改革開放政策の失敗の結果、過剰債務と不動産バブル崩壊などを引き起こした、これらを、俯瞰すると、社会主義の計画経済は破綻の道を歩んでいる。基本的な「需要と供給」のバランスも把握できずに、過剰生産問題も世界にまき散らしている。
今回は現代の中国の窮状と歴史の報道記事を紹介する。
皇紀2684年6月27日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
G7からフルボッコ、台湾にも盾突かれ…「メンツ丸つぶれ」習近平が繰り出した「八つ当たり」衝突の内幕
石 平(評論家) によるストーリー
ロシアと並ぶ主敵認定
6月13日からイタリアで開かれたG7サミットは14日に共同声明を採択して閉幕した。共同声明の内容は中国問題に対する言及が多く、中国に対する懸念や批判が盛り沢山となったが、特に注目すべきなのは以下の3つのポイントであろう。
イタリアG7サミット by Gettyimages© 現代ビジネス
1)中国とロシアの関係について、「ロシアへの支援に深い懸念を表明する」とし、ロシアの軍需産業を支援する中国に対し、「深刻な代償を支払わせる」と警告。
2)EV=電気自動車などの中国の過剰生産の問題について懸念を示すとともにG7として連携して対処すると表明。
3)インド太平洋地域の情勢をめぐり、中国による南シナ海や東シナ海での海洋進出に対する「深刻な懸念」を示し、武力や威圧による一方的な現状変更の試みへの強い反対を表明。
G7共同声明は結局、ロシアに対する批判の他は、その矛先を主に中国に向けた。今のところでは、中国はロシアと並んでG7にとっての主敵となっている感がある。
G7からの批判に対し、中国外務省報道官が17日、「中国を中傷し、事実に基づかず法的根拠もない主張は、偏見と嘘に満ちている」と強く非難したが、このようなヒステリックな反応からも、G7の中国叩きは北京の政府にかなり痛かったことが分かる。
そしてその6月17日、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は訪問先の米国の首都ワシントンで講演を行い、ウクライナを侵攻するロシアを支援し続けるなら中国は代償を払うことになると警告した。今までEU首脳や高官が中国に対して同じ警告を発したことがあるが、今回、軍事同盟であるNATO高官が中国を名指して警告したことは意味は重大。
7月にはワシントンでNATO首脳会談が開かれる予定だから、この会議でNATOは、ロシア支援の中国に対して具体的な制裁措置を打ち出す可能性もある。落ちこぼれのプーチンの肩を持つために、習近平中国はとうとう、NATOにとっての宿敵となっていくのである。
さらに楯突く台湾に「死刑方針」を出したところで
そして6月20日、台湾の頼清徳総統はまたもや、中国に楯突くような快挙に出た。その日、頼総統が就任から1ヶ月を迎える記者会見で再び、「中国に隷属しない」との主張を繰り返したのである。
それに先立って16日、頼総統は台湾の陸軍士官学校百周年式典に出席して「中華民国の生存と発展のために戦うことこそが陸軍士官の使命」だと語り、中国の軍事脅威に立ち向かって台湾を守る決意を示した。
頼総統が先月の総統就任式で「中国に隷属しない」と述べて事実上の「独立宣言」を行った後、中国共産党政権が頼総統のことを敵だと認定して凄まじい批判キャンーベンを展開した。さらに、台湾を囲んでの軍事演習を実行して軍事的恫喝を行った。しかしそれに対して、頼総統は一歩も引かずに、上述の二つの機会を利用して中国に敢然と立ち向かう姿勢を明確に示した。まさに痛快ではないのか。
