政治講座ⅴ498「混迷を極める韓国の国会と政界:大統領府・検察vs野党の対立」
日本の野党も50歩100歩であるから情けない。そのような議員を選出した国民の責任でもあるけれど、品位・品格のない議員もいる。立派な政治家もいるが、目立つのが、品位・品格のない人物であるから、特に全体の評価を下げる効果となっている。
韓国では前科4犯の犯罪歴の人物が党首に選出されている。法律遵守の意識が無いのかな?と思わざるをえない。そのような遵法精神に欠ける人物を選出する選挙民の意識は法律遵法精神は無いのかな?と思わざるをえない。不思議の国:韓国である。悪事、ケンチャナヨ!
皇紀2682年10月27日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
韓国大統領室 施政方針演説ボイコットの最大野党に「遺憾」
2022/10/25 16:30
【ソウル聯合ニュース】韓国大統領室は25日、革新系最大野党「共に民主党」が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の施政方針演説への出席を拒否したことに対し「非常に遺憾で残念だ」との立場を示した。
© 聯合ニュース 提供 国会本会議場で演説する尹大統領=25日、ソウル(聯合ニュース)
大統領室の関係者はこの日、聯合ニュースの取材に対し「来年の予算案を国民に報告する席に議員が参加しないという憲政史上初めての状況が発生した」と述べた。
また、国民の代表である国会議員は国民の税金が反映される国政運営の基調を審議しなければならないとして、共に民主党に対し「公党として責務を果たすことを願う」と強調した。
国会(定数300)で過半数(169議席)を握る共に民主党は、検察が同党の李在明(イ・ジェミョン)代表の最側近を政治資金法違反の疑いで逮捕するなど、李氏に狙いを定めた捜査を行っているとして施政方針演説に出席せず、国会本会議場は半分以上が空席となった。
これを受け、保守系与党「国民の力」も施政方針演説のボイコットは国民の代表であることをボイコットするものだとして、李在明氏に対する捜査を阻止することに「国会議員の基本責務まで放棄するほどの価値があるのか」と批判した。ynhrm@yna.co.kr
韓国検察と全面戦争、疑惑まみれの最大野党の党首「李在明」が絶体絶命
片手に余る疑惑の数々、停滞していた捜査がここにきて急転回
2022.10.24(月)李 正宣
韓国の最大野党「共に民主党」代表の李在明(イ・ジェミョン)氏が絶体絶命の危機に追い込まれた。李氏に関しては、少なくとも7つの疑惑について検察の捜査が進んでいたが、ここにきて一気に捜査が進展した。検察は、李氏の側近を相次いで逮捕・起訴し、李氏に対する取り調べも秒読みに入ったと見られる。
国会において過半数を占める最大勢力でありながら最悪の事態にまで追い詰められた「共に民主党」は、「戦時体制」に入ったことを宣言、韓国政界における大統領府・検察vs野党の対立は極限状態にまで達している。
疑惑がボロボロと
発端は、大統領選挙を6カ月後に控えた昨年9月にまで遡る。当時与党だった共に民主党の次期大統領候補として有力視されていた李在明氏に巨大な不正疑惑が浮かび上がった。李氏が城南市長在職当時、城南市の官民合同の大規模都市開発プロジェクトだった「大庄洞開発事業」で「火天大有」という会社が5000万ウォンの投資で4000億ウォンという膨大な利益を与えた事実が発覚した。李氏はこのプロジェクトの最終承認者であり、李氏の知人が「火天大有」の代表だったことなどから、李氏がこの不正疑惑の黒幕ではないかという疑いが浮上した。
