政治講座ⅴ2028「資質に欠ける閣僚人事と対中強硬路線かな?」
民主党とトランプ氏の新たな戦いが始まっている。
先行き不安な船出になりそうであるが、これが民主主義の国家だ! しかし、ヘグセス氏は日本に原爆を投下した米兵らについても「彼らは勝った。それが何だ」と記していた。APはヘグセス氏が戦争での人道問題を気に掛けていないと報じた。米国が国際法違反の非戦闘員(子供・女性・老人)を原子爆弾で虐殺した歴史を封印し間違えた歴史認識の教育をしているところは中国共産党と何ら変わらない。しかし、米国は共産主義と独裁政権を防ぐ仕組みが良くできている。
そして極めつけは「筋金入りの対中強硬派」の人事だ。
中国の共産党体制そのものの存在を批判しており、中国との対立を「文明の衝突」とみなしていることが特徴。
そして、中国について「米国が直面した中で、最大かつ最先端の敵国」と定義した。旧ソ連はロナルド・レーガン大統領により枢軸国として敵視され崩壊した。歴史は繰り返されて、今は、ドナルド・トランプ氏が次の大統領となる。そして、中国を敵視政策としているのである。
思えば、歴史を俯瞰すると、日本が同様の立場にあった。それは、第二次世界大戦前に日本が共産主義の防波堤となるべくソビエト連邦と中国共産党の覇権主義組織と戦っていた。しかし外交の失敗で日米の開戦となる。日本の敗戦に伴い、反共の戦いを米国が負ってしまったようなものである。
今回はそのような報道記事を紹介する。
皇紀2684年11月17日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
報道記事紹介
トランプ氏側、身辺調査十分せず 次期国防長官候補、資質に疑問の声
毎日新聞 によるストーリー
米共和党のトランプ次期大統領が国防長官に起用すると発表した、元陸軍州兵で保守系ケーブルテレビ局FOXニュースの司会者のピート・ヘグセス氏(44)に対して、資質を疑問視する声が相次いでいる。複数の米メディアによると、過去に性的暴行容疑で捜査を受けていたが、トランプ氏側は把握していなかったという。
報道によると、ヘグセス氏は2017年に西部カリフォルニア州の警察当局から性的暴行容疑で捜査を受けた。警察は刑事訴追していない。トランプ氏側はヘグセス氏の身辺調査を十分しておらず、暴行疑惑について把握していなかった。
トランプ氏が大統領首席補佐官に起用するとしているスーザン・ワイルズ氏も13日夜にこの件について説明を受け、ヘグセス氏に問い合わせた。一方、ヘグセス氏の弁護士は「証拠は見つからなかった」と否定している。
また、ヘグセス氏は白人至上主義との関連が想起される入れ墨があったとして、同僚の兵士から「内部の脅威」だと指摘されたこともあったという。
ヘグセス氏は、イラクやアフガニスタンでの従軍経験はあるものの、政府や軍の要職に就いたことはない。また米軍内の人種や性別の多様性を批判。女性の戦闘参加に反対したほか、黒人で制服組トップのブラウン統合参謀本部議長の解任も要求した。
ロイター通信によると、複数の国防総省幹部がヘグセス氏の資質に疑問を呈したほか、民主党内からは「上院は指名を拒否すべきだ」との声が上がっている。一方、共和党内にはヘグセス氏の国防長官起用を支持する声もある。【ワシントン松井聡】
ヘグセス氏、差別言動も浮上 原爆投下、米兵は「勝った」
共同通信 によるストーリー
【ワシントン共同】トランプ次期米大統領が国防長官への起用を発表したヘグセス氏を巡っては、適格性に疑問符が付く新事実や疑惑が相次いで報道されている。アフガニスタンやイラクに派遣された元軍人だが、政策立案の経験はなく、人種差別的な言動や性的暴行疑惑も浮上。巨大な米軍組織運営のかじ取り役を務められるのか、不安が広がっている。
AP通信によると、ヘグセス氏は日本に原爆を投下した米兵らについても「彼らは勝った。それが何だ」と記していた。APはヘグセス氏が戦争での人道問題を気に掛けていないと報じた。
米メディアの報道では、ヘグセス氏は44歳。結婚と離婚を繰り返し、現在は3人目の妻と7人の子どもと暮らす。FOXニュースの番組司会者を長く務めており、トランプ氏への熱烈な支持を隠さない。
ワシントン・ポスト紙によると、ヘグセス氏は2020年に出版した著書で、イスラム教について「平和の宗教であったことはない」と中傷。バイデン政権が推進した米軍内の多様性擁護政策にも強硬に反対している。
「ゲーツ疑惑」報告書の公開巡り圧力合戦 次期米司法長官候補
毎日新聞 によるストーリー
米連邦下院倫理委員会は15日、次期司法長官候補に選ばれた共和党のマット・ゲーツ元連邦下院議員による性的な違法行為などの疑惑を巡って、調査報告書の公開の是非を決める投票を延期した。米メディアが報じた。司法長官の人事承認権を持つ上院の民主党は公開を要求。一方、共和党のジョンソン下院議長らは公開に反対しており、下院倫理委は双方からの圧力で板挟みになっている。