こうした中で6月21日、中国政府は「台湾独立派」に対し、「死刑」も含めた「処罰方針」を発表したが、中国の警察権が全く及ばない台湾人を相手に「処罰」や「死刑」云々といっても実際の意味は何もない。おそらく台湾の人々にはそれが、「おぼえていろ」というヤクザ流の虚勢を張る恫喝にしか聞こえないのではないか。
フィリピンへ八つ当たり、その反動は更に大きく
こうして中国はEUに叩かれてNATOに警告され、台湾にも楯突かれて狼狽するばかりであるが、一方の習近平政権はまともにEUとNATOに対抗できずにおり、台湾に対してもどうすることもできなかった。言葉上の罵倒以外になす術もない状態である。
しかし、それでは国内向けでは習近平がメンツを失って政権の立場がなくなるから、それを避けるためには八つ当たりの矛先をどこかに向けていく以外にない。
こうした中で19日、中国海警局の船舶が南シナ海でフィリピン海軍のゴムボートに意図的に衝突し、フィリピン海軍兵士の一人に重傷を負わせた。それと同時に中国政府は、海警局の船がフィリピンの船に立ち入り検査を行ったとする写真を公開したが、それは明らかに国内向けに、「政権が対外的によくやった」との宣伝を行うためのものである。
しかし、こうした八つ当たりの国内宣伝工作でフィリピンとの緊張を高めていけば、それが本格的な衝突を招く可能性もあり、習近平政権はいつものような危険な「火遊び」をしているが、それに対して黙っていられないのはアメリカである。
6月21日、米国海兵隊のエリック・スミス総司令官は、一部メディアの取材に応じた中で、海兵隊としては今後数年内に、海兵沿岸連隊=MLRをグアムにも配備し、中国を念頭にフィリピン周辺に迅速に展開できるようにする考えを明らかにした。
四面楚歌の中での習政権の火遊びは結果的に中国包囲網のさらなる強化を招き、「敵は北京にあり」というのはいずれか、国際社会の合言葉となる日が来るのである。
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中国経済は終わった…!経済長期大低迷を示す「国債バブル発生」でついに明らかになる「習近平の大罪」
藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー) によるストーリー
中国「国債バブル」の悲惨な実態
習近平国家主席の経済失策は、のちのちまで大きな禍根を残すことになるだろう。中国は、長期停滞はもはや避けられない。
過去30年間は、14億人の巨大な市場が世界の経済成長を牽引したが、それはもう過去の話となった。
習氏が罪深いのは、自国経済のみならず、豊かな市場を荒廃させて世界を低成長に導こうとしていることだ。そのため、いま中国は世界から見放され用としている。それが如実に表れているのが、中国の「国債バブル」だ。中国国債の長期金利(10年)は、いま歴史的水準まで下落している。4月下旬には10年物国債は2.2%まで下落して、2000年以降でもっとも低い水準となった。現在は2.3%近辺で推移しているが、マーケットの合理的な水準を下回っているとみられる。つまり、中国国債の値段は高騰して、バブルの状態にあるわけだ。
歴史的「低金利」が中国経済の病理を表している…
これが、どれほど恐ろしいことか、賢明な読者は気づいているだろうが、つまり、80年代の不動産バブルの崩壊で低迷した日本経済と同様に推移しているのだ。
中国の国民が、経済疲弊から物を買えなくなったため、投資活動が後退。銀行の貸し付ける融資も停滞し、投資先を失ったマネーが安定的に金利を得られる国債に集中しているのだ。それを裏付けるように、5月の新規人民元建て銀行融資も9500億元(約19兆円)と市場予想(1兆2550億元)を大きく下回った。
金融当局が国債バブルに警告を発しているものの、市場はこれに反応する気配はない。