この事件を筆頭に李氏に対する疑惑が次から次へと浮かび上がった。李氏が城南市長在職当時、ネイバー、斗山建設、チャ病院などの企業から城南FCサッカー団の巨額の後援金を受け取り、事業上の便宜を提供したという疑惑、「サンバンウル」という下着大手企業から自分と夫人の弁護士費用を肩代わりしてもらったという疑惑などだった。
当時は、共に民主党の大統領候補選出選挙を控えていた時だったこともあり、これらの疑惑はライバルの李洛淵(イ・ナクヨン)元首相側から提起されたもので、李洛淵元首相の支持者たちは李在明氏を警察や検察に告発した。
しかし李在明氏は、各種の疑惑にもかかわらず、2021年10月の共に民主党の大統領候補選挙でライバルの李洛淵元首相を抑え、与党の公式候補となった。
検察捜査に備えた「国会議員」「党代表」という鎧
本格的な大統領選挙レースが始まると、李氏に対する疑惑はさらに増えていった。李氏の夫人に関して、京畿道公務員を私的な雑務に使ったことや、京畿道法人カードを私的に使った事実などが暴露され、李氏の長男に関しては不法賭博および性売買疑惑なども明るみに出た。また、李氏本人についても「大庄洞事業」と酷似した城南市の新都市2カ所の開発疑惑が新たに出てきて、李在明氏は多くの疑惑に包まれたまま大統領選挙に臨むことになった。
これらの疑惑に足を引っ張られたせいもあってか、0.7%という僅差まで迫りつつも、李在明氏は大統領選挙で尹錫悦現大統領に敗北した。同時に、権力の座に着けなかった李氏に対する捜査が一気に進むのではないかと見られていた。
ところが、李氏は自分を検察捜査の「槍」から守る2つの「鎧」を瞬く間に用意したのだった。
ひとつは、5月の地方選挙で仁川市桂陽区(インチョンシ・ケヤング)議員だった宋永吉(ソン・ヨンギル)前代表をソウル市長選挙に出馬させ、自分は空席になった仁川市選出の国会議員になることだった。仁川市桂陽区は選挙が始まった以来、保守候補が一度も勝ったことのない民主党支持率が最も強いところの一つ。選挙に出馬した李氏は予想以上の苦戦を強いられるが、なんとか国会議員の座をつかみ取った。
韓国は、「現行犯を除き、国会議員を会期中に逮捕するためには国会の同意が必要」という国会法がある。李氏は検察捜査からわが身を防御するために国会議員となり、国会多数党である共に民主党の同僚から支援を受けようと考えたのだろう。氏が用意したもうひとつの鎧は党代表職だ。すでに共に民主党の主流派となっていた李在明系の議員と「ケタル」と呼ばれる強烈な支持者の支援で、李氏は党代表に無難に当選し、自分の派閥の議員で党の要職を独占、検察捜査に備えるスクラムを組んだ。李氏個人の不正疑惑に対する検察捜査に対し「野党弾圧」というフレームで対抗し、国会第1党として国会内で強力抵抗するという思惑だった。
捜査への備えをしたにもかかわらず検察は在宅起訴
しかし、このような努力にもかかわらず、政権が変わると、李氏は一気に危機に追い込まれた。尹錫悦(ユン・ソンヨル)大統領は“最側近”の韓東勳(ハン・ドンフン)法務長官を前面に押し出し、共に民主党寄りの検察官を整理するなど検察組職を一新、文在寅政権下で一歩も進まなかった李在明氏関連捜査を本格的に開始したのだ。
検察はまず、大統領選挙期間当時、大庄洞開発事業の核心人物として捜査線上に名前が上がると自ら命を絶ったキム・ムンギ前城南都市開発公社事業処長を「知らない」と発言した李氏を、「虚偽事実公表」(公職選挙法違反)の容疑で在宅起訴した。この事件は現在裁判が進行中だが、もし公職選挙法違反で100万ウォン以上の罰金刑が確定すれば、李氏は5年間被選挙権が剥奪され国会議員職からも退かなければならない。また、共に民主党は政府から受け取った大統領選挙支援金434億ウォンを返還しなければならない。
さらに、城南市長在職時期の2016~2018年、李氏は城南FCのオーナーでもあった。この時に李氏は、斗山建設、ネイバー、チャ病院などの企業から城南FCに対する計160億ウォン余りの後援金と引き換えに、これらの企業に対して建築許認可や土地用途変更などの便宜を与えたという疑惑も、政権が変わるや捜査が急進行した。