さまざまな醜聞を抱え、司法省や連邦捜査局(FBI)の解体を訴える強硬派でもあるゲーツ氏の起用をトランプ次期大統領が発表したことは、政界に衝撃を与え、共和党内からも反対論が浮上している。トランプ氏は、上院の人事承認手続きを飛ばす「休会任命」もちらつかせて上院共和党に圧力をかけている。
下院倫理委は2021年、ゲーツ氏による性的な人身売買、違法薬物の使用、選挙資金の不正流用などの疑惑について調査を始めた。ゲーツ氏は違法行為を全て否定しており、連邦捜査当局は23年に一連の疑惑について訴追しない判断を示した。
しかし、倫理委は独自に調査を続行。ABCニュースによると、性的な違法行為の被害者とされる女性は「17歳の時にゲーツ氏と性交渉を持った」と証言した。倫理委は近く調査報告書をまとめ、公開の是非について判断する予定になっていた。
ところが、ゲーツ氏は司法長官への起用方針が発表された13日、議員辞職を突如発表。共和党のトランプ派は「議員の身分を失ったので、倫理委の調査対象から外れた」として報告書を公開しないよう要求した。ジョンソン氏は当初「関与しない」としていたが、15日になって「もはや議員ではない人物に関して、報告書を公開すべきではない」と述べた。
一方、ゲーツ氏の人事承認の是非を判断する上院からは「辞職によって逃げるのを許すべきではない」(民主党のダービン上院院内幹事)との声が上がる。共和党のコーニン上院議員も、公開の是非にかかわらず「(人事承認の審査のために)上院議員が報告書にアクセスできるようにすべきだ」と主張している。
倫理委は当初、15日に報告書公開の是非を判断する予定だったが、双方からの圧力が強まる中、判断を先送りすることを決めた。
ゲーツ氏は16年に下院議員に初当選し、今月5日の下院選で5選を果たした。党派間の妥協に否定的な保守強硬派で、民主党批判の急先鋒(せんぽう)となってきた。23年には予算協議で民主党と妥協した当時のマッカーシー下院議長に反旗を翻し、史上初の議長解任に追い込んだ。共和党内でも異端視されてきたが、妥協を拒む姿勢を好むトランプ氏とは良好な関係を保っている。【ワシントン秋山信一】
ニュース裏表 峯村健司 〝対中強硬〟アップデートの「トランプ2・0」 新政権は国務長官にルビオ氏、国家安全保障担当補佐官にウォルツ氏と鮮明の布陣
「私たちは勝った! 本当によくやった」
大統領選の勝利後、初めて首都ワシントン入りしたドナルド・トランプ次期大統領は13日、共和党下院議員団を前に力強く演説した。
大統領選と同時に実施された連邦議会選で、上院に続き、下院でも共和党が多数派となるのが確実になった。そして、司法の最終判断を示す連邦最高裁も、共和党に近い保守系が過半を占める。
2025年1月に発足するトランプ次期政権は、行政に加え、立法の上下院、司法の4つの権力で優勢となった「クアドラプル・レッド」の状態でスタートする。トランプ氏は誰からも邪魔されることなく、人事や政策を意のままに決めることができるようになったことを意味する。
さっそく、トランプ氏は新政権の閣僚や高官を次々と指名している。その顔ぶれから、新政権の政策の輪郭が少しずつ明らかになっている。
最も重要な国務長官には、マルコ・ルビオ上院議員(53)を指名した。キューバ移民の両親の下に生まれ、就任すれば初のヒスパニック系国務長官となる。16年の大統領選では、共和党主流派としてトランプ氏と争ったこともある共和党の実力者だ。
筆者は、ルビオ氏やそのスタッフと意見交換をしたことがある。ひと言でいうと、「筋金入りの対中強硬派」だ。中国の共産党体制そのものの存在を批判しており、中国との対立を「文明の衝突」とみなしていることが特徴といえる。
これは、政治や経済上にとどまらず、イデオロギーや人種といった幅広い分野に及ぶことを意味している。9月の米紙ワシントン・ポストへの寄稿では、中国について「米国が直面した中で、最大かつ最先端の敵国」と定義している。
こうした言質を裏付けるように、ルビオ氏は数々の対中制裁にかかわる法案づくりを積極的に進めてきた。中国・新疆ウイグル自治区における強制労働に関係した製品の輸入を原則禁じる「ウイグル強制労働法」や、香港の人権や民主主義を後押しする「香港人権・民主主義法」などが挙げられる。
これに対して、中国は強く反発し、ルビオ氏の入国を禁止する制裁を科している。
中国の制裁対象となっているルビオ氏を外交責任者に任命したことは、トランプ氏の「対中強硬路線」が揺るがないことを示している。
ホワイトハウスの国家安全保障担当補佐官にマイケル・ウォルツ下院議員の起用が検討されている。ウォルツ氏はグリーンベレー(陸軍特殊部隊)出身で、やはり「対中強硬派」と目されている。「トランプ2・0」は、1期目よりも対中強硬路線をとることを鮮明にした布陣となる。米中対立のはざまに位置する日本の政府や企業は、これから難しいかじ取りが迫られそうだ。 (キヤノングローバル戦略研究所主任研究員 峯村健司)
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?