バブル崩壊後、行き場を失ったマネーが国債市場に集中した、かつての日本を彷彿とさせる光景だ。
実は、10年前まで、中国は長期停滞を招いた日本の先例と同じ轍は踏まないと多くのエコノミストは信じていた。
しかし、習近平国家主席がこれほど経済音痴だという大誤算が、いまの状態を作りあげている。
「ドミノ倒し」の中国経済
国債バブルのウラで、中国経済の悪化は止まらない。
5月の主要70都市の新築住宅価格は68都市で前月から下落した。販売不振のせいで平均下落率は2014年10月以来の大きさとなった。
1~5月の不動産投資も前年比10.1%減と1~4月の9.8%減から加速している。
政府は在庫住宅の買い入れや住宅ローン金利の下限撤廃などの措置を打ち出しているが、その効果がいまだに出てこない。好調だった工業生産にも陰りが見えている。
5月の鉱工業生産は前年比5.6%増と4月の6.7%増から減速している。
電気自動車(EV)などミクロベースでは「爆発的な成長」があったが、マクロベースの不調(不動産バブルの崩壊)が足を引っ張り、息切れ状態になっているのだろう。
激しいダンピング競争
中国人の財布の紐もますます硬くなっている。
5月末から実施されていた大型ネット通販セール「618」はセール期間を延長したが、盛り上がりに欠ける結果に終わった。一部の安売り業者が、なんとか需要を掘り起こそうとコーヒーから自動車、衣料品に至るまであらゆるものを値下げしており、価格競争が一層激化している(6月11日付ロイター)。中国も「日本型デフレ」の病に罹ってしまったと言えよう。
「泣き面に蜂」ではないが、異常気象も中国経済にとって大きなマイナスだ。昨年と同様、北部で猛暑・干ばつ、南部で大雨・洪水が続いており、中国の国土は荒れ果てるばかりだ。
だが、それ以上に心配なのは、将来を悲観した中国の若者たちの心の荒廃だ。日本の長期停滞は、失われた世代を生んだが、中国でもやはり同じことが起きようとている。
焦点:中国消費回復に暗雲、大型商戦さえず成長目標達成も不透明に
Casey Hall によるストーリー
Casey Hall
[上海 25日 ロイター] - 中国の大型ネット通販セール「618」が期待外れに終わったことを受け、小売業者の目先の見通しや景気の先行きに暗雲が生じている。
先週まで実施された今年の618セールは売上高が初めて減少し、既に厳しい価格競争を強いられている小売業者への圧力が強まっていることが浮き彫りになった。
電子商取引(EC)大手JDドット・コム(京東商城)の創設日である6月18日にちなんで名付けられた同セールは、11月の「独身の日」に次ぐ大型セールで、家計の消費を示す重要な指標とみられている。
両イベントはかつて中国の消費主義を象徴し、通販サイトやブランド各社に確実な売り上げ増加をもたらした。アリババが最後に独身の日の売上高を公表した2021年には、期間中の売り上げが845億4000万ドルに達した。
一方、今年の618では消費者に支出してもらうのがいかに難しいかが示された。
ナティシスのアジア太平洋チーフエコノミスト、アリシア・ガルシアヘレロ氏は「中国人の消費は基本的にセールやクーポンに集中している。618セール期間中に支出しないなら、他にする時はない」と述べた。
コロナ禍以降、節約傾向にある消費者の支出を促すため小売業者が年間を通じて値引きを実施していることも、大型セール期間中の販売伸び悩みの一因となっている。昨年の独身の日セールの売上高は2%増にとどまった。
こうした値引きはJDドット・コムやアリババ系の「天猫(Tモール)」と「淘宝網(タオバオ)」から低価格プレーヤーの「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」などに消費者が流れるのを遅らせているものの、個人消費喚起にはつながっていない。最近の四半期決算でアリババの国内EC部門は4%増収にとどまった。