50億ウォンを後援した斗山建設はすでに起訴されており、ネイバーとチャ病院に対する捜索も進行中だ。城南市が城南FCを買収した後、サッカークラブに市予算を追加編成すれば政治的反発などを招くことを憂慮した李氏は、各種事業や建築許認可などを受けなければならない懸案を持つ企業らと接触し、城南FC運営資金の後援を受ける方法を模索したものと検察は睨んでいる。
側近の逮捕
斗山建設に後援を要請した公務員に対する検察の訴状には、李氏と彼の最側近である鄭鎮相(チョン・ジンサン)「共に民主党」代表室政務調整室長が「供賄罪の共犯」として明記されているという。
城南FC事件で李氏に向けられている疑惑は「第三者供賄」だ。この罪が適用された過去の事例としては、朴槿恵(パク・クネ)元大統領の国政壟断裁判当時、朴前大統領の友人の崔順実(チェ・スンシル)氏の娘のユラ氏に対し、サムスンが訓練用の馬を提供した件に関して、朴元大統領に適用されたことがある。
さらに検察は、後援を要請した公務員に支給された過度な成果金が、李氏の秘密資金に流れたのではないかという疑いを持って、金の流れに対する捜査も進めている。
これ以外にも、李在明夫婦の弁護士費用を肩代わりした疑いがある「サンバンウルグループ」に対する捜査が進んでいるが、新たに李氏とサンバンウルグループ間の各種のコネクション疑惑が浮上し、捜査が拡大中だ。
捜査の過程でサンバンウル経営陣が海外に逃避すると、検察は李氏とサンバンウルとの結節点の役割をしたことが知られた李華泳(イ・ファヨン)前京畿道副知事を逮捕・起訴した。李華永氏はサンバンウルの社外取締役顧問を引き受け、同社の法人カードなど使い、3億2000万ウォン相当の不法な政治資金を授受した疑惑がもたれている。李華泳氏は、李在明氏が京畿道知事時代に、京畿道平和副知事という肩書きを持って対北朝鮮支援団体「アジア太平洋平和交流協会(亜太協)」と京畿道を結び付けた人物としても知られている。
李在明氏の京畿道知事時代、亜太協はサンバンウルグループと京畿道の寄付補助金などを元に対北事業を進めていた。そのうち不正に海外に持ち出された数十億ウォン台の資金が北朝鮮に渡ったと検察は見ている。検察が近いうちに李代表と鄭鎮相室長に対して取り調べに乗り出すという観測も出ている。
検察の取り調べに口を開き始めた関係者
李在明氏が関与したとされる多くの不正疑惑の中で、一番先に捜査が始まった「大庄洞事件」でも最近画期的な進展があった。
多くの韓国人は、大庄洞事件が城南市長時代の李在明氏が企てた不正事件だと疑っているのだが、検察は大庄洞開発で巨額の利益を得た「火天大有」の関係者から李在明氏側が金を受け取ったという証拠や証言を確保できず、捜査は1年以上李氏周辺の人物を嗅ぎまわるレベルだった。
ところが最近、当時城南都市開発公社の企画本部長として開発事業を総指揮したユ・ドンギュ氏や、火天大有一味の一人であるナムウク氏が口を開き始めたのだ。彼らは2021年4月から3回にわたって、金湧(キム・ヨン)前京畿道報道官に李氏の大統領選挙準備の名目で約8億ウォンを渡したと供述したのである。金湧氏は李在明氏が「私の分身」と褒め称えた側近の中の側近だ。ナムウク氏は金を渡した方法や場所などを詳しくメモした証拠を検察に提供している。また城南都市開発公社の元企画本部長ユ・ドンギュ氏はインタビューを通じて、「私は私の罪だけを償いたい。李在明氏の罪は李が償うべきだ」「小さな石を一つ投げただけなのにあんなに大騒ぎだ。本当に大きな石が飛んだらどうするつもりだろうか」などと、さらなる暴露をにおわせる爆弾宣言をした。
ただ、逮捕された金湧氏は検察の取り調べに対し、容疑を強く否認しているという。
世論を扇動し、国を分断しようとする進歩系勢力
日々進展する捜査によって絶体絶命の危機に瀕している李在明氏と共に民主党は、国会国政監査をボイコットする強硬闘争を選んだ。「政治弾圧を辞めろ!」というスローガンで国民に訴える一方、尹大統領の夫人の金健希(キム・ゴンヒ)氏の株価操作疑惑や論文盗作疑惑に対する特別検事捜査をするよう主張している。
共に民主党の動きに呼応して、ソウル市・光化門では左派市民団体による大規模なろうそく集会が再び頭をもたげ始めた。民主労総からは組織員総動員令が下され、制服を着てろうそく集会に参加する高校生には特別奉仕活動と認められるよう推薦するという“エサ”までばらまくなど、参加者の確保に必死になっている。
「進歩系」を自称する政治家や市民団体が、だかが一人の「不正容疑者」を守るために、まさに国全体を修羅場に追い込むという、情けない状況が今の韓国で生じている。
韓国検察が本腰を入れだした、「文在寅」周辺と「李在明」に迫る捜査の手
前政権時代にフタされていた疑惑が次々と捜査の俎上に
2022.10.26(水)武藤 正敏
(武藤 正敏:元在韓国特命全権大使)
今年5月まで権力の座にあった文在寅(ムン・ジェイン)政権の中心人物と、野党となった「共に民主党」の現代表・李在明(イ・ジェミョン)氏に、検察の捜査の手が迫っている。検察は文政権大統領府が北朝鮮に配慮するあまりに行った職務放棄と、李在明氏の選挙に関する不正に照準を合わせた捜査を加速させている。
捜査の進展具合によっては、韓国の最大野党・共に民主党は甚大なダメージを受けることになる。
北朝鮮による元水産庁職員射殺・死体遺棄事件で元国防部長官らを逮捕
まず文在寅政権の職務放棄事件から触れていこう。
ひとつは、2020年9月、韓国海洋水産部職員だったイ・デジュンさんが黄海(西海)において、北朝鮮軍の銃撃により死亡し、遺体を焼かれてしまった事件に関するものだ。
当時、文在寅政権は「自分の意思で越北した」と意図的に決めつけ、イさんが行方不明となった翌日、北朝鮮側の海域で発見されたという報告を受けながらも適切な救助措置を取らなかったという疑惑が浮上していた。
この疑惑に関し、10月22日、韓国の裁判所は、徐旭(ソ・ウク)元国防部長官と金洪煕(キム・ホンヒ)元海洋警察庁長の対する拘束令状を発出した。2人には、イさんが自主的に越北(北朝鮮亡命)しようとしたという結論を出す過程で、公文書を偽造したり、関連情報を削除したりするなど、職権を乱用した容疑がかけられている。
この疑惑に関して文在寅政権時代にはその解明が進まなかったが、尹政権になってから、「文在寅政権によって捏造されたものであり、イさんが自主的に越北を試みたとは見ることができない」と結論付けられていた。仁川海洋警察と国防部はともにイ・テジュンさんについて「自分の意志で北朝鮮に向かったと断定する根拠はない」「殺害された公務員が越北を試みたと推定されると発表したことで国民に混乱を与えた」との発表を行ったのだ。
文政権は、イさんの越北を主張することで、韓国国民の外交保護権を放棄し、北朝鮮の残虐行為の追及を行わないことにしたと見られている。
国防部と海洋警察に「自主的越北」の結論を出させたのは誰か
このような真実が明らかになったことを受け、今年8月、イ・テギュンさんの遺族は文在寅前大統領と徐薫(ソ・フン)前国家安保室長を告発していた。遺族側の異議の申し立てで、検察は事件の再捜査の可能性を検討していたのだ。
元国防部長官の徐旭容疑者には、当時の文在寅政権で「自分の意志で越北した」との判断を下したことを受け、越北と矛盾する間諜情報などが記載された軍事機密を軍事統合情報処理システムから削除させ、さらに事件関連の報告書に虚偽の内容を記載するよう指示した疑いがある。