投資家の期待もさえず、アリババの株価は年初から約5%、JDドット・コムは3%超、それぞれ下落している。
だが、さらに大きな懸念材料は22年から低迷が続く消費者心理だ。
バンク・オブ・アメリカの最新の中国消費者調査によると、6月の消費者信頼感はさらに悪化した。
今後6カ月間に支出を増やすと回答した人の割合は45%と、4月の55%から低下した。また、今後6カ月間に収入増加を見込んでいる人は31%にとどまり、4月から10ポイント低下した。
<「エベレスト・コマース」>
グローバルブランド十社余りのネットストアを管理するカンフー・データのジョシュ・ガードナー最高経営責任者(CEO)によると、中国のECは618と独身の日前後に売上高が大きなピークに達することから「エベレスト・コマース」と呼ばれている。
だが、販売期間が長期化して消費者の興味が薄れ、例えば字節跳動(バイトダンス)傘下の「抖音(ドウイン)」などライブコマースが提供する日常的な値引きに関心が移るようになると、こうしたピークは鋭さを失うと同氏は指摘する。
「今年見られるのは正規価格の小売りからの完全なシフトだ。より理性的な消費、慎重さ、価値を求める動きが見られる」と述べた。
中国の消費者は不動産不況や賃金の伸び悩み、若年失業率の高さなどを背景とした家計への懸念から支出に消極的で、政府が今年の目標に掲げる5%前後の経済成長達成を危うくしている。
618のようなイベントはかつてのように消費を刺激するどころか、誰もが必要なものをできるだけ安く買うことに集中している今年のような状況では、消費回復にマイナスに働く可能性もある。
中国南部・長沙市で販売業に従事する一児の母カン・リーさん(45)は必需品以外の買い物を控えるようになった1人だ。
カンさんは今年の618で生活必需品と子どもの服と靴、自身のスキンケア用品を買ったと話す。618のようなイベントの際にこれらの品を買いだめすることで、半年後の独身の日まで買わなくて済むという。
市場調査会社カンター・ワールドパネルの大中華圏担当マネジングディレクター、ジェーソン・ユー氏は、消費者が618セールで必要な物を購入したため、今後数カ月は小売業者にとって困難な時期になると指摘。「こうした買いだめ行動は今後の消費ポテンシャルの過度の前倒しだ。7月は非常に厳しくなるだろう」と語った。
ナティクシスのガルシアヘレロ氏は今年後半の小売売上高が1桁台前半の伸びにとどまり、中国の国内総生産(GDP)に占める消費の割合は縮小すると予測。その上で「中国は問題から脱却するため引き続き輸出が必要になるため、世界経済の不均衡是正には悪いニュースだ」と述べた。
中国統一後の始皇帝と秦王朝の滅亡までについて調べてみた
投稿者: gunny
2017/12/9 最終更新:2024/4/7
今から2,200年前、七つの国が覇を競う中国を初めて統一した人物が現れた。
秦の始皇帝である。
史上初めて「皇帝」を名乗り、今にいたる巨大国家「中国」の礎を築いた始皇帝。しかし、その権勢の絶頂期には早くも崩壊の足音が忍び寄っていた。
巨大事業が国民の不満を募らせ、弾圧が怒りに変わる。非情なる君主の真の姿は、近年になり少しずつ見えてきたばかりなのだ。
皇帝から神へ
※始皇帝
圧倒的な軍事力と緻密な統制力を背景に天下を統一した「秦(しん)」。紀元前221年のことである。
2年後、始皇帝は征服した諸国を自ら巡る、初めての全国巡行に出発した。中国北西部にある秦の都「咸陽(かんよう)」から東に向かい、山東省「泰山(たいざん)」に向かう。泰山は古来より不老長寿を願う人々に崇められてきた霊峰である。