また、元海洋警察庁長の金洪煕容疑者は、越北の事実を捏造するため未確認の証拠を使用、これまでの証拠を隠蔽し、調査のため行われた実験結果をわい曲した容疑が持たれている。
2人の身柄拘束が認められたことで、当時の意思決定が「青瓦台」の国家安保室でなされたのではないかとの疑惑解明に弾みがつくと予想されている。事件の捜査を検察に要請した韓国監査院によれば、国防部と海洋警察に対して「自主的な越北」という結論を出すよう指示したのが前政権の国家安保室だと睨んでいる。
朴智元(パク・ジウォン)国家情報院長に対する召喚調査も行われると見られる。国家情報院も関連の情報を削除したことが監査院の調査で明らかになっているのだ。
文政権の大統領府と国家情報院の関与が明らかになれば、文在寅政権の中核を担った元幹部たちに対する責任追及が本格化してくる。
検察、青瓦台の元秘書室長を調査
北朝鮮に配慮するあまり、文在寅政権が人権を無視した行動をとった疑惑はほかにもある。
2019年11月、韓国統一部は、拿捕した北朝鮮漁船に乗っていた船員2人を、北朝鮮に強制送還した。この船員2人は、同僚の漁船員16人を殺害して逃走、韓国に亡命の意思を示していた。それにも関わらず、韓国の統一部はその意思表示を無視、通常2、3カ月かかる捜査をわずか3日で終え、拿捕から5日後には北朝鮮軍に引き渡したのだった。
強制送還から間もなく、この事実は偶然発覚し、韓国政府の対応は国内外から批判を浴びていたが、関係者に対する捜査は本格化していなかった。その状況がやはり政権交代によって一変した。
尹政権の大統領室は、「これは国際法と憲法を共に違反する反人道的・反倫理的犯罪行為だ」と批判する。
韓国の憲法上、脱北者は国民に分類され、送還することはできない。それにもかかわらず文政権の大統領府と国家情報院は、「亡命に対する誠意がなかったと判断した」と説明、さらに「その人たちは凶悪犯」(鄭義溶[チョン・ウィヨン]安保室長)として憲法の規定を無視した。
しかし、統一部が公開した写真によれば、2人は目隠しをされた状態で板門店に連れていかれていた。その姿は、「亡命する意思はなかった」という文在寅政権の説明とは矛盾する、送還に激しく抵抗するものだった。
ソウル中央地検は、10月19日、送還決定に関与したとして当時の青瓦台の盧英敏(ノ・ヨンミン)秘書室長を被告発人として呼び出し、取り調べを行った。検察は先月、金錬鉄(キム・ヨンチョル)元統一部長官についても取り調べを行っている。
今後、やはり同事件で告発されている徐薫元国家情報院長や鄭義溶元国家安保室長などにも捜査を拡大すると見られる。
一連の取り調べの目的は、漁船員の送還過程に関して、盧英敏元秘書室長をはじめとする文政権重職の人々の不適切な指示があったかどうかの解明であり、文在寅政権の大統領府の組織絡みの職権乱用、権利行使妨害、職務遺棄などが疑われている。
文在寅政権の、北朝鮮における人権問題に対しての無関心、批判を避ける姿勢は国際社会からも糾弾されていた。漁船員の強制送還は、彼らの人権を無視してまで北朝鮮に寄り添う姿勢を示したものであり、国民の保護、韓国の法令を無視する文在寅政権の体質をさらした。その体質は究極的には文在寅氏本人の意思に行き着くのであろう。
李在明氏の在宅起訴が皮切りに
もう一つ、韓国政界を揺るがしているのが、李在明氏の選挙に関する不正に関する捜査だ。
今年5月の大統領選では、尹錫悦氏に敗れた李在明氏だったが、8月28日、民主党の全国代議員大会で新代表に選出された。
大統領選の期間中から、李在明氏にはさまざまな疑惑が取り沙汰されてきたが、同氏の民主党代表就任をきっかけにするように、検察は疑惑捜査に力を入れ始めた。
李在明氏の民主党代表就任の3日後となる9月1日、検察は李在明氏に対し、選挙期間中の「虚偽事実の公表」疑惑に関連して出頭を要請した。
しかし、李在明氏がこれに応じず、「野党弾圧」「政治報復」と批判した。
そのため、10月8日、検察は李在明氏を公職選挙法違反の疑いで在宅起訴した。この容疑は公訴の時効が迫っていたため、まずここから手を付けたということであろう。
起訴の容疑は、李在明氏の2つの虚偽発言を巡るものである。
第1の容疑は、国会の国政監査での柏ヒョン洞(ペッキョンドン)開発に関し、開発された土地の用途が自然緑地から準住居地域へと変更されたのは、国土交通部の圧力によるものであるとの発言。
第2は、李在明氏の大庄洞(テジャンドン)開発事業を巡る不正疑惑に関連し、死亡した故キム・ムンギ城南都市開発公社開発第1処長(自殺の疑いがある)について、昨年のインタビューで「末端の職員だったので市長在任中には知らなかった」との発言である。
いずれのケースにおいても、李氏の発言が虚偽であるとする事実が明らかになっている。
大統領選の選挙資金に絡む不正疑惑
検察は、李在明氏の大統領選挙中において、大庄洞開発民間業者の収益金の一部が大統領選挙戦の資金に流れていた状況を把握し、10月19日には、李代表の最側近で、大統領選挙キャンプ副本部長を務めた民主研究院の金湧(キム・ヨン)副院長を逮捕した。
金氏の逮捕は、事件の核心人物の一人と言われるユ・ドンギュ元城南都市開発公社企画本部長(昨年10月に逮捕、今月20日に拘束期間満了により釈放)が、最近になって態度を変えて口を開き、捜査が急進展したためという。金副院長が金を受け取った時期、金額を特定する上で、ユ・ドンギュ氏が決定的役割を果たした模様だ。
また、資金の受け渡しの仲介をしたナム・クウ弁護士の側近は、資金の受け渡しのメモを作成しており、これを自発的に検察に提供した模様だ。検察は受け渡し場所の監視カメラ映像と出入り記録を確保したという。ただ、金銭授受の場面がカメラに写っているかは不明だ。
検察の捜査で明らかになった金副院長の収賄状況はかなり具体的である。資金授受の現場が、ユ・ドンギュ氏らが設立した「ユウォンホールディングス」の事務室などだったことなどとともに詳しく提示された。裁判所が金副院長の逮捕令状と自宅の家宅捜索令状を相次いで発行したのも収賄容疑の具体性を考慮したからだろう。
検察は拘束前被疑者尋問で「第20代大統領選挙を準備する過程で授受した」として、この資金が李在明氏の大統領選挙資金として使われた可能性を提起した。
昨年8月、地域メディアの報道で大庄洞ゲートが浮上して以来、噂だけが飛び交っていた「大統領選挙資金疑惑」だったが、ここにきて、ついに捜査線上に浮上したのである。
また、李在明氏のもう一人の最側近である鄭鎮相(チョン・ジンサン)党代表室政策調整室長についても、検察は出国禁止にしたという。鄭室長は、李代表が城南市長時代に、斗山建設の病院敷地を商業用地に変更する見返りとして斗山建設から50億ウォンを城南FCに拠出させた事件に関係しているとされている。
李在明氏の側近が受け取った8億ウォン余の行方
逮捕された金副院長に対する容疑は、昨年4~8月に大庄洞開発民間業者のナム・ウク弁護士(大庄洞関連開発会社「天火同人(チョンファドイン)4号」の所有者)から4回にわたり8億4700万ウォン(約8700万円)の不法政治資金を受け取ったというものである。
大庄洞都市開発疑惑では、事業を主導したキム・マンベ氏、ナム・ウク氏、ユ・ドンギュ氏などは数千億ウォンの莫大な利益を手に入れた。その過程で金副院長がユ・ドンギュ氏に収益金の一部を要求すると、ナム弁護士が8億ウォン余を用意してキム副院長に渡したと検察は見ている。
検察は金副院長がこのうち約6億ウォンを受け取ったと判断しており、1億ウォンはユ元本部長が使用、残りの1億ウォンは、昨年9月に大庄洞疑惑が報じられてから金副院長がユ元本部長に返却したものと見ている。