ここで始皇帝は「封禅(ほうぜん)」という儀式を行った。偉大な王にのみ許された儀式であり、ここで始皇帝は自らを神であると宣言し、その治世が永劫に続くよう願ったといわれている。その後、さらに東へ進んだ始皇帝は、41歳にして初めて海を見た。中国全土を統一した始皇帝も、雄大な大海原を前にして、その果てにまでは力が及ばないことを痛感したのだろう。
そして、ここで「徐福(じょふく)」という男と出会う。
徐福は始皇帝に「財宝と引き換えに不老不死の薬を手に入れてみせましょう」と申し出た。当時の寿命では老境に差し掛かっていた始皇帝は、この徐福に財宝を与え、薬を探すよう命じる。この徐福は、肉体の不滅を説く思想を持ち、加持祈祷、医学、薬学をもって、不老不死を目指す「神仙術(しんせんじゅつ)」の使い手であり、そうしたものは「方士(ほうし)」と呼ばれていた。
後に中国に広まった道教も、この神仙術に起源を持つものである。
徐福との出会いにより、始皇帝は宮廷に次々と方士を召抱え、不老不死を目指すこととなる。
神をも恐れぬ始皇帝の権力
絶大な権力を持ち、自らを神と称した始皇帝も、死の影が見え始めたことから徐々に冷静な判断力を失っていった。
巡行は南へと進み、湖南省にある霊山「湘山(しょうざん)」に立ち寄ろうとしたが、嵐により長江が荒れたことでこれを断念する。
荒れ狂う長江を前にした始皇帝は「この嵐は湘山に祀られた神の仕業に違いない」として激怒、湘山の木をすべて切り倒させた。当時、赤は罪人が身にまとう色であり、赤土の露出した湘山は「罪人の山」と化した。
神をも恐れぬ傲慢な振舞いに、住民たちは始皇帝に対して深い恨みを抱くようになる。
紀元前215年、不老不死の薬を探すよう命じられていた方士の一人がある預言書を王宮に持ち帰ってきた。その一節が始皇帝の目を釘付けにする。
「秦を滅ぼす者は胡なり」。
胡(こ)とは、北方の異民族である「匈奴(きょうど)」のことであった。匈奴の侵攻を恐れた始皇帝は、臣下の制止も聞かずに北方へ軍を派遣するための「直道(ちょくどう)」を全長900kmにもわたり造らせたのである。
そして、この直道を使い、30万もの軍隊が北方に派遣され、その前線は最大で現在の内モンゴル自治区にまで及んだという。
民を苦しめた巨大建築
秦の時代に作られた「万里の長城」が今も残っている。
今、我々が思い描く万里の長城といえば、レンガ造りの立派なものだが、これは北京近郊にある「八達嶺(はったつれい)」など、後の民の時代に増改築されたもので、秦の時代は土を固めたり、石を積み上げただけのものであった。
【※敦煌にある前漢の長城】
秦の時代、長城の建設には300万もの人民が駆り出されたといい、それは秦の人口の15%にも及んだ。
そして、長城と並ぶ始皇帝の巨大建築事業が「始皇帝陵(しこうていりょう)」の建設である。始皇帝の墓である始皇帝陵は、彼が13歳の時から造りはじめ、40年の歳月をかけて完成した権力の象徴であり、中国皇帝の陵墓としては最大のものである。造営当時は今よりも一回り大きく、高さは87m、二重の城壁に守られ、建設には70万人が動員された。
そして、始皇帝陵の西側からはおびただしい数の人骨も発見されている。労役に駆り出され、命を落とした者達のものだ。記録には、農民は畑仕事も出来ないほど酷使されていたといい、次々と巨大建築を造らされることで国力は弱まり、人々の不満が溜まっていったのだ。
秦の国はほころびを見せ始めたのである。
始皇帝の暴走
秦が中国を統一できた理由のひとつに、生まれや身分に捉われない人材の登用があった。
始皇帝は、法に明るい官僚「法吏(ほうり)」、薬学に詳しい「方士(ほうし)」そして、孔子にその教えを求め、伝統を尊ぶ学者「儒生(じゅせい)」と呼ばれる3つの集団を抱え、それぞれの意見を聞きながら政治を行っていた。