窮地の民主党
検察が見込んだように、もしも金副院長が受け取った資金が、李在明氏の選挙資金に充てられていたとしたら、李在明氏や共に民主党は壊滅的なダメージを受けることになるだろう。
韓国では公職選挙法の罰則は厳しく、李代表は100万ウォン以上の罰金刑が確定すると国会議員を失職し、被選挙権も5年間停止になる。また、民主党は中央選挙管理委員会から補填された大統領選挙費用約434億ウォンを返却しなければならない。民主党にとって検察の動きは生き残りをかけた戦いとなっている。
案の定民主党は、この捜査を「野党への弾圧」と強く反発した。19日に検察が金湧副院長の捜査と関連してソウル市汝矣島(ヨイド)の民主党本部事務所内に所在する党のシンクタンク「民主研究院」事務所の家宅捜索をしようとしたところ、民主党の議員たちが立ちはだかってこれを拒んだ。また、今後の国政監査を全面拒否することとした。
だがその抵抗も虚しく、24日、検察はついに民主党事務所に家宅捜索に入った。悲壮感を漂わせた李在明氏は、涙声まじりに「国民の皆様がこの歴史の現場を忘れないで、退行する民主主義を必ず守ってくださるよう願う」と述べ、特別検事の任命を改めて求めた。
金副院長は李代表が「私の分身のような人物」だと公言した人だ。大統領選挙では主に組織管理を担い、地域を回りながら支持勢力を結集する役割を果たしてきた。
そうした人物がカネを受け取ったのか、受け取ったのであれば、李代表の選挙資金として使われたのか、その過程で李代表の直接・間接の指示があったのか、など解明しなければならない疑惑は尽きない。ある検察関係者は「李在明代表が関連している事件のうち、李代表本人が直接かかわった事案は初めて」と感想を漏らしたという。もちろん、検察の最終的なターゲットは李在明氏だ。同氏の置かれた状況は、日に日に悪化している。
反発を強める民主党は、25日の尹錫悦大統領の施政方針演説への出席をボイコットした。対決姿勢はますます先鋭化している。尹錫悦政権にとっても、民主党との対立を止めることはできなくなっており、行き着くところまでいかざるを得ないだろう。その間、韓国の内政は膠着状態となり、政治対立に明け暮れることになろう。
北朝鮮との対立が鮮明化している中での内政の混乱。国が一体となって安全保障に取り組まなければならない時に、与党と野党が「戦争状態」に入った韓国は、極めて深刻な状態に入ったと言える。
<W解説>韓国検察が前政権時代の事件の捜査を加速=野党は「政治報復だ」と反発
韓国の検察は22日、ムン・ジェイン(文在寅)前政権下で起きた韓国人の公務員が北朝鮮に射殺された事件に絡み、当時の国防部(部は省に相当)長官だったソ・ウク(徐旭)氏と、海洋警察庁長だったキム・ホンヒ(金洪熙)氏を職権乱用や虚偽公文書作成などの疑いで逮捕した。文前政権は南北融和を進めていたことから、検察は徐氏と大統領府の国家安全保障室が当時共謀し、北朝鮮に配慮し、事件の矮小(わいしょう)化を図った疑いがあるとみて調べている。ユン・ソギョル(尹錫悦)政権発足後、文前政権の高官が逮捕されるのは初めて。韓国紙のハンギョレ新聞は、「検察は文政権の中心的な安全保障関係者への捜査を本格化させるものとみられる」と伝えている。
2020年9月、黄海上で、漁業指導船に乗り込んでいた海洋水産部の男性公務員が行方不明となった。その後、北朝鮮側の海域を漂流しているところを北朝鮮軍に発見されるも、北朝鮮軍は男性を射殺し、遺体を焼却した。