紀元前213年、始皇帝47歳を祝う宴の席。ここで法吏と儒生の権力争いが表面化してしまう。
「法による中央集権が始皇帝の中国統一を成し遂げた」という法吏に対し、儒生は「始皇帝の偉業は過去に学びを求めたからこそ」といい、法吏は「今の世から目をそらし、伝統ばかりを振りかざす儒生こそ人の心を惑わす輩」と強くこれに反論、儒生の知識の拠り所となる書物は焼き捨てるべきで、儒生をも殺すようにとまで始皇帝の前で言い放った。
始皇帝が聞き入れたのは法吏の意見であった。これが「焚書(ふんしょ)」という大規模な書物焼却の引き金になり、政治判断のバランスが崩れ始める。やがて、その弾圧はいつまでも不老不死の薬を見つけ出せない方士にも向けられた。
始皇帝は儒生と方士を生き埋めにする「坑儒(こうじゅ)」を行い、次々粛清を断行。自分に都合のよいことをいう者ばかりをそばに置き、始皇帝の暴走を止めるものは誰一人いなくなってしまった。
秦王朝の滅亡
49歳になり、ますます死を恐れるようになった始皇帝は、紀元前210年、最後の巡行に出発する。それは自ら不老不死の薬を追い求める旅でもあった。
しかし、この旅の途中、始皇帝は病に倒れる。
同年、初めて中国を統一した稀代のカリスマは50歳にしてその生涯を閉じたのだった。
【※西安市にある始皇帝と臣下らの現代彫刻】
都、咸陽(かんよう)からはるか遠い地で息を引き取った始皇帝。しかし、巡行の途中で始皇帝は長男「扶蘇(ふそ)」を後継者とする遺書を残していたが、始皇帝の臨終に立ち会った三男「胡亥(こがい)」ら3人しかいなかった。権力を握る絶好の機会を前に、胡亥は遺書を握りつぶし、匈奴との最前線に赴いていた扶蘇には、匈奴を一掃出来ないことへの始皇帝の怒りを綴った偽の詔書を送り、自害に追い込んだ。
胡亥は、始皇帝の葬儀を取り仕切り、自らが皇帝の後継者であることを示したのだった。
しかし、胡亥は始皇帝以上に独裁的であり、官僚、大臣、そして肉親までもことごとく処刑してゆく。一方で始皇帝の死が各地に知れ渡ると、民衆の大規模な反乱が勃発。秦の圧政に苦しめられていた民衆は軍を創設するまでになり、咸陽へと迫った。秦は始皇帝の名の下に、危ういバランスでまとまっていたことがよく分かる。
そして、紀元前206年12月、咸陽の宮殿に火が放たれた。統一からわずか15年、秦王朝はここに滅亡したのである。
最後に
秦の滅亡後、権力を握ったのは反乱軍のリーダーのひとりである「劉邦(りゅうほう)」だった。
劉邦は、漢王朝を打ち立て、都を西安に定める。漢は秦の統治を手本としながらも、厳格すぎる法律や圧政を見直し、より柔軟な統治を行った。
秦を反面教師とした漢王朝は、その後400年も続くこととなったのだ。
またも外れた中国指導部の目論見、生産増強で経済問題は深刻化するばかり
Milton Ezrati によるストーリー
先見の明があると賞賛に値する政治家はほとんどいないが、中国の指導者たちは、将来を見通す力が大多数の人より弱いようだ。現在も続く不動産危機で経済が停滞し、消費マインドは冷え込み、個人事業主らは慎重になっている状況にあり、指導者らは製造業でテコ入れを図ることにした。中でも注力するのは半導体、電気自動車(EV)のバッテリー、ソーラーパネル、風力発電装置など「新たな質の生産力」と呼ぶ分野だ。
中国の経済政策はいまだにかなり統制的なものであるため、指導部の指示どおりに資金がこうした分野に注入された。この強化によって生産されたものがどこに向かうかは、誰も考えていなかったようだ。
低迷する国内経済は生産したものを吸収できず、西側の先進国はさまざまな理由から中国との貿易を敬遠している。
中国は今、これらの分野で、吸収できる以上に生産する能力を持っている。この生産能力はすでに多くの問題を抱えている中国の経済にとってあまり助けにならない。
米国や欧州、そして日本はいずれもこの厄介な過剰生産能力について注意を喚起している。欧州連合(EU)は中国が安価なEVを欧州市場でダンピング販売しているのは過剰生産のためだと明確に指摘し、実際、EUは中国産EVにかなりの追加関税を課す構えを見せている。
予想できたことではあるが、中国の指導部は過剰生産を一切否定している。習近平国家主席の最近の発言によると、「いわゆる過剰生産の問題は存在しない」という。中国製のEVが欧州で数多く販売されているとすれば、それは単に価格に対して品質が良いためで、欧米の製品より競争力があるからだと習は主張する。中国製EVの競争力については習の言い分は正しいかもしれないが、そのことと過剰生産はあまり関係がない。この点に関しては、中国からの一連の情報で、習の過剰生産の否定は誤りであることが示されている。
「新たな質の生産力」の製品に指定されていない鉄鋼でさえ、過剰生産の兆候がある。鉄鋼生産は国内の需要をはるかに超えている。2001年の中国の鉄鋼生産量は国内消費量とほぼ同じだったが、2023年には生産が消費を5%上回り、今年は8%上回りそうだ。もちろん、こうした余剰の多くは不動産危機と建設活動の停滞を反映している。それでも、生産が過剰なのだ。
中国が注力している分野の1つであるソーラーパネルに目を向けると、生産超過の幅はもっと大きい。国内でのソーラーパネル設置は、昨年の50ギガワット(GW)から今年は90GWとなることが見込まれ、急増している。だが生産量の増加幅は設置をはるかに上回っており、今年の生産は150ギガワット超になりそうだ。中国が余るソーラーパネルをどこに売るつもりなのか、なぜ指導部は生産強化を指示する際に販売先を考えなかったのか、疑問に思うのはもっともだ。
これらの数字ほど直接的ではないものの、他の指標でも同じような状況が示されている。昨年、「新たな質の生産力」を推し進めようとしたとき、電気機器とEVへの投資が急増し、電気機器で40%、EVで25%増加した。いずれも製造分野の一般的な増加幅である5%増をはるかに上回った。
そうした投資の増加は正当なものでなかったことを発表するかのように、今年の投資額は減り、製造業全体への投資の増加幅よりもやや低調に推移している。だが、その前の大幅な投資は明らかに生産過剰をもたらした。それを直接示すデータはないにしても、製造業の粗利率の低下がその証拠だ。現在、粗利率は長期の平均を2ポイントほど下回っている。
中国の経済が急成長していた時代には、過剰生産の問題はわずか1、2年の需要増で改善された。あるいは、中国が世界の工場であったなら、過剰生産は短期間で消滅しただろう。だが中国経済は急成長しているわけでもなければ、世界の工場でもない。
そのため、生産能力の増強というこの失敗は今後しばらく尾を引き、現在抱えている別の経済問題をさらに深刻なものにするだろう。西側諸国や日本は、少なくともかつてと同程度に中国との貿易から距離を置くようになっているため、中国の需給の不均衡を解消するにはさらに時間がかかりそうだ。中国の指導部が国内の経済問題を悪化させたのは今回が初めてではない。(forbes.com 原文)
参考文献・参考資料
G7からフルボッコ、台湾にも盾突かれ…「メンツ丸つぶれ」習近平が繰り出した「八つ当たり」衝突の内幕 (msn.com)
中国経済は終わった…!経済長期大低迷を示す「国債バブル発生」でついに明らかになる「習近平の大罪」 (msn.com)
焦点:中国消費回復に暗雲、大型商戦さえず成長目標達成も不透明に (msn.com)
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