しかし、この事件に対する北朝鮮側の対応は早く、韓国が事実関係を公表した翌日の9月25日、朝鮮労働党統一戦線部名義で殺害を認める通知文を韓国側に送付。通知文には「予想外の恥ずべきことがわれわれの海域で起きたことについて、南側(韓国)に申し訳ない気持ちを伝える。わが指導部は、こうした遺憾な事件によって、これまで積み上げてきた北南間の信頼と尊重の関係が崩れることのないよう、必要な安全対策を講じる」と謝罪の言葉が記されていた。また、「われわれの海域で予想外の恥ずべきことが起き、ムン・ジェイン(文在寅)大統領と南の同胞を大きく失望させたことに対し、非常に申し訳なく思う」とするキム・ジョンウン(金正恩)総書記の言葉も含まれていた。
事件を受けて、韓国海洋警察は当時、男性が3億ウォン(現在のレートで約3080万円)を超える借金を抱えていたことにより、「現実逃避の目的で自ら越北した」とする見解を発表した。これには「韓国政府が対北関係への悪影響を考慮して真実を隠ぺいしているのではないか」との見方も出ていた。
政権が変わり、海洋警察は今年6月、「殺害された公務員が越北したとみられる証拠は発見できなかった」とし、文前政権時に下した見解を覆した。国防省も「これまで、殺害された公務員が越北した可能性があるとの推測に基づいた情報を発表し、国民に大きな混乱をもたらした。内容をもう一度検討・分析した結果、亡くなった公務員の越北を立証できなかった」と説明した。
韓国の検察は、男性が自ら北朝鮮に渡ったとする政府の判断と食い違う内容の情報などを収めた軍事機密を、当時、国防部長官だった徐氏が情報処理システムから削除したり、軍合同参謀本部の報告書に虚偽の内容を記載するよう指示していた疑いが強まったなどとして、22日、徐氏を職権乱用などの疑いで逮捕した。また、事件の経緯を捜査した、当時の海洋警察庁のトップ、金氏も逮捕した。2人はいずれも容疑を否認している。
当時、北朝鮮との関係悪化を懸念した文前政権が組織的な隠ぺいを図った可能性があり、聯合ニュースは「2人の逮捕により、同事件に関連した前政権の安保担当高官らに対する捜査にも弾みがつきそうだ」と伝えている。今後当時の大統領府のソ・フン(徐薫)国家安保室長や、パク・チウォン(朴智元)国家情報院長にも捜査が及ぶ可能性があり、ハンギョレ新聞は「文前大統領の捜査に乗り出す可能性も排除できない」と報じた。
検察は、文政権時代に起きた政治がらみの事件をめぐり、捜査を加速化させている。徐氏と金氏が逮捕された22日、韓国の検察は、今年3月の大統領選挙で尹大統領に僅差で敗れた最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)代表の最側近を逮捕した。逮捕された「共に民主党」系のシンクタンクの副院長を務めるキム・ヨン(金湧)容疑者は、李代表がソウル近郊のソンナム(城南)市長だった当時、都市開発に関わった民間業者から昨年8億6000万円(約8800万円)の違法な支持資金を受け取ったとして、政治資金法違反の疑いが持たれている。
野党は一連の検察による捜査について「政治報復だ」と批判を強めている。また、ソウル市民からも「過去への回帰という感じがぬぐえない」との声も出ている。それぞれの事件について、今後の捜査の行方が注目される。
2022/10/24 10:47配信 Copyrights(C)wowkorea.jp 5最終更新:2022/10/24 11:42
参考文献・参考資料
韓国大統領室 施政方針演説ボイコットの最大野党に「遺憾」 (msn.com)
韓国検察が本腰を入れだした、「文在寅」周辺と「李在明」に迫る捜査の手 前政権時代にフタされていた疑惑が次々と捜査の俎上に(1/7) | JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)
<W解説>韓国検察が前政権時代の事件の捜査を加速=野党は「政治報復だ」と反発│韓国社会・文化│wowKorea(ワウコリア)
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